イラクにおける教育
イラクでは1921年に教育システムがつくられました。1970年代前半には、教育は公共的なものと位置づけられ、小学校までが義務教育となり無料で提供されるようになりました。
現在イラクでは、2つの省庁が教育システムを管轄しています。1つはイラク教育省(MOE)、もう1つは高等教育及び科学研究省(MOHSR)です。イラク教育省は、就学前教育、小学校、中学校、職業訓練を担当し、その他は高等教育及び科学研究省が担当しています。
1970年~1984年は、イラクで教育分野が最も盛んな時期でした。この時期に、15歳~45歳の非識字者に対する対策がとられました。当時のイラクに住むこの年代の人々の識字率は10%という低い水準でした。イラク政府は、イラク全体の政府予算のうち20%にあたる予算を教育分野に割り当てました。これは生徒一人当たり平均620ドルという計算になります。
しかし、1980年にイラン・イラク戦争がはじまり、1984年~1990年は政府予算の多くが公共サービスではなく軍事費に割かれることになりました。これによって必然的に、社会保障分野への予算が急速に減っていき、教育分野の予算も赤字となり何年にも渡って同じような状況が続き、またこうした状況に対応する戦略的な計画も立てられずにいました。
1991年~2003年には、教育機関が衰退していきました。政府予算全体の8%程度の予算しか教育分野に割り当てられず、教育分野の全盛期であった生徒一人当たりの予算620ドルは、47ドルまでに落ち込みました。教師の給与も月額500~1000ドルであったのが、1994年~1999年には月額5ドルまでになってしまったのです。
その後2003年以降から現在にかけて、教育分野の状況は少しずつ回復してきています。多くの学校がイラク教育省、国際機関やその他機関による支援で再建されました。また多くの私立大学、学校、中学校などがこの期間に設立されました。
しかし、まだまだイラクにおける教育分野での支援ニーズは多くあります。JENもこの教育分野での支援を続けていきます。
【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】
【JEN設立20周年記念の取り組みについてはこちら