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2014年1月30日 (木)

不安定な情勢の中でも精一杯のお祝いをするイラク市民

 イラク国内での治安の悪化は、新年のお祝いにも影響を与えています。かつては、ほとんどの家族がレストランや踊りを楽しむためのクラブなどに行って新年を祝っていましたが、最近では何家族かが一つの家に集まり新年を祝います。
不安定な情勢の中、それでもみな、精一杯お祝いをし、また新たな年に希望を持つのです。

 少し前の話になりますが、クリスマスには、イラクの人々、特にクリスチャンはクリスマスツリーを家や店に飾り、道路にも飾りつけをします。夕食には様々な種類の食べ物やデザートが並び、テーブルの真ん中にはロウソクを灯したクリスマスケーキが用意されます。

【お祝いするために準備された色とりどりな料理】
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 子どもたちにとってはどのような状況でもクリスマスは特別で、楽しいものです。家族の誰かがサンタの格好をし、特に子どもたちにプレゼントを配って回ります。

【サンタクロースの格好をした子どもたち】
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 誰もが一年を振り返りながら、幸せだったり、悲しんだりした日々を思い返します。そして、新しい年への希望を願います。この時期は、耐えること、そして愛することを思い出す機会であり、また、対立する二つのグループが和解する機会でもあります。

 新年を迎えると、家族は無病息災を祈り、また国の平和を祈ります。そして、お祝いの言葉を交わします。

【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
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1月 30, 2014 文化、生活、習慣 |

2014年1月16日 (木)

アンバール県の情勢悪化に伴い

 前回の支援速報でご紹介しました通り、JENは昨年末より新プロジェクトを開始しました。ところが年始早々、3県ある事業地の1つであるアンバール県の治安状況が急激に悪化しています。
 
 各メディアで報道されている通り、12月30日、イラク治安当局が政府に対する大規模な抗議デモの鎮圧を試みました。その後、国際テロ組織アルカイーダ系の武装組織が、アンバール県の中心都市であるラマディ市と近隣都市であるファッルージャ市の一部を掌握するなど、混乱が生じています。
 この状況の急劇な悪化に伴いスタッフの安全確保を第一に考え、アンバール県内での活動を一時停止し、スタッフの移動を制限することにしました。

 このアンバール県というのは、バグダッドの西にある最も面積の広い県で、住民の大多数がスンニ派です。シリアやサウジアラビアとの国境があり、国境の向こう側に同じ部族の出身者や親せきが住んでいることは珍しくありません。また、アンバール県民はフセイン政権の支持者が多いとして、2003年には米軍の爆撃を多く受けました。現在は、他県と比べ、公共サービスへのアクセスが悪く、失業率も高いです。常日頃から住民の政府への不満は多々あり、長きにわたってデモ集会が実施されてきました。現在起きている同県内での抗争により死者数は増加しており、多数の避難民が発生しています。

 このような事態は、2006-2008年の間におけるイラク中部および南部の状況に似ています。当時もJENはバグダッドに事務所を構えておりましたが、事業地へ移動する際に近くで爆弾が落ちる音を聞き、また幹線道路でのチェックポイントでイラク治安当局に車を止められることも少なくありませんでした。
 
 JENが活動をする地域全てが常に安全というわけではありません。しかし、そのような場所にこそ支援を必要とする子ども達がたくさんいるのです。だからこそ、活動を継続的に実施するためにも、常日頃からセキュリティ情報の取得を心掛け、安全面で少しでも懸念がある場合は携帯電話を使用し、テキストメッセージや電話連絡で全スタッフに情報共有することを徹底しています。また、スタッフ同士でも連絡をこまかくとり、デモ集会や市場など人で混雑している場所は避けるようにしています。今後も、安全確保を第一に考え、活動を継続していきます。

 JENイラクスタッフ一同、アンバール県の情勢が安定し、再び同県の学校に通う生徒たちへの教育支援を再開できる日が早く来ることを祈っています。

 バグダッド事務所長
 ファイーズ



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1月 16, 2014 政治、経済、治安事務所、スタッフ |