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2013年8月15日 (木)

イラクの子どもたちのために、そしてイラクの平和のために


 1か月続いたラマダーンが終わり、私たちはイド・アル=フィトゥルという断食の終了を祝う祭りの日を8月10日に迎えました。
 この日は、全世界のイスラム教徒がお祝いをする、とても素晴らしい1日のはずなのですが、同じ日に、首都バグダッドとその周辺のシーア派のイスラム教徒が多く住む地域で爆弾テロや銃撃などがあり、数十名が亡くなりました。ニュースなどから得た情報によると、今年のラマダーン期間中は、イラク全土での爆弾テロや銃撃などのテロ行為による死者が1000人を超え、2008年以来最も危険な状況となってしまいました。7月下旬には、バグダッド近郊の刑務所が襲撃にあい、500名以上の囚人が逃げ出すという事件もありました。
 
イラクでは、なかなか平和への道を進むことが出来ないのが、とても残念であり、悲しくもあります。


 みなさん、1970年代、80年代前半におけるイラクの教育システムは、中東地域諸国の中でも優れたものであったことはご存知ですか。学校の建物も教育カリキュラムも申し分ありませんでした。しかしその後の湾岸戦争、イラク戦争などの紛争、そしてイラクに課せられた長年の経済制裁により、国内の経済・社会基盤は破壊され、もちろん教育の分野にも多大なる影響が出ました。
 イラク戦争が終了した後の2003年以降も、政府による教育分野での復興はなかなか成し遂げられず、破壊された建物はそのままで、増加する生徒に対して新しい教室を建てる資金もなく、1970年代のイラクの教育レベルに戻ることは、夢のまた夢でした。


 それでも、イラク社会の回復と復興のためにも、そして暴力のない平和な社会を築くためにも、イラクの未来を担う子どもたちに健全に学べるスペースを用意することはとても重要です。だからこそ、どのような困難な状況の中でも、JENがイラクの小中学校において、建物や設備の修復をし、教育環境の整備や生徒への衛生促進のサポートを行ってきたことは意義があると感じています。

 JENは、現在進めているプロジェクトで最後となる女子中学校の修復工事をすすめています。この学校はバグダッドの南に位置するバビル州にあります。先週、老朽化していたトイレの壁や洗面所のタイルを除去し、また、新しい水道管や水タンクを設置することができました。この学校では、すでに衛生教育が行われているので、学校の設備の修復工事が完了し、女子生徒たちが授業で学んだことを実践できる日がくるのを楽しみにしております。

 まだまだ修復が急務となっている学校はイラク中にありますが、一つずつ丁寧に、子どもたちの学習環境を改善していきたいと思っています。

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【女子中学校の生徒たち】
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【学校内の壁に貼られた衛生促進ポスター】
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【衛生教育を受ける生徒たち】
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【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】

8月 15, 2013 学校建設・修復政治、経済、治安衛生教育 |