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2013年8月29日 (木)

ラマダンとイードの祝日

 今日は、ラマダン(断食月)について少しお話しいたします。

 イスラムの世界では、日没から夜明けまで1日約16時間の断食を通して毎年ラマダンの聖なる月を祝います。断食によって、16時間の間、飲んだり食べたりすることを我慢し、自身の欲を抑えます。そして、私たちと同様の暮らしをすることが難しい貧しい人々のことを想い、それらの人々の助けとなることの大切さを思い出すことができます。

 ラマダンの最後の日々には、人々はイド・アル=フィトルの準備にとりかかります。イード・アル=フィトルは、ラマダン直後に始まる、人々が断食明けをお祝いしお互いを訪問する、3日間のお祭りです。人々は、イドの期間中に訪れる友人や親戚に贈る新しい衣服、おみやげ、ケーキやスイーツの材料を買い求めます。イード・アル=フィトルは、イスラム教徒にとってラマダン中に達成したことに対し、幸福を感じる時なのです。

 子供たちもまた、新しい服をまとい、イードを祝福するために公園内にある遊園地に出かけることに喜びを感じる時です。今回、紹介する写真は、私の故郷であるラマディ市にある公園で撮影したもので、子どもたちが笑顔で楽しんでいることがわかります。

 イラク国内の治安情勢が厳しいという現実はありますが、子どもたちがイードを思いきり楽しみ、愛と希望を見出している姿を見ることで、私たちも勇気と元気が出てきます。

JEN衛生促進事業アシスタント アスマー

【回転ブランコを楽しむ子どもたち】
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【おもちゃで遊ぶ子どもたち】
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8月 29, 2013 文化、生活、習慣 |

2013年8月15日 (木)

イラクの子どもたちのために、そしてイラクの平和のために


 1か月続いたラマダーンが終わり、私たちはイド・アル=フィトゥルという断食の終了を祝う祭りの日を8月10日に迎えました。
 この日は、全世界のイスラム教徒がお祝いをする、とても素晴らしい1日のはずなのですが、同じ日に、首都バグダッドとその周辺のシーア派のイスラム教徒が多く住む地域で爆弾テロや銃撃などがあり、数十名が亡くなりました。ニュースなどから得た情報によると、今年のラマダーン期間中は、イラク全土での爆弾テロや銃撃などのテロ行為による死者が1000人を超え、2008年以来最も危険な状況となってしまいました。7月下旬には、バグダッド近郊の刑務所が襲撃にあい、500名以上の囚人が逃げ出すという事件もありました。
 
イラクでは、なかなか平和への道を進むことが出来ないのが、とても残念であり、悲しくもあります。


 みなさん、1970年代、80年代前半におけるイラクの教育システムは、中東地域諸国の中でも優れたものであったことはご存知ですか。学校の建物も教育カリキュラムも申し分ありませんでした。しかしその後の湾岸戦争、イラク戦争などの紛争、そしてイラクに課せられた長年の経済制裁により、国内の経済・社会基盤は破壊され、もちろん教育の分野にも多大なる影響が出ました。
 イラク戦争が終了した後の2003年以降も、政府による教育分野での復興はなかなか成し遂げられず、破壊された建物はそのままで、増加する生徒に対して新しい教室を建てる資金もなく、1970年代のイラクの教育レベルに戻ることは、夢のまた夢でした。


 それでも、イラク社会の回復と復興のためにも、そして暴力のない平和な社会を築くためにも、イラクの未来を担う子どもたちに健全に学べるスペースを用意することはとても重要です。だからこそ、どのような困難な状況の中でも、JENがイラクの小中学校において、建物や設備の修復をし、教育環境の整備や生徒への衛生促進のサポートを行ってきたことは意義があると感じています。

 JENは、現在進めているプロジェクトで最後となる女子中学校の修復工事をすすめています。この学校はバグダッドの南に位置するバビル州にあります。先週、老朽化していたトイレの壁や洗面所のタイルを除去し、また、新しい水道管や水タンクを設置することができました。この学校では、すでに衛生教育が行われているので、学校の設備の修復工事が完了し、女子生徒たちが授業で学んだことを実践できる日がくるのを楽しみにしております。

 まだまだ修復が急務となっている学校はイラク中にありますが、一つずつ丁寧に、子どもたちの学習環境を改善していきたいと思っています。

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【女子中学校の生徒たち】
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【学校内の壁に貼られた衛生促進ポスター】
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【衛生教育を受ける生徒たち】
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8月 15, 2013 学校建設・修復政治、経済、治安衛生教育 |

2013年8月 1日 (木)

メヘビス~ラマダンの伝統的なゲーム~

 メヘビスとは特にラマダン期間中にされるイラクの伝統的かつ有名なゲームで、人の表情を読み取る能力が問われるゲームです。

 メヘビスという言葉は「指輪」を意味します。このゲームは2チームに分かれて行われ、各チームのメンバーは20人以上で、1人のリーダーを決めます。

 まず、一方のチームが相手チームにわからないように、指輪を自分の仲間のなかのひとりに手に隠します。

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 そして、相手チームのリーダーは誰が指輪をもっているかあてるのです。

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 チャンスは一回しかなく、当てれば得点を得られます。当てても当てられなくても、攻守を交代してゲームは続けられ、最終的に多くの得点をとったチームが勝ちます。負けたチームは両チームメンバーと観客に配られるお菓子をおごることになります。このゲームは地域ごとのチームのリーグ戦で、優勝チームには優勝賞品が贈られます。

 このゲームにはなんとプロ選手もいます。彼らは人の表情を読みとる経験を積み、目やしぐさなどから指輪を持っている人を見抜くことができるのです。

 このゲームによって地域内の結束が強まると同時に、他の地域の人と知り合い、友人になれるととてもよい機会でもあります。

 JENバグダット事務所 
 ズィクラ・アルナジャール



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8月 1, 2013 文化、生活、習慣 |