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2013年5月23日 (木)

WELCOME TO バクダッド アラブ文化首都2013

 フセイン政権崩壊から10年、首都バグダッドは「2013年アラブ文化首都」に任命されました。これは、ユネスコの「文化首都プログラム」のもと、アラブ連盟の主導により開催されているプログラムで、アラブ文化の振興を促進し、同地域における相互理解を深めることを目的としています。
 今回の任命は、バグダッドが自動車爆弾や誘拐事件だけでなく、豊かな文化を備えた都市であることを世界に呼びかける良い機会となります。

 しかし、まだ多くの問題も存在しています。バグダッド国立劇場は、バグダッドの他の公共の建物と同様、10フィート(約3m)のコンクリートの防護壁に囲まれています。そして入口に控える数人のチケット係に対し、倍以上の数の兵士が配置されています。これは、宗教色の強い民兵組織が芸術活動の妨害を目的に劇場に対し行なってきた脅迫行為への備えによるものです。

 今晩の演目である「family―friendly comedy」は「Run for Your Wife(妻からの逃亡:イギリス映画)」のイラク版ともいえるコメディ作品ですが、男性が女性と並んで舞台に立っているというだけで、彼らの目には過激な劇として捉えられています。

「劇場に所属する人間は、みな例外なく長年にわたって生死にかかわる脅迫を受けてきました。しかし私たちは伝えるべきメッセージをもつ芸術家であり、これまで諦めることなく進んできました。」と劇場の副支配人、イスマエリ・ジュボーリ氏は語ります。

 長く暗い時代を終えた今、イラクの芸術・文化が今一度花開く時が訪れました。「文化首都 in バグダッド」では、バグダッド及び周辺で製作された9本の長編映画、9本の短編作品及び6本のドキュメンタリー(計24作品)が上映されます。

 また、期間中、音楽、舞踏、写真展、民俗芸術・工芸展等、様々な文化イベントが開催されます。
今回の文化首都への任命は、長年に及ぶ戦争と、国際社会からの経済的・文化的な孤立の後、イラクが懸命に取り組んできた信頼回復への努力の成果といえます。

 2012にはアラブ首脳会議の開催都市となり、2015年にはアラブサッカー連盟が主催するサッカーの国際大会「ガルフカップ」がイラク南部のバスラ市で開催される予定です。

 JENエンジニア ハムーディー

5月 23, 2013 文化、生活、習慣 |

2013年5月 9日 (木)

イラク全国一斉地方議会選挙

 イラクの地方議会選挙が2013年4月20日に行われ、2009年の選挙で選出された地方議会に代わり、新たな地方議員が選出されました。

 独自の地方選挙を予定するクルド自治区の3県に加えて、アンバル県、ニネワ県、キルクーク県が治安上の理由から投票を6月まで見送ったため、投票は18県中の12県で行われました。

 選挙活動は選挙の45日前より開始されました。265の政治組織、50の連立政党から立候補した8100人の候補者により交差点や人混みの中でチラシが配布され、それぞれのロゴや候補者のポスターが街中に貼り出されました。また、電光掲示板では政治改革を訴えるメッセージが流され、街頭での選挙演説が行われました。

 選挙管理委員会は、今回、選挙活動の監視チームを設け、適正な活動の監視を行うとともに、違反行為には罰金を課す方向でのぞみました。

 議会選挙の実施に際し、多くのイラク国民が日常生活において様々な圧力にさらされました。バグダットではいたるところに数多くの検問所が設置され、治安警備の厳格化や道路渋滞が更に悪化したことにより、10キロ程度の移動にも1時半以上の時間がかかることになりました。それにもかかわらず、選挙前の4月15日には50名が死亡し300名が負傷するという自爆攻撃も発生してしまいました。

 そんな状況下にもかかわらず、投票率は50%を維持し、選挙管理委員会は、選挙の一週間前に行われた軍関係者を含めた全体の投票率は51%を超えると発表しました。

 今回の議会選挙では、投票が行われた12県の内、過半数の7県でイスラム教シーア派のマリキ首相率いる政党が勝利し、政治図が大きく塗り替えられました。

【4月13日に、20日の選挙日に先駆けて行われた軍関係者による投票の様子】
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 JEN エンジニア ヤシン&ハムーディー

5月 9, 2013 政治、経済、治安文化、生活、習慣 |