文化の街 バグダッド・アルムタナビー通り
時代を超えて街全体が一つの文化となっているバグダッドで、最も古く、最も有名なストリートがアルムタナビー(Al-Mutanaby) 通りです。このストリートの起源は、アバシド家に始まるイスラム王朝 時代(750-1258、1261-1519AD)の製紙業者市場であったAl-Sarayマーケットまで遡ります。
ストリートに一歩足を踏み入れると、様々な文化に浸ることができるでしょう。ここでは、本のみが売られていて、毎週金曜日にはバグダット市内および近隣の町に住む愛読家が好んで集まってきます。
バグダットの中心部に位置するチグリス川の東岸部とAl-Rashidストリートにはさまれているこのストリートは、全長700メートルであり、時代と共に様々な愛称で親しまれてきました。
イスラム王朝時代にはDarob Zahhiと呼ばれ、オスマン帝国時代にはAl-Khamniyaと名付けられ、1920年代の大英帝国占領下にあった頃はAl-Sarayストリートにその名称が変更されていったのです。さらに、近隣に英国軍司令本部が設置されていたことから、パレスストリートなどと曖昧に呼ばれるようになっていました。
1936年、イラクの帝王ファイサル一世がこのストリートと広場の名称の検討委員会を設置するよう要請した時に、アラブの著名な詩人の名前にちなんでAl-Mutanabyと名付けられたのです。
2003年のイラク戦争以降、政府による投獄や拷問を恐れ、秘密裡に販売されていた政権批判の書籍をはじめ、宗教、社会、政権問題など、あらゆる分野の本がAl-Mutanabyストリートで公然と自由に販売されるようになりました。