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2009年6月 4日 (木)

世代のギャップ、文化のギャップ

 イラク、ヨルダンのみならず、アラブ世界では一般に、「家族」の名誉、威信は社会生活で最も大切な価値観とされています。イラク人スタッフによると、たくさんの手続きを踏んで難民として認定され、西洋のリベラルな国に移住できた家族も、いざ住んでみると彼らの心労は大変なものであるそうです。

 イラクの人々の多くは、敬虔なイスラム教徒です。家族の結びつきは何にも増して大切にされ、たとえば1日5回のお祈りを欠かさない、飲酒をしないなど、イスラム教の教えにのっとって生活をします。

 このような価値観を持った人々が西洋世界に移住すると(もちろん全てのイラクの人々がそうではありませんが)、学校やショッピングセンターにお祈りの設備のない環境で生活します。金曜日(イスラム教では金曜日は休日)の礼拝も、出勤・登校を余儀なくされることで、イスラム教の生活習慣を保つことが難しくなることがあります。

 このようにイラクで大切にされているアラブ文化を守ろうとする両親と、新しい環境で学校に通い滞在先に友人を持つ子どもの世代間に、大きな精神的ギャップができてしまうことが、しばしば社会問題になるそうです。

6月 4, 2009 文化、生活、習慣 |