バグダッド市内の国内避難民の生活状況
世界移住機関(IOM)および国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の調査により、バクダットにいる25万人にものぼる国内避難民の衝撃的な生活が明らかになりました。
故郷に帰還した人びとの多くは、自宅へ帰ってみると見ず知らずの人に家を占拠されてしまった等の予期せぬ現実に直面しているそうです。そのために、バクダットでの避難生活を余儀なくされ、多くの人は市内にあるフセイン元大統領の所有物であった建物や倉庫で生活しています。
これらの建物は、イラク戦争の際に連合国軍に爆撃の対象とされました。コンクリートの天井は、ところどころ剥がれ落ち、外壁は完全になくなり雨風もまともにしのげないような状態です。もちろん水道、電気、ガス、下水などはありません。ゴミ処理もありません。避難民の方々はゴミや腐りかけた生ゴミ、汚物などの散乱する中で生活を送っています。
イラク政府は、国内避難民に燃料や食用油を50リットルずつ配給し始めました。まだまだ、生活は改善されません。さらに今年1月、政府は、廃墟となった行政機関の建物で生活している避難民に対して、数か月の引っ越し期間を設け、退去令を出しました。避難民の新しい住居を建設する計画は、昨今の石油価格の暴落による財政難の影響で、2010年まで延期せざるを得なくなりました。結果、避難民に次の安定した生活場所がありません。今も軍や警察による強制退去におびえながら、壊れている建物の中で生活しているそうです。
JENは、現在行っている学校の施設修復を通じて、避難民を受け入れる地域環境を整えるとともに、より生活の一助となるような支援活動にも今後取り組んでいきたいと考えています。