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2009年3月26日 (木)

「家族」助け合い制度

 ヨルダンには、冠婚葬祭の時に家族単位で助け合うための制度があります。ここで言う「家族」というのは、日本のような核家族的な意味合いではなく、同じ名字を持つ人すべて(!)を指します。

 全ての家族は○○基金(私の場合なら日本全国の田中さんが登録する「田中基金」)を持っており、その基金はヨルダン内務省に登録されています。同じ苗字を持つ者は、みなこの基金のメンバーに登録します。

 基金の利用申請は、必要経費や、核家族単位では負担できないような「高額なお買い物」の時にできます。各支部代表者による協議のもと物やサービスが購入され、これを全国の「家族」の総人数で割り勘にし、各家庭ごとに人数分を支払います。

 例えば・・・結婚式の会場貸切が高額なために、家族で3階建ての結婚式会場を買い取ってしまうケース。また、民間企業に委託する葬儀サービスが高額なために、名前入りの霊柩車を家族で購入し、葬儀の際にこれを使うケース。結婚予定のある家族のメンバーが若年のために、経済的支援が必要なケースなどなど。

 アラブの人たちの家族を大切にする文化が、行政機関を介した制度として成り立っているのには驚かされます。アラブ的大家族ならではの助け合い制度と言えます。

3月 26, 2009 文化、生活、習慣 |

2009年3月12日 (木)

バグダッド市内の国内避難民の生活状況

 世界移住機関(IOM)および国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の調査により、バクダットにいる25万人にものぼる国内避難民の衝撃的な生活が明らかになりました。

 故郷に帰還した人びとの多くは、自宅へ帰ってみると見ず知らずの人に家を占拠されてしまった等の予期せぬ現実に直面しているそうです。そのために、バクダットでの避難生活を余儀なくされ、多くの人は市内にあるフセイン元大統領の所有物であった建物や倉庫で生活しています。

 これらの建物は、イラク戦争の際に連合国軍に爆撃の対象とされました。コンクリートの天井は、ところどころ剥がれ落ち、外壁は完全になくなり雨風もまともにしのげないような状態です。もちろん水道、電気、ガス、下水などはありません。ゴミ処理もありません。避難民の方々はゴミや腐りかけた生ゴミ、汚物などの散乱する中で生活を送っています。

 イラク政府は、国内避難民に燃料や食用油を50リットルずつ配給し始めました。まだまだ、生活は改善されません。さらに今年1月、政府は、廃墟となった行政機関の建物で生活している避難民に対して、数か月の引っ越し期間を設け、退去令を出しました。避難民の新しい住居を建設する計画は、昨今の石油価格の暴落による財政難の影響で、2010年まで延期せざるを得なくなりました。結果、避難民に次の安定した生活場所がありません。今も軍や警察による強制退去におびえながら、壊れている建物の中で生活しているそうです。
 
 JENは、現在行っている学校の施設修復を通じて、避難民を受け入れる地域環境を整えるとともに、より生活の一助となるような支援活動にも今後取り組んでいきたいと考えています。

3月 12, 2009 国内避難民支援 |