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2009年2月26日 (木)

イラクの結婚事情

 今回は、イラク人の結婚観に迫ってみたいと思います。

 イラクのイスラム社会では、結婚は両親が決めた相手とするものであり、恋愛結婚はなかなか成立しません。なぜなら、結婚は家と家との「契約」と考えられているからです。そのため、家族の背景が明確である従兄同士の結婚がとても多いそうです。

 男性が女性の両親にお金を渡すという、日本の結納金にあたる「サダク」は日本円で70万円にも100万円にものぼります。平均月収が5~10万円といわれるイラクの人々にとって、とても大きな額のお金です。

 男性側は家族の威信をかけて高額のサダクを提示し、またそれの金額の高さは女性側の誇りにもつながるそうです。驚くべきことに、結納の際は、結納金と同時に万が一の離婚の時に支払う、いわゆる「手切れ金」の額がセットで明記されます。

 サダクが高すぎるので、男性の両親がこれを支払うことが多いといいます。よって、息子の結婚相手にもリクエストが多いそうです。そして、サダクよりも高額の手切れ金を提示することで、女性の離婚の心配を減らし保護する役割があります。

 2003年までは、万が一の離婚後、たとえ男性が購入した家であっても、離婚後2年間は、女性の所有になる、すなわちどのような理由においても男性が出ていくことが法律で定められていました。また、夫婦間に子どもがいる場合、子どもが20歳になるまでの養育費は、例外なく男性が負担することが法により定められていたそうです。

 イスラムの結婚というと、平等に愛することを条件に妻を4人までめとることができる一夫多妻制ばかりが有名で、その他の側面は伝えられないことが多いように思います。このように、女性が保護されている点を、皆さんにも知っていただければ、と思います。

2月 26, 2009 文化、生活、習慣 |

2009年2月12日 (木)

イラクの復興を願い1票!

090212__low  2009年1月30~31日、イラク18州のうち14州にて州議会選挙が行われました。投票率は51%とマリキ首相の予想(70~80%)を大幅に下回るものにはなりましたが、大きな混乱もなく無事に終了しました。イラク国外にいる難民や国内避難民(IDP)の選挙権が認められなかったことや、投票権を持つ全人口が完全に登録されていなかった地域があったりなど、投票率の低さの原因が伝えられています。

 前回の2005年の初選挙は、連合軍主導の選挙でした。当時、他国のイラクへの介入を「不当」としてスンニ派は投票をボイコットしました。しかし、その後の3年半に起こった派閥の不均衡による治安悪化や政権内での影響力低下を受けて、その大多数が今回の選挙に参加しました。

 老いたイラク人のおばあちゃんが“イラクの未来を自分の手で作る”ために、遠くから徒歩で投票所へと向かうニュースなどを見たことがあります。その時、やはりこの選挙はイラクの人々にとって大切な、大切な復興のプロセスであるのだなあと感じました。090212__low_2

 選挙結果の発表は最短でも1ヶ月後。当選する候補者も、そうでない者も選挙の結果を受け止め、国民のための政治がおこなわれることを切に願います。

(写真:投票を呼びかける新聞広告)

2月 12, 2009 政治、経済、治安 |