羊を分かち合う犠牲祭
12月14日から18日までヨルダンは犠牲祭(Eid Al-Adha)に入りました。イスラム教徒たちが祈りを通して1年間の自分を振り返ることで、イスラム教徒としての認識・連帯感を高めるお祭りです。また、その名の通り、羊や牛を生贄として殺し、親族や友人、また貧しい人たちと分かち合うのがこのお祭りの一大イベントです。
イスラムの教義に、イスラムの預言者とその息子がどれほど神に対して誠実であったかを示すこのような寓話があります。
預言者であるイブラヒムは神への生贄として、自分の息子イスマイルを殺さなければいけないという夢を見ました。イブラヒムは自分の息子に「私はお前を神の生贄に捧げる夢を見た」と告げると、息子は「それが神の御意志なのであれば」と生贄になることを同意しました。そして、イブラヒムが息子を殺そうとしたまさにその時、神は彼に羊をもたらし、イスマイルの代わりにそれを生贄にするようにと命じました。
この寓話になぞらえて、イスラム教徒たちは、今でもこの季節になると羊を捧げます。十分な収入がある人は、羊を生きたまま買ってきて殺し、3分の1を自分たちで食べ、3分の1は親戚や友人へ配り(サダカと呼ばれます)、そして残りの3分の1を貧しい人たちへ配ります。
イスラム教にはこのような「喜捨」の精神が深く根付いており、この期間中は、裕福な人も困窮にある人も、助け合いの輪の中で過ごすことができます。