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2004年3月30日 (火)

銃声?!お祝いの祝砲

バグダッド滞在中に「怖い」と思ったことは?と聞かれたら、真っ先に思い出す出来事がある。11月のある晩、事務所でテレビ見ていたら突然銃声が鳴り響いた。しかも、とても近くで。マシンガンなのか散弾銃なのか、とにかく複数の人が打ち続けている。これは大変なことが起きている!と、全ての電気を消して、クッションを抱え、心臓バクバクで赤い弾道が行き交うのを窓からじっと見ていた。

4ヶ月滞在しても、最後まで慣れなかったものがある。それは銃声だ。銃を見たことも、生の銃声を聞いたこともなかった私は、近くで銃声が聞こえる度に、いつもドキッとしていた。昼間に外で銃声を聞くこともあったが、ほとんどは夜、事務所にいる時や寝ている時だった。ベッドの上で真っ暗な中、銃声が近くで連続して聞こえると、ついつい心配になり隣の部屋で寝ている同僚に安全を確認したものだった。

 イラクでは、誰もが銃を持っている。各家庭に、ほぼ必ず銃があると言っても過言ではない。値段は、カラシニコフ銃が1丁8千円程度と日本の感覚では驚くほど安い。現地では洗濯機が2万円ぐらい、テレビの衛星アンテナが1万円ぐらいだから、家電製品を買うよりは安く手に入ることになる。因みに、手榴弾は1400円だ。戦後、警察が武器の取り締まりを強化しているという話も聞いたが、それでも簡単に購入できるらしい。それにしても、なぜそんなに銃を持っている必要があるのだろうか?

 

銃は、持っているだけではなく日常的に使われている。ある時、学校に視察に行ったら、門の外で銃声が響いた。私が1人で慌てていると、学校の先生が冷静に、「今日はお葬式があるの」と言っていた。ここでは人が亡くなると、空に向けて空砲を撃つのが習わしだという。お祝いの時にも空砲を放つ。昨年の12月にフセイン元大統領が拘束された時、イラクの人々が銃を放って喜んでいた様子が日本でも報道されていたので見た方もいるだろう。

さて、ここで話は最初に戻る。10分以上続いたと思う銃撃戦の音がようやく収まったので、おそるおそるドアから顔を出し、外にいるガードマンに様子を伺ったところ、何だかとても嬉しそうなのだ。いったい、どうなってるの?!と思いながら聞いてみると、私が心底怖い思いをしながら聞いた一連の銃声は、なんとイラクがサッカーで勝ったというお祝いの祝砲だったのだ。私は、脱力感でしばらく呆然としてしまった。あれだけ撃てば、当然流れ弾も飛んでくるだろうし、相当危険である。実際、祝砲にあたって亡くなる人もいるらしい。お祝いなら、クラッカーでも使ってよ!!と大声で叫びたい心境だった。

 

銃が出回る治安の悪いバグダッドで活動を行うにあたり、現地スタッフからは事務所にも銃を持つべきとの意見が出ることもある。しかし、JENバグダッド事務所は武器を持っていない。武器は人に威圧感を与え、時には反感も生む。武器を持っているからこそ撃たれることもある。支援活動に武器は必要ない。イラクの厳しい治安状況下での活動でも、私はそう信じている。

3月 30, 2004 | | コメント (0)

2004年3月18日 (木)

JENエンジニアの厳しいチェック

021  バグダッド市内では、地元業者との契約により2月の初めから小学校10校の修復作業が始まりました。作業は順調に進んでおり、3月初めには50%の作業が終了しています。

 JENの現地エンジニアは、モニタリングのために毎日学校を訪問し、修復作業が正確に行われているかを確認しています。また、品質確保のため、タイルや水道の蛇口、蛍光灯の傘からドアにいたるまで、修復に用いられる全ての資材は、使用する前にJENのエンジニアがチェックをし、承認をして始めて使うことができるようにしています。公共の建物だからと言って、手を抜かれがちな学校での作業ですが、質の高い修復ができるように目を配っています。

 

3月 18, 2004 学校建設・修復 | | コメント (0)

2004年3月15日 (月)

美人で有能なイラク女性

イラクの女性は美人だ。目鼻立ちがはっきりしていて、モデルのような彼女たちと話をしているとついついひき込まれてしまう。しかも、バリバリと働いているのだ。

現地に行く前は、イスラム教の国だから女性を外で見かけることも少ないのだろうとステレオタイプな想像をしていた。ところがバグダッドに赴任してすぐ、ユニセフの現地スタッフの中で教育関連の事業を担当し、教育省との交渉やNGOとの調整をほとんど一人で担当している女性と出会った。国連ビルの爆破後、国際スタッフが次々と撤退していく中で、私たちNGOからの要望にもいつもテキパキと対応して仕事を進めてくれたとても頼もしい女性だった。そして、それ以後も私の想像が全くひっくりかえってしまうような事実を、バグダッド滞在中に知ることになった。

 イラクには大学を出て英語ができ、国連やNGOで現地スタッフとして活躍している若い女性たちもいるということを皆さんはご存知だろうか?アフガニスタンでは15%程度という小学校への女子の就学率も、イラクではなんと90%近い。学校では、女子校はもちろん男子校でも先生は女性がとても多いうえ、教師暦20年!というような大ベテランの先生がたくさんいるのだ。JENが学校修復を行っている地区の教育省の担当も女性で、打ち合わせのために彼女を訪問すると、承認のサインや報告・相談のために次から次へと押しかけてくる。彼女はそんな仕事を、いつも精力的に、こともなげにどんどんこなしてゆく。公務員に女性が多いのは、旧政権下での公務員の給料がとても安かったため、男性が公務員になると一家を養っていくのが大変だったからだと聞いたが、女性が外で働くこと自体に抵抗があるイスラム教国が多い中で、イラクでは旧政権の時から女性が活躍していたのだと知って、これぞ「素顔のバグダッド」、目からウロコの発見だった。もっと驚いたのは、学校修復の事業で建築エンジニアを募集したら、女性からの応募もあったことだ。日本でも、技術系の専門職につく女性は男性に比べてまだまだ少ないが、イラクでは、うっとりするような美人の建築エンジニアも活躍している。

 そうは言っても、敬虔なイスラム教徒の男性の中には、女性が外で働くことを良しとしない人もまだまだ多く、結婚を機に英語の教師をしていた妻に仕事をやめさせたという人もいた。食事に招待されて家を訪問しても、台所から奥さんが姿を見せないということもある。日本では想像しがたいが、なにも否定的な考えではなく、このようなイスラムの伝統は、女性を大切にしているところから来ている。例えば、エンジニアの募集に対して女性が応募をしてくる前に、ご主人がわざわざ事務所までやって来て仕事の内容や環境、治安の状況などを確認して帰って行ったということもあった。面接に男性が付き添いで来ることも一般的だ。ちょっと過保護なんじゃないのかな?!とも思ったが、それだけ女性は大切にされているわけで、ちょっと羨ましくも思ってしまうのだ。

こうして、JENの支援活動は、ユニセフのスタッフ、教育省の職員、JENのエンジニアなど多くの現地女性陣の力で進んでいる。戦争などで犠牲になるのはいつも、弱い立場にある人々であり、弱い立場にある女性は多い。もちろんそうした人たちへの支援が大切なのだが、イラクには支援する力を持つ女性達がいる。私たちは彼女達の活躍を少しでも後押しする形での活動をしていきたいと考えている。現地の人たちが主体となるイラク復興のために。

3月 15, 2004 | | コメント (0)

2004年3月11日 (木)

掃除セット

031  昨年修復が終了した3校に、新しい机や椅子、黒板などの備品と掃除セット一式を配布しました。

 

 配布した掃除セットの中には、かわいい絵を書いたドラム缶サイズのゴミ箱もあり、今まで、教室や校庭に散乱していたゴミを、生徒達が自主的に片付けられるように工夫もしています。

 

 旧政権下で、学校の維持・管理がされなかったこともあって建物の老朽化が進んでいましたが、修復して綺麗になった学校を、自分達の手で維持していけるように、先生・生徒たちも一緒に事業に参加していただいて、掃除の仕組み作りも進めています。

3月 11, 2004 学校建設・修復 | | コメント (0)