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2004年1月30日 (金)

市場で自由に買い物ができる幸せ

 イラクの人は、良く食べる。レストランでも一人前は大変な量になる。大いに頑張っても、小食の私には、3分の1くらいを食べるのがやっとだ。イラクの一般的な料理には、羊や鳥肉のグリル、ナンのようなパン、トマトやカレー味で炊き込んだお米、野菜の小皿などがある。

 治安が悪く、事務所に引きこもる生活だったバグダッドでの4ヶ月、楽しみはスーパーや市場に食材の買い物に行くことだった。市場には、いろいろな野菜や果物が山と積まれ、夕方になると日本と同じように夕食の買い物をするお母さんや子ども達で大賑わいする。八百屋の前に立つと、店のおじさんがビニール袋を渡してくれるので、自分で野菜を見て、色や形の良さそうなものを選ぶ。夏には気温が50度を越える中、1日外に出されているトマトの山から良いものを選ぶのには一苦労した。しかも、イラクでは一家族の人数が多いので、みな大量に野菜を購入する。そのため、2~3個という単位では売ってくれない。最低でも1キロ単位だ。選んだ品物は、理科の授業で見た覚えのある天秤の大型版に分銅を乗せて重さをはかる。1キロに足りないと、あまりおいしそうには見えないトマトを平気で袋に追加されてしまう。それでも、トマト1キロでなんと約50円。食料品はとても安い。お米も2キロで約50円。パンにいたっては、ブーメラン型をしたナンのようなパンが、50円で20個も買えてしまう。

 私が住んでいた地区には、家電製品が山積みになって売られているいわば“電気屋さん通り”もある。ここでは、フセイン政権時代には禁止されていた衛星テレビの受信アンテナが、戦後の一番の売れ筋だ。1万円くらいで、大きなお皿型のアンテナが買える。そこを通るたびに、大きな“お皿”を荷台に積み込んでいる人たちの嬉しそうな顔を見た。

 食材や生活用品は豊富にある。イラクに行って驚いたことの一つだ。ただ、そこで生活している人々には深刻な問題がある。それは、多くの人には品物を買うだけの十分な収入がないことだ。失業率は70%近いとも言われ、1人の収入で10人の家族を養っていることも珍しくない。

 今、イラク全土で給与が支払われていない人々や職を求める人々のデモが頻発している。日常生活が改善されないことへの不満が反米感情をあおり、やがて衝突へと発展する。このような状況を改善するためには、雇用が創出され、長期的に現地の人たちの自立を促進する支援が必要であり、そのような支援が次の争いへの抑止にもなる。「自己完結型」と言って憚らない自衛隊の活動は、現地の人々のニーズに応えられるのだろうか。 ブラウン管を通して伝わる現地を見ながら、市場で満足に買い物ができない人々のことを考えている。

1月 30, 2004 |

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