2008年5月 1日 (木)

子どもたちの愛する場所

51  昨年9月よりジャパン・プラットフォームと支援者の皆さまからのご寄付のもと進めていた学校修復事業が4月上旬に完了しました。

 バグダッドにある小中学校25校において、緊急に修復が必要とされるタンク、トイレ、手洗い場などを中心に修復を実施し、イラク教育省へ引渡しました。4月下旬より開始した新規事業では、首都の小中学校18校を対象にします。水関連の施設、電気設備、ドアや窓などの修復を行い、安全で衛生的な教育環境を整えていきます。

 バグダッドでは最近、米軍・イラク治安部隊とマフディ軍の間で衝突が起こり、改善傾向にあった治安状況に影を落としました。メディアのインタビューに答えた、マフディ軍の拠点サドル・シティに住むある父親のことばが印象に残ります。

 「私たちは彼が銃弾の犠牲になるのではないかと恐れているのですが、息子は学校に行くといって聞かないのです、『僕は学校が大好きなの』と」。

 子どもたちの愛する場所を快適に-JENのイラクにおける教育支援は続きます。

5月 1, 2008 学校修復 |

2008年4月17日 (木)

王族の役わり

417  先日、外出先から事務所への帰路、現地スタッフが突然「ラニア王妃だ」と叫びました。横を通り過ぎた車にはヨルダン王妃のお姿が。警備の車輌が一緒ではありましたが、自らハンドルを握られていました。その現地スタッフは、信号まちをしていたところ隣に偶然故フセイン前国王の車が並び、信号が青に変わるまでお話をさせていただいた経験があるとのこと。

 ヨルダンの国王ご夫妻は、国民の生の声を聞くべく、繁華街や貧困地区にも足を運ばれます。繁華街の書店には、アブダッラー国王がしばしばご訪問されるようで、国王ご夫妻と名物店長が歓談されたときの写真が飾られています。また、国王は、時には変装してお出かけになり、国民生活上の問題を発見されると、翌日さっそく閣僚を集めて改善を命じるそうです。

 さて、ラニア王妃ですが、4人のお子さまをもつ働く女性として、教育問題の解決や女性の社会進出の促進に力を尽くされています。教育支援に携わる女性としては、王妃の国内のみならず国際的な大舞台での活躍ぶりを尊敬の眼差しで拝見しているところです。

4月 17, 2008 生活、習慣、風土 |

2008年4月 3日 (木)

子どもの適応力

43  アラビア語には、ニュースなど等公式の場で話される共通語【フスハー】と各地の話しことばである【アンミーヤ】があります。【マグリブ】と呼ばれる北西アフリカ地域と中東地域の【アンミーヤ】は大幅に相違しており、意思疎通が非常に困難とのこと。一方、隣国同士であるイラクとヨルダンの人びとについては、アンミーヤでの会話にほとんど問題がないようです。それでも、次のような違いが見られます。

日本語フスハー イラクヨルダン
良い ジェイエッド ゼイン クワイエス
ケッタ バズーナー ビッセ

 昨年秋より、ヨルダンの学校がイラクからの避難民にも門戸を開き、子どもたちに喜びをもたらしましたが、苦労もあるようです。両国では教育カリキュラムが異なり、特に、ヨルダンでは英語学習の開始時期がイラクより早く、小学校高学年の児童は遅れを取戻すのに必死です。しかし、【アンミーヤ】については、当初は違いに戸惑うこともあったイラクの子どもたちも、両親と話す時ですらヨルダン式に変わってきているようで、新しい環境への適応力の高さがうかがわれます。

4月 3, 2008 |

2008年3月19日 (水)

子どもたちに希望を託して

320 アンマンの商店街を歩いていて東京よりよく目に入ってくるは、マタニティ服のマネキンです。

都市部では、それぞれの子どもに高い教育を受けさせるため、一組の夫婦あたりの子どもの数は以前と比べて少なくなったようですが、それでも3、4人が通常とのこと。地方に行くと、一人のお母さんが産んだ子どもだけで野球チームを作ることができる、というケースは珍しくありません。マタニティ服のマネキンが散見されるところに、子沢山を後押しするアラブ社会というものが感じられます。

ユニセフが2007年に発表したイラクの教育に関する報告書によると、「人口増加に対応するため」小学校4,500校の新設が必要とされています。イラクの今後は不透明といわざるをえませんが、そうであっても子どもたちが築く未来に希望を託し、人びとは子どもを産み、育てているのでしょう。このような高いニーズを背景に、JENはイラクでの教育支援を続けています。

3月 19, 2008 学校修復 |

2008年3月 6日 (木)

日本の工夫、イラクの工夫

36_2  JENが学校を修復する際には、教職員からの意見を反映させるようにしています。学校によって壁の色や小さなパーツが少しずつ異なる理由の一つです。

 例えば、写真の蛇口。日本ではあまり見られないタイプだと思います。取っ手が下についていて水が上向きに出てくるのです。日本では、手洗いと水飲み兼用の蛇口としては、先の部分が回るタイプのものが選ばれるのではないでしょうか。

 手を洗う時は下向きに、水を飲む時は上向きに変えられて便利なため、どうして使わないのか疑問に感じ、エンジニアに確認しました。回るタイプにすると、接合部分が増えて壊れやすくなるため、避けるようにしているとのこと。

 修復の終わった学校がイラク教育省に引渡された後は、教職員が維持・管理をしなければなりません。学校の予算不足のなかで、子どもたちが長い期間使うことができるように工夫することも、学校修復において重要なポイントです。

3月 6, 2008 学校修復 |

2008年2月21日 (木)

男性の装い~夫婦円満のひけつ

221(前回からの続き)

 「パートナーの前で魅力的であり続ける努力をするのは、夫の方も同じだよ」

 常に清潔で小綺麗であることを心がけ、妻の好みの香水を身にまとう…夫婦円満の秘訣にはそのような努力が必要だと、夫たちは話し合うそうです。

 多彩なビンが並ぶ、アラブ諸国の繁華街でよく見かける香水屋は、いつも男性で賑わっています。コーランと同様に生活の規範とされているハディース(預言者ムハンマドの言行等)には、妻を尊重することに関する伝承が多く見られる、とイスラム教徒の友人から聞いたことがあります。

 そして、友人は、結婚記念日に自宅で妻と撮影した写真を私に見せてくれました。そこには、ナチュラル・メイクをした、美しい髪の快活な感じの女性が写っていました。何よりも印象的だったのは、夫と交わす温かい視線。

 無論、他の宗教にも見られるような、控えめにふるまうイスラム教徒の女性は存在するかもしれません。しかし、偏った情報によって知りうるこのようなイメージも限定的なものです。だからこそ、現地の人々の目線にたち、さまざまな考え方や生き方に触れてみることが大切ではないかと考えています。現地のニーズに適した事業を進めるため、遠回りかもしれませんが、文化のいろいろな側面について学ぶ毎日です。

2月 21, 2008 生活、習慣、風土 |

2008年2月 7日 (木)

女性の装い

27_2 現地スタッフと話す内容は、事業の進捗状況やイラク情勢にとどまらず、アラブ文化、イスラムの教えにも及びます。現地の文化を知ることは、適切な事業を展開するために必要です。

先日は、イスラムの女性の装いが話題にあがりました。イスラム教徒が大半を占めるものの、比較的自由な雰囲気のヨルダンでは、ぴったりとした服に派手な化粧で街を闊歩する女性が見られます。一方で、ヘッド・スカーフとゆったりした服で全身を覆い、薄化粧の女性が多いのも事実です。

ある現地スタッフの妻もその一人で、控え目で穏やかな印象を受けました。外出先では、イスラムの教えに則り、男性の目を引かない格好をしている女性も、家に戻ると綺麗にお化粧をして、夫の帰りを待つと聞きます。彼は、「当然だよ」と答えた後にニヤッと笑って、「ぼくに見せるためだけにね」とつけ加えました。

ここで話が終わると、「イスラム教徒の女性は、夫の影に生きる、悲壮な努力をしている」と理解される方もいるかもしれません。しかし、彼の話は続きます・・・。

2月 7, 2008 生活、習慣、風土 |

2008年1月24日 (木)

建設会社の遊び心!?

124  現在のバグダッドの治安状況では、国際スタッフが事業地を訪れることはできません。修復作業の進捗具合は、バグダッド事務所から送られてくる写真で確認しています。

 先週の写真の中には、美しく楽しく描かれた動物の絵を見つけました。これまでも、小さい花柄や標語が描かれた学校はありましたが、本格的な絵柄は初めてです。

 JENが作成する仕様書には、塗装については当然記載されていますが、絵は含まれていません。絵のためのペンキ代も人件費も建設会社の負担になります。JENの修復工事を担当する建設会社は、公正な入札を経て決定されています。

  写真の2校を担当している建設会社は、JENの事業に携わった経験があり、仕事内容については良好な評価を得ています。今回、自己負担で追加作業を施したのは、業者間での競争があるなかで、修復の質の高さについてさらにアピールをしたかったのかもしれません。または、苦境の下に置かれている子どもたちへの、ささやかな贈り物かもしれません。124_3

 いずれにしても、楽しい絵柄が子どもたちや先生方の目を楽しませていることは、喜ばしい知らせだと思っています。

1月 24, 2008 学校修復 |

2008年1月17日 (木)

新年、幸せな時代を

117_2 2008年も早いもので半月が過ぎつつあります。

祝日が比較的少ないイラクとヨルダンですが、12月下旬の犠牲祭にはじまり、クリスマス、西暦の新年、イスラム暦の新年と珍しく祝日が続きました。犠牲祭では、手作りのイラク菓子「キリエーチェ」をプレゼントされ、お祝い気分をわけてもらいました。

祝日が続くなかでも、ジャパン・プラットフォームとの協同により実施している、バグダッドでの学校修復事業は順調に進んでいます。

1月11日、バグダッドでは数十年ぶりに雪が舞いました。生まれて初めて目にする雪を明るい将来への希望と結びつけて眺めた市民もいたようです。昨年の秋ごろより、イラクにおける治安状況には改善傾向が見られるようになっています。また、去る12日には、懸案であった旧バース党員の公職復帰に関する法律が可決され、政治的な和解への第一歩が踏み出されました。

2008年、今年こそイラクの人びとに幸せな時代が到来することを祈ってやみません。

本年もイラクの子どもたちのため、みなさまの引続きのご支援をよろしくお願い申し上げます。

1月 17, 2008 JENの考え |

2008年1月10日 (木)

ブーゲンビリア

1220水不足に頭を痛めるヨルダンでは、人びとは雨が降ると嬉しそうにしています。

幾日か雨が降ったり止んだりが続いた後、ふとアンマン郊外の赤茶けた土地を見ると、小さな緑が芽吹いているのを目にすることができ、幸せな気分になります。春以外は本格的な緑を楽しむことが難しいヨルダンですが、ブーゲンビリアは諸所で見ることができます。

以前夢中になったテレビドラマに出てきた、岸壁一面に咲いている場面が忘れられず、私にとっては特別な花です。

その特別な花が、ヨルダンでは「狂い花」と呼ばれることに驚きました。友人に尋ねたところ、つるが方々に伸びて行く様が狂ったように見えるからではないかとの分析。確かに、事務所で育てているブーゲンビリアのつるは、広がり放題、薄ピンクの木から突如としてオレンジ色の苞が現れた時には、その呼び名に納得してしまいました。

しかし、現地スタッフがイラクでの呼称を教えてくれた時にはショックとしかいいようがありませんでした-その名も「地獄花」。名まえのイメージの悪さとは対照的に、両国民に愛されている花のようですが。

1月 10, 2008 |