2018年8月15日 (水)

シンジャール山に逃れた人々

JENは、20153月からイラク北西部ニネワ県のシンジャール山の国内避難民を対象にトラックによる給水活動を行ってきました。

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シンジャール山を走る給水トラック

20148月、シンジャール市や周囲の村が過激派武装勢力によって占拠されました。古くからこの地に暮らしていたヤジディ教徒の人々は、異教徒として虐殺、人身売買等、迫害の対象として狙われ、逃げ場を失った人々は、周囲を武装勢力に包囲されたシンジャール山の山頂近くにかろうじて逃れ、荒れた吹きさらしの山上で、恐怖と、飢えや乾きに苦しみながら避難生活を送りました。

そんな中でも、誕生した生命もあります。ラヴィンはそんな1人。家族がシンジャール山に避難してすぐ生まれました。今4歳です。「ラヴィン」とは、クルド語で「逃れる」という意味。この年に生まれた多くの少女が、「ラヴィン」と名付けられました。

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ラヴィンとJENスタッフ

ラヴィンは、この年ごろの少女にしては珍しく、照れずに話をしてくれました。2年たったら学校に通うのを今から楽しみにしているそうです。夢はたくさんあって、「その一つは、お医者さんになること。だから、一生懸命勉強して、学校でよい成績をとるの」と話してくれました

JENが2018年6月に実施した、給水と生活状況のインタビューによれば、現在シンジャール山で避難を続ける人々の多くは、元々はシンジャール市周辺の村落にいたとのこと。武装勢力から解放された現在でも、住居や基本的インフラが大破し、近隣地域の民族バランスが変化し、武装勢力残党の掃討作戦が継続している状況で、帰還にはリスクがある、まだ帰還はできないと、ほとんどの人が回答しました。

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テントの中でのインタビューの様子

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集落ごとに設置された貯水タンクをチェックするJENスタッフ

そんな中、「JENの給水がなければ、とても生き延びることができなかった」と多くの人々から、感謝の声をいただきました。JENは、2018年7月にイラク北西部での活動を終了しましたが、それ以降も、シンジャール山に暮らす人々の最低限の基本ニーズである給水が継続されるよう、他団体に引き継がれました。

JENモニタリング担当
シャルワン M ムハンマド

8月 15, 2018 国内避難民支援 |

2018年7月 5日 (木)

ズマール地区カラブ・アシック村の井戸修復

イラク北西部のニネワ県ズマール地区にあるカラブ・アシック村。モスルから北西約100kmにある約800世帯が暮らす村です。
 
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カラブ・アシック村

 
2014年8月以降、武装勢力の占拠により、多くの住民が避難を強いられましたが、2015年3月に武装勢力から解放され、2015年末より住民の帰還がはじまり、現在までに、ほぼすべての住民が帰還を果たしました。
 
帰還後の生活再建には、時間がかかっています。2017年に地方自治体の要請を受け、JENが調査したところ、村に存在する3つの井戸は、全て使えない状態で、住民は、雨水を集めたり、高価な市販の水を購入して、何とかしのいでいるという状況でした。
 
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破壊された井戸

 
JENは村の人々の生活ニーズに応えるため、2つの井戸の修復を行いました。ポンプやパイプを交換して、取水可能な状態に戻すとともに、貯水タンク、管理設備、塩素消毒システム、電源設備等を整えました。2018年6月に工事を完了し、地方自治体に引き渡しました。
 
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修復された井戸、管理施設、貯水タンク

 
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ズマー市長、コミュニティリーダーとJENスタッフ

7月 5, 2018 水衛生環境改善 |

2018年6月14日 (木)

ドホーク事務所でのスタッフ研修

イラク北部クルド自治区のJENドホーク事務所では、スタッフ研修を定期的に実施しています。普段は、別の場所で活動している同僚も集合し、広い視野や別の角度で自分たちの仕事を見つめなおす、大切な機会です。

5月20日に実施した研修では、「NGOのコンプライアンス」、「人道支援の必須基準(CHS: Core Humanitarian Standard)」に関する講義と、具体事例を使ったグループワークを行いました。


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「国際スタッフによる講義」


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「真剣かつ楽しく学びます」

 

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「グループワークの様子」

 

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「普段は別の場所で働くスタッフが共同作業をする機会です」


 

6月 14, 2018 事務所、スタッフ |

2018年5月24日 (木)

衛生キットの配布 マミリアンキャンプ

5月9日、マミリアンキャンプで、衛生キットの配布を行いました。

キャンプ住民の若者たちが、衛生プロモーターとして、準備段階から大活躍。

普段は別の地域を担当しているJENの現地スタッフも協力しあい、340家族に石けんや洗剤など日々の衛生的な生活に必要なものを届けました。

配布中は、晴れたりくもったりでしたが、終わってすぐ、なんとヒョウがふる、とても珍しい天気でした。

活動の様子を、ぜひご覧ください。



5月 24, 2018 支援物資配布 |

2018年4月26日 (木)

マミリアンキャンプでのコミュニティ衛生プロモーターの活躍

 マミリアン避難民キャンプでは、ボランティアのコミュニティ衛生プロモーターが衛生促進活動を行っています。2017年11月~2018年4月の活動の様子をご紹介します。

【2017年11月5日】

 キャンプ住民の多数がバシカ地区へ帰還を果たしたことに伴い、コミュニティ衛生プロモーターはキャンプB地区で大清掃キャンペーンを行いました。約2トンのゴミを集め、新たに避難民が来た時に備えて整備を行いました。

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【2017年11月27日】
 キャンプの排水口を清掃しました。キャンプ内のテントからの汚水を流す排水口で、詰まると悪臭が発生し健康被害も懸念されるため、近隣住民にゴミを流さないよう周知も行いました。

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【2017年12月17日】
 コミュニティ衛生プロモーターはキャンプの清掃キャンペーンを行いました。キャンプの景観を良くすると共に、ゴミを公共のゴミ箱に捨てるよう近隣住民への周知活動をあわせて行いました。

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【2018年4月16日】
 キャンプマネージメントとの協力の下、ドホーク県清掃キャンペーンの一環として、マミリアンキャンプでも清掃キャンペーンを行いました。キャンペーンには120人が参加し、キャンプにある学校の生徒や他NGO、治安当局の人にも手伝っていただき、盛況となりました。

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4月 26, 2018 国内避難民支援, 衛生教育 |

2018年4月12日 (木)

131,621人の笑顔

 JENは2003年より、首都バグダッドを拠点に支援活動を開始しました。同年には教育支援を開始、2009年以降、北はキルクークから東はアンバールまで支援対象地域を拡大し、これまでに6県251校で学校の整備を行いました。

 イラク戦争以降、不安定な社会情勢が続く中、人びとはテロや戦闘に怯える不安な毎日を送ってきました。社会的に特に弱い立場に置かれるのは、子どもたちです。そこでJENは、子どもたちが安心できる場所を確保するために、破壊された学校を修復し再び学校へ通う習慣を取り戻す活動を行ってきました。これまでに、251校、131,621人の子どもたちが再び学校へ通うことができるようになっただけではなく、教師とイラク教育省のキャパシティビルディングに寄与することができました。子ども達の親もまた、家庭の中に、衛生的で安心した暮らしを取り戻すことができました。2018年3月、JENは、15年間続けることができたこのプロジェクトを終了しました。皆様からの温かいご支援、本当にありがとうございました。

 2014年以降、JENは北部のクルド人自治区にも拠点を設置しました。ここでは、武装勢力から逃れた人びとを対象に給水、給水設備の修復、学校修復、物資配布、そして、避難民キャンプの運営などの緊急支援活動を行っています。今後は、ドホークを拠点に、最も被害が大きかった北部のニネワ県で、武装勢力から開放された地域へ帰還する人たちへの支援を続ける予定です。

 イラクには、現在も紛争から立ち直ることが困難な方がたくさんいます。皆様からのご支援、引き続きよろしくお願いいたします。


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4月 12, 2018 学校建設・修復, 衛生教育 |

2018年3月22日 (木)

灯油の配布

 イラク北部では昨年末から、たくさんの国内避難民がニネワ県各地の故郷に帰還しました。武装勢力の占領下から開放された人びとは、再び元の生活を取り戻そうと一生懸命です。

 JENはそんな方たちの一助になれるよう、ニネワ県北西部の地域で、人びとと学校に向けて灯油の配布を行いました。

【灯油の配布所の受付】
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【持ってきたタンクに灯油を入れる地域の人びと】
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【灯油運搬車】
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【受領のサインをする校長先生】
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【JENの配布チーム】
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3月 22, 2018 帰還民支援, 支援物資配布 |

2018年3月15日 (木)

イラク教育省より感謝状

 2018年の3月、JENはイラクで長年行っている学校修復と衛生教育に関してイラク中央政府教育省より感謝状を拝受いたしました。

 JENは2004年からイラクにて学校の修復を行っています。これまで約250校の修復を行い、イラクの子どもたちが教育を受けられるよう尽力してきました。また、修復する学校の選定や修復後の管理に関して常に教育省と共に歩み、強い協力関係にあります。

3月 15, 2018 学校建設・修復, 衛生教育 |

2018年3月 1日 (木)

イラク東部で地震

2月11日、イラク東部とイラン西部にまたがり地震が発生しました。この地域での昨年11月にマグニチュード7.2を計測し大きな被害をもたらした地震に続いての出来事です。イラクではキルクーク県とスレイマニア県の人びとが揺れを体感した模様です。

今回はマグニチュード5.5を計測したものの、幸いなことに大きな被害はありませんでした。元来イラクは地震が頻発する地域ではなかったため、現地の人びとは驚いていますが、被害が出なかったことにホッとしています。

JEN職員 
アブドゥッラー ハッサン

3月 1, 2018 政治、経済、治安 |

2018年2月 8日 (木)

西モスルの緊急給水

 イラク中部のモスル市は、2017年7月に武装勢力から開放されました。

 モスルは元々200万人の人口を有しており、イラクで2番目に大きい都市です。開放に伴い、今まで避難していた人々が帰還を始め、西モスルでは2017年8月時点で400,000人だった人口が11月時点で倍の800,000人となっています。

 帰還された方は元の住居が破壊されており、水・電気の不足を始め、学校や病院といった公共サービスに加え、電気や交通網と行ったインフラ、治安の改善や経済活動の再構築も必要です。

 そのため、帰還は進んでいるとはいえ、現在も避難民キャンプに暮らしている方は多数おり、また、住居の破壊等の理由により700世帯近くが西モスルからキャンプへ戻った事例も報告されています。

 モスル市の水道は戦闘により破壊されており、水の購入が帰還民を経済的に圧迫していました。
 このような状況に対して、JENは10月から3ヶ月半の間、トラックによる緊急給水を行い、ピーク時には800,000人の人口のうち114,000人に水を提供しました。
 モスル市の水道局も水道網の復旧に尽力し、水へのアクセスは徐々に回復してきています。JENが行った給水は帰還先の生活を立て直すまでの支援となっています。

【給水車による巡回給水の様子】
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【破壊されたモスルの橋 (写真提供:Ahmed Al-Hayali)】
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【破壊されたモスルの橋 と町並み(写真提供:Ahmed Al-Hayali)】
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2月 8, 2018 帰還民支援 |