2015年5月21日 (木)

母親と子どもの健康促進活動

 アフガニスタンが抱える問題のひとつは、5歳未満の乳幼児の死亡率が大変高いことです。低い順から数えると187か国中186位に位置し、世界で2番目の死亡率の高さと言われています。パルワン県で一番大きい病院ですら、子どもたちの健康を十分に守ることが難しい状況です。というのも資金不足のため、子ども用の医療機器が足りなかったり、小児科医に対する研修が不十分だったりするからです。

 そんな中JENは、パルワン県10地区の24人の医師に対して「小児疾患の統合的管理(IMCI:Integrated Management of Childhood Illness)」の研修を行いました。IMCIとは小児疾患に対するガイドラインです。小児疾患に対する医師の知識・経験の不足から失われる命の削減を目指し、世界保健機関(WHO)とUNICEFによって作られました。

 4月19日から5月4日までの11日間で行われたこの研修は、アフガニスタンの新生児と母親の健康促進に大きく寄与しました。

 研修では、様々な分野がカバーされました。2か月~5歳児の疾病診断に使われるIMCIチャートの使用法、乳幼児に多く見られる病気・症状(急性呼吸器感染症、下痢、麻疹、マラリア、耳感染症、栄養失調など)の適切な処置法などはもちろんのこと、免疫に関する最新情報、微量栄養素や母乳の重要性、食育カウンセリングの提供といった統合的管理についても研修が実施されました。

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 参加した医師たちからは「研修がとても役に立った」という感謝の声が聞かれました。また同時に、今後の医療従事者への継続的な教育、医療機関の設備の充実など、パルワン県の医療向上のための協力と支援を期待する声も寄せられました。

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 経理アシスタント
 サマール


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Afghanistan

5月 21, 2015 医療支援 |

2015年4月 9日 (木)

パルワン県の100床病院への支援

 パルワン県のほとんどの人は経済的に厳しい状況にあり、私立診療所の医療費を支払うことができません。そのため、多くの人は公立病院を利用しようとします。

 資金不足と大変な混雑により、パルワン県の主要な病院では全ての患者を受け入れることができず、特に小児患者の受け入れで困難に直面しています。

 パルワン県のほとんどの患者が訪れるのが、パルワン100床病院です。JENは同病院の設備の改善を支援しており、特に病気に感染しやすい小児患者をより重視しています。2014年には、キワニス日本財団と皆さまの支援を受け、小児科病棟へ子ども用ベッド10台の提供を行い、同時に助産師15名を対象に家族計画の研修を実施しました。

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 支援実施以前は、小児患者は複数名で大人用ベッドを共有していたため、相互の病気感染のリスクがありましたが、小児用ベッド提供により、そのリスクが軽減されました。これらの支援により、乳幼児死亡率減少や、母親の健康状態の改善に少しずつ貢献していくことが期待されています。

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 しかし、この病院の特に小児科では、まだ支援が必要な部分が多くあります。今年、JENはフェリシモ地球村の基金の支援を受け、小児用ベッドの追加20台と、付添者用の椅子27脚の提供を決定しました。ベッドは昨年の提供時と同じ理由から、より多くの小児患者が利用できるよう追加を予定しています。また、現在小児科病棟には付添者用の椅子がなく、付き添う親たちが長時間立ったままでの看病を強いられているため、椅子の提供を行います。

 さらに、24名の医師を対象に、子どもの医療環境改善のため、小児疾患統合管理研修を実施していく予定です。

JENはパルワン県の人々の生活がより良いものになるよう支援を継続しています。今回ご紹介した病院の設備整備支援では、より多くの小児患者の受け入れを可能にし、最終的にはコミュニティ全体の健康状態の改善へつながるものと考えています。

 JENイスラマバード事務所
 アフガニスタンプログラム 
 シニア・プログラムアシスタント
 ハニフ・カーン

Afghanistan

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4月 9, 2015 医療支援 |

2014年9月 4日 (木)

助産師研修支援と病院への小児用ベッド提供

 アフガニスタン公衆衛生省・パルワン県公衆衛生局は、国連、各国政府機関、NGOなどから、母子保健改善の支援を受けています。しかし、アフガニスタンでは今も妊婦及び乳幼児死亡率が非常に高く、支援がまだまだ必要とされています。

 このような状況の中、ジェンはパルワン県公衆衛生局から要請を受け、キワニス財団のご支援をいただき、8月に助産師代表15名を対象にした家族計画研修の実施支援、県立パルワン100床病院にて不足していた小児用ベッドの提供を行いました。

 1つ目の活動として、8月16日から3日間、パルワン県全10地区からの公衆衛生局職員である助産師15名に対し、家族計画の研修を実施しました。研修内容は、妊婦の健康改善、乳幼児死亡率を減らすための知識、避妊法、カウンセリング方法などです。

【家族計画研修の様子】
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【研修修了証を受け取る参加者(左)とJENスタッフ】
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 この研修終了後は保健局の責任の下、研修を受講した助産師15名が講師となり、同県10区の残り55名の助産師、保健ワーカーに対し、同様の研修を行う予定です。この活動によって、県内の全病院・保健所にて家族計画のカウンセリングが実施可能となることを目指しています。

 家族計画の実施は、妊産婦、乳幼児の健康を守ることにつながります。また、ミレニアム開発目標である妊産婦の健康改善や乳幼児死亡率の削減のみでなく、ジェンダー平等推進や女性の地位向上、そしてHIV/エイズ蔓延防止にも貢献することができます。

 2つ目の活動では、同病院の小児科病棟で不足していた小児用ベッド10台の提供支援を行いました。以前は1台の大人用ベッドを複数の小児患者が共有していた為、患者間で感染の恐れがありました。今回の小児用ベッドの提供により、感染の予防が期待できます。

【小児用ベッド使用の様子】
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 県立パルワン100床病院のQasam Sangin院長が、パルワン県の人々を代表し、キワニス財団や日本の支援に対し、感謝の気持ちを表明してくださいました。
 また、支援活動終了後、同院長よりお礼状を頂きました。

 ジェン・アフガニスタン事務所 シニア・フィールド・オフィサー
 ミルワイス・オメルゾイ




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9月 4, 2014 医療支援 |

2013年7月 4日 (木)

産婦人科医療機器支援~患者の声~

 ジェンは今年5月に千曲国際交流協会の助成を受け、パルワン県チャリカ地区のチャリカ100床病院の産婦人科へ医療機器の提供を行いました。

 今日は医療機器提供後に、同病院の患者から聞いた声をご紹介します。

 サバザ・グルさんは下の写真の新生児の祖母で、パルワン県に隣接するカピサ県のニジュラブ地区から来ました。

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 サバザさんは2年前、義理の娘が妊娠8か月の時に体調を崩したため、彼女に付き添ってチャリカの県立病院に来たそうです。サバザさんの義理の娘はそこで出産しましたが、その病院には低体重児に対応できる設備がなく、赤ちゃんはカブールの病院に移動しなければならなかったそうです。残念ながら、カブールに到着する前に、赤ちゃんは亡くなってしまいました。

 今回、サバザさんの義理の娘は再び妊娠40週でチャリカ100床病院産婦人科に入院することになりました。サバザさんはこのように話してくれました。

「2年前の経験から、私はこれから生まれてくる赤ちゃんのことが心配で、病院のお医者さんに新生児のための設備が整っているかどうか、確認をしました。

 その際にお医者さんが、1か月前にジェンが産婦人科用の医療機器(保温器、パルス・オキシ・メーター、紫外線照射器)を提供したので、新生児のケア設備は整っていると教えてくれたんです。

 お医者さんは、保温器やその他機器を個室に設置したことで、ここの患者をカブールへ移送しなくてもよくなったと言っていました。

それを聞いて私はとても安心しましたし、日本の人々とジェンに感謝しています。

 1週間前、私の孫は帝王切開手術を経て生まれ、適切な新生児用の処置を受けることができました。今は義理の娘も孫も、とても元気です。」



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7月 4, 2013 医療支援 |