2023年11月16日 (木)
たくさんの女の子に学ぶ機会を ~vol.2:継続的な通学を目指して~
3回に分けてご紹介するジェンの女子教育支援事業。今回は女の子の継続的な就学につながる、子どもたち・先生への ②各種研修の実施 についてご紹介します。
まずは先生への研修です。アフガニスタンでは教師の58%が必要最低限の資格を持っていません。これには、教育分野での予算不足をはじめ複数の要因があります。政府が教員養成研修を実施する一方、交通費を賄えず、受講できない方も多いそうです。実際に、教育の質を心配する保護者も少なくありません。
そこで学校の夏休み期間中、対象学校の先生へ、授業の計画から評価方法までを含む「基礎教育法」、子どものモチベーション維持や心的ストレスへの対応方法を含む「心理カウンセリング研修」を実施、能力強化を行います。いずれもVol.1でご紹介した研修と同様、参加者自身に考えていただくことを重視しています。
夏休み明けには、子どもたちへ「爆発物回避研修」「衛生研修」を実施します。好奇心旺盛な子どもたちが、地雷・爆発物の被害に遭わないよう、不審物に手を触れない、見つけたらすぐに大人に知らせる等、適切な知識・対応を身につけてもらいます。
また多発する水因性の下痢を減らすため、個人・公共衛生についても学びます。あわせて石鹸や爪切り、タオルなどが入った衛生キットを配布し、研修で実践したことを日常にも浸透させてもらえるよう工夫しています。
実は、学校主体でこの二つの研修を継続実施できるよう、先生にも指導者向け研修を行っています。加えて、学校の様子が見えない家族とのコミュニケーションの一環として、学んだことを家庭でも伝え一緒に実践するよう子どもたちに呼びかけています。
これらにより、地域内で「学校では適切な教育が提供され、身を守る術も教えてくれる」「学校・学びは子どもにとって有益だ」という認識ができ、継続的な通学に繋げることができるのです。
いよいよ最後は ③学校施設整備+教育キット配布 についてご紹介します。イスラム文化ならではの取り組みもありますので、最終回Vol.3もぜひご覧ください!
体調不良の多発、通学の危険性、教育の質への不安を取り除くため、各種研修を行います。

世界手洗いの日(10/15)の記念イベントを行い、研修で学んだ石鹸での手洗いを実践してみせてくれている子どもたち
先生への爆発物回避教育の様子。爆発物への対処法だけでなく、万が一に備えた応急措置の方法も含めて学びます。
本事業は、外務省「日本NGO連携無償資金協力」からの助成金やジェンへの寄付金により実施しています。
11月 16, 2023 衛生教育 | Permalink
2023年5月31日 (水)
アフガニスタンの「持続可能な学校給食プログラム」の様子を紹介します
ジェンは、アフガニスタンでは2001年より活動を行っています。現地の方々に対し、これまでに、水・衛生、食糧や物資の配布、学校給食、子どもの保護、学校建設、教職員の能力開発など、さまざまな分野でプロジェクトを実施してきました。
2022 年 5 月より、その中の一つである「持続可能な学校給食プログラム」を、WFP と提携し、アフガニスタン「ナンガルハル県」内の4つの地区で実施しました。
このプログラムは、子どもの就学率や出席率の向上、また特に子どもたちの健康と栄養の維持、そして地域住民に対する収入機会の提供を目的としています。ジェンが実施したプログラムでは、実際に子どもたちの学習意欲を高め、栄養失調を防止し、環境衛生が改善されたことにより、就学していなかったり、中退してしまったりする子どもたちを減らすことができました。また、Bread+の製造や配布において、地域内の住民や技術者に対し、パンの製造や輸送、プログラム実施後のモニタリング等、収入の機会を創出することができました。

学校で配布されるBread+を受け取る子どもたち
第一期では、1日当たり 70,000 個以上のBread+を製造し、145 の公立学校と 308 の地域学校(Community Based Education) の子どもたちに配布しました。加えて、子どもたちが予防可能な病気にかかることを防ぐため、学校や家庭でより衛生的に生活していくための石鹸などが入った衛生キットを、一人ひとりに配布しました。
また、対象地区の1つであるクズ・クナールにおいては、対象学校の教職員や、保護者、地域のリーダーなどから成る学校管理委員会に対し、夏休みの期間を利用して、衛生と子どもの権利に関する5日間の研修を実施しました。1,150名の参加者からは、特に新型コロナウイルスの感染予防、個人、環境、食品の衛生管理と、子どもの権利条約に関して十分な理解を得ることができた、という声が上がっています。

研修に参加する学校管理委員会メンバー。グループワークなども行いました。
アフガニスタンは現在深刻な食糧不安に直面しており、国民の半数が人道支援を必要とする状況にあります。子どもたちの教育状況と栄養を改善し、地域の雇用を生み出すことは、人道危機にあるアフガニスタンの人びとの生活と将来を支えることにつながります。ジェンは、今後もこのプログラムを実施していく予定です。

お昼の時間にBread+を食べる子どもたち
5月 31, 2023 教育支援女性自立支援衛生教育 | Permalink
2022年11月 4日 (金)
10月15日に「世界手洗いの日」イベントを開催しました。
ナンガルハル県の3つの小学校から、生徒200人をはじめ、学校の先生、地域や政府関係者の皆さまを集めて、「世界手洗いの日」を祝福しました。

JENスタッフが手洗いの重要性についてお話ししています。
ユニセフが定めた「世界手洗いの日」は、世界のあらゆる所で、手洗いの大切さと、生活への影響を再確認する機会となっています。アフガニスタンには、石鹸を使った手洗いの仕方やその重要性を知らない人びとや、石鹸を買う事が出来ない人びとがたくさんいます。これにより、下痢が引き起こされ、子どもたちは学校に行けなくなったり、おとなでも働きに出る事が出来なくなってしまうことがあります。
JENは、子どもたちが手洗いに関心を持てるようなイベントを企画し、開催しました。JENスタッフは、正しい手洗いの方法を説明し、衛生に関する啓発を行いました。宗教指導者により、イスラム教の聖典でも、衛生や、手洗いについて説かれている事を紹介し、コミュニティの手洗いについての意識を高める事ができました。

正しい手洗いの仕方を実践を通して学んでいます。
楽しんで学習してもらうため、生徒たちは、手洗いに紐づけた寸劇を披露しました。手洗いをせずに病気になってしまった子ども、医者、先生の役を演じ、石鹸を使った手洗いが病気を妨げる重要な役割を果たす事を、学習しました。また、手洗いや衛生に関する絵を描いてもらい、参加者の前で発表してもらいました。また、衛生に関するクイズに答える事が出来た生徒たちに石鹸を渡しました。

手洗いについて描いた絵をお披露目しています。
11月 4, 2022 教育支援支援物資配布水衛生環境改善衛生教育 | Permalink
2018年5月31日 (木)
変化した衛生習慣
JENはナンガハル県で、緊急支援として井戸を建設しています。急増する避難民と彼らを受け入れるコミュニティに十分な水が行き渡る必要があるからです。
先日、避難民を対象に、衛生の啓発を目的にした勉強会を開催しました。大勢が一度にここへやって来たために、元々の住民と貴重な水資源を共有しなければならなくなり、衛生を保つことによって自分達や家族を守るための知識を得る必要がありました。
勉強会では手洗い、食べ物の衛生(適切な保存など)、下痢とこれへの適切な対処などについて学んでもらいました。特に手洗いは実行が簡単で、これによって多くの病気を防ぐことができます。
【女性グループに対する勉強会】

勉強会の後、受講者が正しい知識をしっかりと得たか、それに基いて適切な習慣を身に着けたかを確認、アドバイスを行うためにJENは各家庭を訪問しました。
【戸別訪問】

その中で、4人の子どもをもつサイフォラさんがこう話してくれました。
「石鹸で手を洗うと、ばい菌がとれて下痢などにかからなくなると学びました。でも、実はやらなかったんです。ある日、JENの人が来ました。そのとき私は燃料にするために家畜の糞を集めていました。私はさっと手を洗って彼女と握手しました。彼女は笑顔で『教えてもらったことを覚えてる?』と言いました。彼女は、私の娘を呼びました。そして、石鹸と水の入った容器をもってきて、私の手洗いを手伝うように言いました。そのとき、『毎日、家族みんなが石鹸を使って手を洗わなければいけないのよ』と言われました。以来、石鹸を使って手を洗うようになりました」。
【適切な手洗いを行うようになった様子】

私たちは、勉強会の後、参加者の多くが石鹸を使って手を洗うようになったことを確認しました。これは一見、小さな変化なのですが、いまだに多くの子どもたちが亡くなる原因である下痢などの水因性疾患を防ぐためには、とても有効な方法です。
5月 31, 2018 緊急支援衛生教育 | Permalink
2018年3月30日 (金)
2度の避難生活をのりこえて
「長年難民として暮らしていたパキスタンから、アフガニスタンの故郷に戻り、新しい生活を始めようとしていた矢先、紛争の影響で再度、別の場所に避難しなければならなくなりました。2度も家を追われること、きっと皆さんには想像もつかないことでしょう。本当につらい日々でした」
とハズラット・グルさん(45歳)は言います。


【グルさんと彼の家族の仮家屋であるテント】
「息子たちは学校に入ったばかりで、私たちは生活を立て直そうとしていましたが、また一からやり直しです」
グルさんは近年、急増しているパキスタンなどの隣国からアフガニスタンに帰還した100万人以上の人びとの1人です。不安定な情勢の続くアフガニスタンでは、帰国した後も、彼のように再度、別の場所へと避難するケースも珍しくありません。さらに、避難先でも安全な水を手に入れること、健康に暮らすこと、子どもたちに安心して教育を受けさせることなどは容易なことではありません。

【JENが建設中の井戸】
そこで、JENはパキスタンと国境を接するナンガハル県に帰還した人びとを対象に、井戸の建設と衛生啓発を行っています。グルさんは完成した井戸の維持・管理を担うメンバーに選ばれました。
彼は言います。「このような形で人びとの役に立てることが嬉しいです。また、妻は衛生啓発を通じて自分たちや子どもたちが身の回りを清潔にし、健康に過ごしていくための方法を学んでいます」

【男性グループ向け衛生啓発】
3月 30, 2018 井戸修復・建設衛生教育 | Permalink
2018年3月16日 (金)
困難にある人びとを支援するということ
アフガニスタンは2001年のタリバン政権崩壊後、政治・経済・社会サービス面の復興の途上ですが、いまだ長きにわたって紛争に苛まれています。現在も250万人の人びとが難民として国外に滞在しています。
中にはタリバン政権以前から長年、パキスタンやイランといった隣国に暮らしてきた人びともいます。しかし、これまで100万人以上の人びとが、土地や家を失い若い世代にとっては馴染みがない「故郷」に戻っています。何とか生活を立て直そうとしますが、中には紛争により国内の別の場所に避難せねばならなくなる人びともいます。
こうした人びとへのささやかな支援として、JENは1,000世帯の他国から帰還した人びとに水タンク・プラスチックシート・台所用品といった物資を提供しました。また、300世帯の帰還した人びと、国内で避難を余儀なくされた人びと、彼らを受け入れているコミュニティの人びとに衛生啓発を行い、約800世帯の人びとを対象に井戸を建設しています。
このような支援は大河の一滴かもしれません。しかし、誰もが取り残されたと感じたり、この世は地獄以外の何物でもないと悲観したりしてはなりません。人びとを取り巻く状況がたとえ彼らを押し流したり溺れさせようとしたりする大きな流れのようなものであろうと、私達が協力して大きく手を広げ、あたかも強靭な網のように彼らを迎え入れることができるはずです。
シニア・プログラム・オフィサー
中嶋 秀昭
3月 16, 2018 井戸修復・建設支援物資配布衛生教育 | Permalink
2017年8月31日 (木)
教育の効果
JENは教室やトイレといった学校施設整備とともに衛生教育、防災・減災教育を行い、生徒・家族・コミュニティがより健やかで安全に暮らしていくための方法を地域の人びとを巻き込みながら広めています。
こうした活動が効果的に人びとに影響しているかを確認するために、生徒の衛生に対してのモニタリングで、知識・意識・行動などが正しく理解されているか、そして家族への聞き取りを通じて、生徒が学んだことが彼らと家族の生活へ及ぼす影響もJENは観察しています。
なぜなら、適切な衛生知識を身に着けることは子どもの死因である下痢の減少につながるからです。ちなみに、下痢はいまだに世界中の子どもを死に至らしめる主な死亡原因です。
これまでのところ、多くの子どもとその家族の知識や意識が向上し、正しい方法で手洗いを行うなど、よい傾向が見られます。
「JENの衛生教育は大きな貢献の1つです」と地元の保健局員は述べています。
【JENの職員が生徒に授業で学んだ知識などについて聞き取りをしている様子】
【生徒たちが衛生教育で学んだ正しい手洗い】
【家族を通して、生徒が学校で学んだ衛生知識の理解度を確認している様子】
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8月 31, 2017 教育支援衛生教育 | Permalink
2017年7月27日 (木)
衛生と防災教育の需要
アフガニスタンには山岳地帯が多く、地震・地すべり・洪水・雪崩といった災害が起こりやすく、これらへの予防・対処の体制は不十分です。
また、多くの病気は手洗いという簡単な手段で防げるのですが、多くの人びとがこうしたことを知りません。
そのため、学校を通じた防災と健康についての啓発活動をJENは行っています。
JENはパルワン県で教員や各地のコミュニティ、生徒の保護者や政府関係者を巻き込んで活動を行ってきました。
今年も新たな学校を対象に活動を開始しましたが、地域の住民と学校関係者からなる学校管理委員会が生徒への衛生教育や防災教育を始めるための研修に参加しました。
【研修の様子】
セディック女子学校の校長先生は「これらの研修はとても大切です。多くの人びとが家畜を扱っていても、これによる感染症を予防する手洗いの重要性を知りませんでした」と言いました。
【セディック女子学校の校長先生(右)】
防災教育研修については、「こうした教育によって救われる命がたくさんあるはずです」と、ミル・アブドゥール・カリーム・マクール女子学校の学校管理委員会メンバーであり教員でもあるマスード ジャンさんは言います。
【JENスタッフと話すマスードジャン先生(左)】
「ほとんどの人は防災についての知識をもっていません。地震が起きればただ一目散に逃げるだけでした。以前の地震では、学校の階段を急いで降りたために怪我をした子がいました。本校の教員は正しい対処を教えてくれるこうした研修の機会に感謝しています」。
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7月 27, 2017 教育支援衛生教育防災教育 | Permalink
2017年7月13日 (木)
応急手当研修
JENが活動しているパルワン県の教育局から学校での応急手当研修実施を提案されました。教育局によると、人びとや学校の教師の大半がけが人の応急処置についての知識をもっていないということです。そこでJENは県都のチャリカの30校の60人の教師に対して研修を行いました。
グル・モハマドさんはアリ・ハン小学校から参加しました。彼は数年前に学校に行く途中で起こった出来事を話してくれました。
「ある男性が息子を自転車で学校に連れていく途中、突然、息子が自転車から地面に落ちて手と足に怪我を負いました。私は男の子に駆け寄り、足から出血しているのを認めましたが、父親も私もどうしたらよいのかわかりませんでした。そこで、ある人が出血を止めようとして傷に土を被せました。しかし、その人もまた応急手当の知識がなく、土が汚いものであるということすら知らなかったのです。」
「田舎の人びとの大半は応急手当について知らず、適切な知識をもつ人が処置をしなければ、逆にけがした人は命を落とすことになるかもしれません。私もまたけがをした子どもをどう助ければよかったのかを知らず、土を被せることが出血を止めてくれる唯一の方法だと思っていました。」
「しかし今は、土は汚いもので、傷に被せると取り返しがつかないことになるかもしれないことを知っています。この研修は私達に応急手当とは何か、応急手当をして他の人を助けるということについて教えてくれました。」
「この3日間の研修で私は多くのことを学びました。救助者の役割、血圧や脈拍・体温、気道・呼吸・循環、傷の処置、ショックなどについてです。今の私は必要なときに応急手当ができます。このような重要な研修を提供してくださったJENに感謝しています。」
【グル・モハマドさん(右)】
【研修の様子】
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7月 13, 2017 文化、生活、習慣衛生教育 | Permalink
2017年7月 7日 (金)
10歳の少女、カティラの願い
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JENは、パルワン県チャリカ地区で、学校修復や水と衛生環境の整備を通した教育支援を行っています。そのうちのひとつ、女子学校の3年生のクラスで学ぶ10歳のカティラ(写真上)は、2015年、家族とともに避難先だったイランから9年ぶりに故郷に戻りました。イランでは学校に通えず、父親から勉強を教えてもらっていました。
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「学校に通いはじめるまで、私の生活は家で家事を手伝うことが中心でした。兄弟や両親から『新しい学校ができるんだよ』と言われても、何が楽しいのか、想像がつきませんでした。ところが学校生活は、まるで新しい世界との出会いです。将来の夢や、たくさんの希望ができました。今では、このあたりでいちばんきれいな私の学校が自慢です。先生は、私たちに災害や防災、健康についてを教えてくれます」。
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(写真:一生懸命勉強するカティラ)
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(写真:先生が言ったことを暗唱するカティラ。彼女は学級委員に選ばれました)
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「昨日の夕方、お母さんから『日なたの水を使ってもいいかしら?』と聞かれた私は、『ふたをしていた水であれば、安全です』と答えました。
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JENが修復している校舎には、教室が6部屋できると聞いています。もっとたくさんの教室があれば、もっと多くの児童が学べると思います。新しい校舎が完成したら、きれいな花をたくさん植えたいです。わたしがそうだったように、世界中のたくさんの子どもたちが学校に通えるようになりますように」。
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(写真:JENが建てている校舎の前で。カティラは週に1~2回、ここに来て、校舎の完成を楽しみにしています)
◆◇◆◇◆◇ 夏募金にご協力ください。 ◆◇◆◇◆◇
◇JENのアフガニスタンでの活動へのご寄付は、
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◇JENのアフガニスタンでの支援活動について、活動概要は
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7月 7, 2017 学校修復・建設教育支援文化、生活、習慣衛生教育防災教育 | Permalink
2016年8月12日 (金)
チャリカ
JENが活動しているチャリカは、アフガニスタンの中心部にあるパルワン県の県庁所在地で、コダマン谷の主要な町です。この町は、カブールから北部へ69キロ進んだ道路沿いにあり、パンジシャール谷の入口でもあります。人びとは、北部のバグラン・クンドゥズ、サマンガン、タクハル、バルク、バダフシャン、バーミヤン、ダイクンディといった県を訪れる際にこの町を通過します。
【主要な広場の様子】

この町のほとんどの住民はタジク族で、ダリ語を話します。芸術・詩や、ぶどう・きゅうり・トマトといった果物野菜の生産地として有名です。また、美しい自然でも名高く、グル・グンディ(紫の花で覆われている美しい丘)など、多くの景勝地があり、県外からもピクニックに訪れる人がいます。毎年、政府はグル・グンディで式典を行っています。
【グル・グンディの風景】

歴史的には、チャリカはジャムシッド王(ヤマ王として知られる)によって発見され、その後のカニシュカ王やクシャニア人によって創立されました。1930年代には、ジャバル・サラジに新しい織物の工場が作られ、この町の新しい歴史が始まりました。
【絨毯のお店】

しかしその後、長い間、旧ソ連の侵攻やムジャハイデン戦争などの前線となってしまい、この土地の人びとの文化・知識・経済は計り知れない被害を受けました。北部の県へ通じる重要な場所であったため、タリバン政権時代にタリバンと北部同盟の境界線となり、荒廃しました。残念ながら、この15年間、新しい政権はチャリカの復興・開発を行っていません。
チャリカは小さい町ですが多くの人口を抱えています。通行量は多いのに道路は1つだけです。ここにある全てのものが、カブールから運ばれてきたものです。住民の多くが農家で、他には政府職員や技能労働者や技能をもたない労働者がいます。多くの住民の経済水準は貧困ラインを下回っています。
チャリカは、アフガニスタンの中でも特に水不足に悩まされている地域です。そのため、1977年にパンジシャール川から水路が引かれました。この水は飲み水として安全なものではありませんが、大半の人は飲み水として使っています。
2015年の調査によれば、貧しいためにやむを得ず衛生的でない水を飲むことで、多くの病気が引き起こされています。他にも、人びとが適切な衛生教育を受けていないこと、医療機関が不足している状況などが人びとの健康に影響しています。
このような環境下で、学校や病院を建設・再建し、研修を行い、啓発を強めることは、健康的な生活を楽しむことのできる新しい世代を生みだすことにつながります。
JENは、2002年にパルワン県での活動を始め、2005年からチャリカで水衛生事業を実施しています。2017年に実施を計画している事業では、学校施設整備・教師を通じた衛生教育により、生徒の衛生の改善と、衛生関連の知識が生徒から彼らの家族・地域の人々に波及していくことを目指しています。
フィールドオフィサー
ズフラ・アフシャル
【市場のメインストリート】

【チーズのお店とドライフルーツのお店】

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8月 12, 2016 文化、生活、習慣水衛生環境改善衛生教育 | Permalink
2016年6月30日 (木)
教師向けの衛生教育研修を行いました
地域の子どもたちの多くはよく風邪を引き、下痢や他の病気にかかっています。原因として、石鹸を使って手を洗わないこと、水源が汚れていること、基本的な衛生的習慣がないこと、保健の知識がないことが挙げられます。
子どもたちがばい菌を手につけた状態で目・鼻・口などを触ってしまうことで、その子だけでなく家族全員に感染が広がったりしてしまいます。手洗いは多くの病気から身を守る一番の方法です。
JENは教師向けに3日間の衛生教育研修を行いました。教師が生徒にその知識を伝え、生徒が家族や地域の人々に衛生の重要性を広めまることを目的としています。ここでいう衛生とは、たとえば、水、個人的衛生、環境衛生や食品衛生などです。
【JENの教師向け衛生教育研修を受けている教師たち】

【衛生教育中、教師が実際に石鹸を使って手を洗っている様子】

研修に参加した方々から、衛生教育に関してよく学ぶことができた、という意見を聞くことができました。
ある教師は、「この研修はとても興味深く実用的だ。以前は、個人として衛生について気に留めたこともなかったが、簡単かつとても重要なものなのだと理解できた」と話してくれました。
またある女性教師は、このようなことを話してくれました。
「衛生的・非衛生的な食べ物があることを学び、非衛生的な食べ物は私たちの命の危機を招きかねないと知りました。正しい食品の保存は、細菌から家族を守るために必要だということも学びました。今後は、台所や食べ物が清潔かどうかを確認しようと思います。調理する前に石鹸で手を洗うことも重要です」
彼女は、それらの内容を自分で実践するだけでなく、生徒たちに伝えることにも積極的で、その知識を生徒たちの家族や地域の人々に広めるよう話しているとのことです。それがJENの衛生教育の目的であることを理解してくれているからです。
【衛生教育の重要性についてインタビューを受ける女性教師】

これまでに、チャリカの30の学校の748人の教師に衛生研修を行いました。その教師が今後半年にわたって生徒に衛生教育を行う予定です。
この半年間、JENは3回にわたり生徒向けの衛生教育のモニタリングを行います。衛生教育実施前後のKAP調査や、生徒宅への訪問によって、衛生教育がどのように生徒たち・家族及び地域に影響を与えたのか調査する予定です。
【JENのフィールドスタッフとKAP調査前の生徒たち】

写真④
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6月 30, 2016 衛生教育 | Permalink
2016年6月16日 (木)
衛生教育、防災・減災に関するメッセージを学校教育委員会を通じて伝える
JENは対象地域に住む人びとの衛生習慣・行動の改善の改善に力を注いでおり、主に生徒に焦点を当てながら、地域住民へ効果が派生していくことを期待しています。
本年の活動ではそれに加えて防災・減災教育を実施し、生徒や地域社会が災害を予防しその被害をおさえることへの意識喚起を行いました。
さらに効果を拡大するため、JENは学校運営委員会の委員に対して衛生や防災・減災の研修をすることを計画しました。この研修を受けた学校運営委員が、単に自身の日常生活に役立てるだけでなく、各家庭や地域社会に広めていくことが期待できます。簡易かつ効率的な方法でこのような知識を地域社会全体に広めていくには、学校運営委員会が最も効果的であると言えるでしょう。
学校運営委員への研修は、チャリカ地区の30の学校にて実施し、いずれも本年の5月半ばに開始し、6月半ばまでに完了予定です。
学校教育委員会は、学校や地域社会において上記研修の実施を担い、JENスタッフはその進捗管理及びフォローアップ研修を行うこととなっています。
事業終了時には、JENがいなくなった後も継続的に研修が行われるように、学校教育委員会に対し行動計画を引き渡す予定です。
また、国家災害管理庁と協調して、継続的な研修実施及び政府機関によるフォローアップをサポートします。
このようなシステムを通じて、継続可能で一体的な衛生教育及び防災・減災教育の実施を確保します。
JENは、学校運営委員が今後も学んだ衛生習慣・行動の知識を自分たちの普段の生活に応用しながら、家族や地域住民にそれらを伝えてくれると信じております。
【JENスタッフによる衛生教育の様子(2016年5月19日)】

【学校運営委員への防災・減災研修の様子(2016年6月8、9日)】

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6月 16, 2016 衛生教育防災教育 | Permalink
2016年4月28日 (木)
衛生教育において学校衛生委員会が果たした役割

貧弱な衛生設備しかない状況におかれた子どもたちを守るため、JENのスタッフは対象校すべてに健康的で衛生的な環境を提供しようと活動を開始しました。
まず、全ての対象校で飲み水の水質検査を行い、25校の水が飲用に適さないことがわかりました。JENは各学校にその水を飲まないよう警告版を設置しました。
さらに生徒の安全を守るため、各学校に学校衛生委員会を設置しました。委員会は10人からなり、うち8~9人は生徒、1~2人が教師です。
この生徒たちはJENのスタッフから研修を受けました。その内容は、安全な水とそうでない水の違いを知り不衛生な水を飲まないようにすること、警告版設置について、学校管理委員会とのデータの共有、教育局の衛生担当者に毎月報告をすること、などです。

学校衛生委員会は生徒全員にグループセッションと個人セッションを実施しました。毎朝、委員会のメンバーが生徒の衛生状態をチェックします。休憩時間には生徒たちが汚染された水を飲みに行かないか観察し、飲んでいる生徒がいたら、理由をきちんと説明して飲ませないようにします。
学校衛生委員会は、学校管理委員会とも協力して活動を進めています。
学校衛生委員会の効果を測るため、25校で事前および事後調査が行われました。各学校で生徒10人に以下の質問に答えてもらいました。
•皆さんの周りにはどのような水がありますか。
•水源をいくつ知っていますか。
•どの水源が衛生的ですか。
•どの水源が不衛生ですか。
•あなたが飲んでいる水は変な匂いがしますか。
•あなたが飲んでいる水は変な味がしますか。
•水のせいで病気になることがあると思いますか。
•衛生的な環境とはどういうものですか。
•手洗いはなぜ大切なのですか。
•いつ手洗いをしますか。

生徒たちの回答に基づき、生徒をA、B、Cの3つのカテゴリーに分けました。十分な衛生知識を持ちそれを実践している生徒はA、ある程度の衛生知識を持ち、まあまあ実践している生徒をB、衛生知識がほとんどなく、実践もしていない生徒をCとしました。
事前調査では、Aの生徒は1人もいませんでした。250人のうち214人がB、36人がCでした。
しかし、衛生に関して生徒たちに詳しく教えた後再び調査したところ、なんと250人中243人がAになりました。そしてCとされた生徒は1人もいませんでした。
以上のことから、学校衛生委員会の活動に効果があったことがわかります。彼らは生徒たちに衛生知識を広げることに成功しました。
事後調査によると、生徒たちは悪影響について理解しているので、汚れた水を利用することはなくなりました。
さらに、学校衛生委員会と学校管理委員会の間の連携が大変強くなったため、以前よりずっと助け合うようになりました。
人事・総務アシスタント
フメイラ・ワハブ
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4月 28, 2016 衛生教育 | Permalink
2016年3月10日 (木)
2015年 JENの活動を振り返って
JENは以前からアフガニスタンの支援を続けており、現在はパルワン県にて活動しています。
パルワン県の2地区において水衛生施設と学校施設を3校で建設、これにより2,354人の生徒と72人の教師が、設置された施設を利用することができるようになりました。
このほか、生徒たちの衛生習慣を改善することを目的に、チャリカ地区の20校に在籍する31,952人の生徒、1,046人の教師、118人のムッラーと呼ばれる地域の指導者を対象に、衛生に関する授業や衛生教育研修を行いました。ムッラーを通じて、礼拝のためにモスクを訪れる人々に衛生知識が普及していくことが期待されています。
また、衛生知識の自発的な普及を目的に、21校において学校管理委員会を設立し、研修を行いました。同時に、低学年の子どもたちを中心に、モバイルシネマという映像を用いて、より分かりやすく効果的な衛生教育活動を行いました。
【生徒がモバイルシネマを見た後、質問に答えている様子】

衛生支援のほか、ゆめポッケ事業を通じて、文房具やおもちゃなどをアフガニスタンの子どもたちに配布しました。今年度はチャリカ地区の17校中5,090人に配布を行いました。これを通じて、生徒の学習意欲を刺激し、教育の質を向上させることが期待されています。
【ゆめポッケを受け取った生徒たち】

ほかに、昨年起きた大地震の被災者への越冬物資の配布も行いました。厳しい冬を乗り越えるため、バダフシャン県キシュム地区にて625被災世帯に、バグラーン県にて235被災世帯に、物資を配布しました。
【配布された越冬物資】

【物資配布後の避難民への聞き取り調査の様子】

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3月 10, 2016 学校修復・建設支援物資配布衛生教育 | Permalink
2016年2月25日 (木)
ゆめポッケを受け取った少女からの手紙
私はハディッサ、世界中の他の女の子と同じような女の子です。でも、私はバービーちゃんの顔を見たこともなかったし、鉛筆一式がどのようなものかも知らなかったし、ノートを2冊持ったこともありませんでした。私はもし人形や、たくさんの鉛筆、ノートを持っていたら、といつも心の中で願っていました。
ある朝、いつも使っている細い紐で本を束ね、穴だらけの制服を着ました。犬と一緒にぶどうの木やしげみを通って新しい学校へ歩いていきました。学校の庭にはたくさんの花が植えられていて、水が絶え間なく流れています。犬は、校舎の隅に居場所を見つけて、学校が終わるのを立って待っていました。
長い廊下の左側の2番目の教室に入ったら、先生はもう教室にいて、授業をしていました。授業が終わった後、先生は「驚くようなことがあるから待っているように」と言いました。
私たちが外で遊ぶ時間がなくなってしまうことを残念に思いながら待っていたら、2人の男性が教室に入ってきました。生徒は皆、彼らのことが誰だかすぐにわかりました。なぜなら、彼らは以前ビデオを持ってきて、「石けんで手を洗っていますか?」と尋ね、歯を磨くようにと念を押したからです。
そして、彼らは教室に段ボール箱を持ってきて、小さな色とりどりの袋を取り出し、「これは『ゆめポッケ』というものだ」と言いました。私はその中に何が入っているのか知りたくてたまりませんでした。先生が、「ハディッサ、君の袋を開けてごらん」と言いました。私が最初に袋を開けることになり、ゆっくりと袋を開け始めました。
なんとまあ!
袋の中には、色鉛筆一式、ペン、鉛筆、ハンカチ、コップが入っていました。小さな人形が5つも入っていて、先生は女の子の名前はバービーで、小さな鹿の名前はポーだと言いました。また、何種類かのノートや、私は読めないけれど英語で何かが書かれているカラフルなカードもありました。すると、ゆめポッケを持ってきてくれた人が、カードを持って読んでくれました。
「日本から愛を込めて。いつか平和になり、教育が受けられますように」というメッセージが書かれていました。
私の夢は全て叶い、落ち着いていられませんでした。先生は私が嬉しくないから泣いているのだと思いました。私が泣いていたのは、遠くの誰かが私の夢に気づいてくれて、私の夢を全部かわいい袋に詰めて送ってくれたからです。私がもらったのは単なる袋ではなくて真心です。
日本の親友の皆さんへ、心を込めてこの手紙を送ります。私がアフガニスタンで皆さんのことを想っていることを、覚えていてくださいね。
【ゆめポッケを開けて色鉛筆の束を取り出しているハディッサ】

【夢について語るハディッサ】

<以前のゆめポッケ配布の記事はこちらから>
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2月 25, 2016 支援物資配布衛生教育 | Permalink
2016年2月12日 (金)
JENの衛生教育プログラムの役割
JENは2011年から、対象地域で衛生教育プログラムを実施しています。このプログラムの基本的な目的は、生徒たちに安全な衛生行動を意識してもらうことです。
ここ数年間で、JENの衛生教育は生徒たちの日常生活に浸透してきました。さらに、生徒たちが学校で学んだ衛生知識や習慣を親やコミュニティに伝える様子も見受けられ、人々の衛生行動の改善に関してこのプログラムがとてもよい影響を与えていることが、JENの調査によって判明しています。
今年、JENはチャリカ地区の20の学校で衛生教育を実施し、合計で31,952人の生徒と1,046人の教師が衛生に関する知識を得ました。
また、118人のムッラーが衛生教育を受け、モスクを活動拠点とするムッラーを通じて衛生の考え方が広く伝わることが期待されています。
2015年4月、チャリカ地区の学校20校で合計200人を対象に、事業実施前に行うKAP(知識習慣実践)調査が行われました。
調査結果によると、JENの事業前は衛生習慣が高いレベルにあるとされた生徒は1人、中くらいのレベルにあるとされた生徒は37人、低いレベルにあるとされた生徒は163人でした。
これに対し、2015年11月に行われた衛生教育後の調査では、衛生習慣が高いレベルにあるとされた生徒は191人、中くらいのレベルにあるとされた生徒は10人、低いレベルにあるとされた生徒は0人という結果が出ました。
このような調査結果により、JENの衛生教育プログラムはとても効果的であり、生徒たちの衛生行動を改善するのに重要な役割を果たすことが示されました。
【衛生教育の授業にて習った知識を実践する様子】

【実際に経口補水塩を作っている様子】

【清潔を保つため、爪を切っている生徒】

シニア・プログラム・アシスタント
ハニフ・カン
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2月 12, 2016 衛生教育 | Permalink
2015年6月18日 (木)
2014年事業後モニタリングの結果
JENではアフガニスタンで支援を行うのにあたり、質の良い支援を目指すとともに、JENが去った後にも支援の効果が続いていくことを目標にしてします。そのため毎年、過去の事業地のいくつかを訪れて、効果の継続を判断するためのモニタリング調査を実施しています。
アフガニスタンでは主に学校施設整備と衛生教育を行っていますので、これまでに支援を受けた人々が衛生教育で教わったことを実行しているか、整備された校舎やトイレはきちんと維持され使われているか、を調べます。
2014年度に行われたモニタリングの結果は、大変素晴らしいものでした。調査は2011年~2013年に事業を行った学校のうち、水衛生設備を含む施設の整備と衛生教育を実施した17校で行われました。JENアフガニスタンチームのメンバーが、教師や生徒に対してインタビューを行ったり、自分たちの目で確認したりして、すべての施設の状況や衛生教育の効果をチェックしました。


調査によりわかったことは以下の通りです。
○生徒の就学率の向上
○学校の衛生環境の改善
○飲用水の質の向上
○ 生徒の教室美化と環境衛生に関する知識の向上
17校すべてに、JENがその設立に協力し、運営ノウハウの研修を実施した学校管理委員会があります。
それぞれの学校管理委員会では、教員や生徒、コミュニティから学校維持管理の資金を積極的に集めており、一部の学校では集められた資金で施設の部分的な改修まで行われていました。
事業中に建設されたトイレや学校の壁、貯水槽や井戸などもすべてきちんと管理され、良い状態が保たれていました。
支援を受ける前と後では、学校設備に大きな差を感じる、という声も聞かれました。

また、すべての学校でJENの事業終了後も毎日衛生教育が続けられていることもわかりました。2011年に支援を受けた学校では、これまでの4年間、休むことなく行われているのです!
2015年度も同じように、過去に事業を行った21校でモニタリング調査を行っています。今のところ14校において進行中で、すべての学校で調査が終わり次第結果の分析が行われます。
今年も、去年のように素晴らしい結果が出ると良いなぁと、思っています!

JENアフガニスタン
シニア・プログラム アシスタント
ハニフ・カン
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6月 18, 2015 水衛生環境改善衛生教育 | Permalink
2015年3月26日 (木)
学校教員への衛生教育研修の反響
JENアフガニスタンプログラムでは、3月1日から、特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成と皆さまのご支援を受け、パルワン県チャリカ地区・シンワリ地区にて学校環境整備及び衛生教育事業第5期を開始しました。
今年は同2地区にて、3校の給水・衛生施設及びその他学校施設を整備し、チャリカ地区20校及び宗教聖職者(ムッラー)を対象に衛生教育を実施します。これまでの支援と同様に、これらの活動によって、子ども及びコミュニティの衛生環境改善を図るとともに、子どもたちにとって安全で快適な学校環境を確保することを目指します。
今年は、5ヶ年プログラムの最終年となるため、ジェンの活動終了後に教育局関係者が自ら学校の維持管理及び衛生教育の普及を継続していけるよう、自立発展性の強化が鍵となります。
3月3日から19日にかけて、チャリカ地区20校の全教員1,005名に対し、3日間に渡る衛生教育研修を実施しました。5月からは、この研修を受講した教員が6ヶ月をかけて授業の中で衛生教育を生徒へ伝えていく予定となっており、その授業開始準備が整いました。
研修では、教員が積極的に参加し、学ぶ意欲にあふれている様子が伝わってきました。受講した教員は、衛生教育の重要性を理解し、生徒、そしてコミュニティへ衛生教育を伝えていくことを約束しました。
【衛生教育研修の様子】



今回衛生教育を受講した教員の1人の声をお届けします。
氏名:ライラテュル・カダ氏 (41歳)
職業:チャリカ地区Hora Jalali 高校教員

「衛生教育は人間の生活にとって非常に重要な要素です。
今回の研修は興味深く、衛生教育について学ぶ良い経験となりました。特に、研修で取り上げられた、経口補水液、水の殺菌方法、月経時の衛生、そしてどのように手洗い習慣を改善していくかなどの項目は、新たな学びとなりました。コミュニティ全体が衛生教育を実施していくことの重要性も学びました。
衛生教育の研修の機会を与えて下さり、有難うございました」
JENパキスタン事務所
アフガニスタン・プログラム・オフィサー
藤田めぐみ
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【緊急企画】イラク国内避難民緊急支援活動報告会を開催します。
イラク北部にて緊急支援に従事しているスタッフが帰国します。
今、イラク北部でなにが起こっているか、JENは国内避難民に対しどのような支援活動を行っているか、今後の活動の展開は、など、緊急支援活動報告会でご紹介いたします。
ふるってご参加ください。
くわしくはこちら
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3月 26, 2015 衛生教育 | Permalink
2015年2月26日 (木)
衛生教育の波及効果を調査しました
以前から時々お伝えしている衛生教育支援に関し、今回は最新の調査で分かった成果を紹介したいと思います。
JENは、衛生的な行動が習慣になるように、子どもたちに衛生の大切さを知ってもらうための支援をしています。子どもは特に、皮膚疾患、発疹、感染症、傷など、衛生状態に関係する疾患にかかりやすいのです。早い時期に、感染や病気を防ぐために必要ないくつかの予防策を教えます。
JENが子どもたちを衛生教育支援の対象としているのは、子どもたちは社会の中で最も活発な存在で、自分自身の行動を変えるだけでなく、家族やコミュニティの人々にも衛生的な行動を奨励する役割を担っている、と考えているからです。
昨年の支援活動が一通り完了した後、2015年1月に、子どもたちからどのくらいの波及効果が得られたのかを確認するための戸別調査を、スルヒ・パルサ地区とシーハリ地区で行いました。調査対象となったのは、衛生教育を受けた子どもの家族合計72名です。
【スルヒ・パルサ地区での調査】

【シーハリ地区での調査】

調査では、98.61%の回答者が、自分たちの子どもから衛生教育について話を聞いたと答えました。さらに、親たちに衛生教育の内容がよく伝わったことが分かりました。
というのは、まず、回答者全員が安全ではない水が下痢を引き起こすことを理解していたからです。また、「食事の前やトイレの使用後には手を洗うべきだ」と答えたのも全員でした。このほか、全員が煮沸で水を消毒できることを理解しており、83.33%は消毒の方法として塩素消毒も有効であることを理解していました。
食べ物の衛生管理に関しては、「食べ物に蓋をして保管している」と答えた人は100%でした。そのうち38.8%の人は、蓋をする理由として、「食べ物を安全に保つため」と答え、29.1%の人は「病原菌や虫から食べ物を守るため」と答えました。
調査の際、複数の人たちから、「個人の衛生環境はコミュニティの健康や衛生状態にとても大きな影響を与えるので、今では自分の衛生環境にとても気を使っている」といった声を聞くことができました。
これらの調査結果から、JENの衛生教育プログラムがコミュニティの人々へ少しずつ変化を起こしていることが確認できました。また、これにより、衛生教育の授業を直接受けた子どもたちが、衛生を保つことの大切さを十分に理解しただけでなく、それを家族にきちんと伝えている、ということも見て取れました。
ジェンイスラマバード事務所 会計アシスタント
サマル・ブット
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2月 26, 2015 衛生教育 | Permalink
2015年1月29日 (木)
支援を行っている学校での「世界手洗いの日」
毎年10月15日は「世界手洗いの日」に指定されています。手洗いという簡単な行動が、病気を防ぎ、命を守ることにつながります。
JENは2012年以降、世界手洗いの日には支援対象校において、手洗いにまつわるイベントを実施しています。
昨年の10月にも、対象となる学校で、にぎやかなイベントが開催されました。


石けんで手を洗うことによる効果と、衛生状態の悪さが引き起こす下痢や肺炎の恐ろしさを理解してもらうために、イベントでは、衛生教育についての絵やエッセイのコンテスト、ゲーム、ロールプレイなどを行っています。
また、現在では、ラジオ、テレビ、国内の新聞などで、世界手洗いの日についての公共広告が流されるようになりました。
衛生教育の重要性を理解した生徒、教員、パルワン県理事会、コミュニティは、住民、特に子どもたちの病気や死亡を防ぐのに貢献しています。
イベントで行われた各学校のエッセイコンテストでは、子どもたちは石けんで手を洗うことの大切さをどのようにして知ったか、どうやって友だちにも石けんで手を洗うように働きかけたかなどについて書きました。
ある生徒はエッセイに次のように書きました。
「子どもが下痢になるのは、神様からのお仕置きだと思っていました。ある日、衛生状態が悪いことが下痢の原因になるのだとJENのスタッフから聞きました」
イベント後のある日、JENスタッフはモニタリングで訪れた衛生教育の授業で、手を挙げた数人の生徒たちに教室の前方に出てきてもらいました。そこの床には、水が入った2つのバケツと石けんとタオルが置いてありました。
「それでは、家でどのように手を洗っているのか、やってみせてください。クラスのみんなも、君たちから学びたいと思っているんだよ」
とJENのスタッフは笑顔で言いました。
すると、その生徒たちは完璧な手洗いを披露してくれました。
衛生教育授業と同様に、「世界手洗いの日」のイベントを行った学校でも、現在ではトイレを使用した後には石けんで手を洗えるようになるなど、生徒たちは前よりもよく手を洗っています。
JENアフガニスタン事務所 チーフ・エンジニア
シル・アリ
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1月 29, 2015 衛生教育 | Permalink
2014年12月11日 (木)
低学年児童にも広がる衛生教育
衛生的な行動は健康を保つために行うものです。個人が衛生状態を保つための行動には、入浴や手洗い、歯磨き、清潔な衣服を着ることなどが含まれます。
このような衛生的な行動は、社会にも役立ちます。体を清潔に保つことは、自分だけでなく周りの人たちの病気を治したり、防いだりするために不可欠です。例えば、手洗いは病原菌が人から人へ、また体のある場所から別の場所へと広がるのを防ぐことができます。歯を磨くことは、口の病気や他の病気を防ぐことに役立ちます。
JENは現在アフガニスタンパルワン県の、スルヒ・パルサ地区とシーハリ地区で衛生教育プログラムを行っています。
プログラムの最初に、JENは学校の教員を対象に衛生教育研修を行いました。その後、その教員によって、夏休みの7月を除く5月~11月の間に衛生教育の授業が行われました。
アフガニスタン社会の中で、教師は大きな影響力を持つため、教師による衛生教育は広範囲に効果をもたらすことが期待できます。
半年間、毎日直接先生から教わりながら練習することによって、子どもたちにとって手洗い、歯磨き、爪切りなどが当たり前の習慣になることが期待されます。
一方で毎年、高学年にくらべ、低学年の児童の理解度が伸び悩むことが課題となっていたため、昨年からJENは小さな子どもも楽しく学べるよう、衛生に関するアニメの上映を活動に加えるようになりました。
以前お伝えした通り、JENでは衛生教育プログラムの効果を確認するために、定期的にモニタリング調査を行っています。調査は年に4回、6月、8月、9月、10月に行われます。
今年の調査では、低学年で衛生習慣が「とても良い」児童の割合が、6月は112.89%だったのが、10月には55・30%に上昇したことが分かりました。また、同じく低学年について、衛生習慣が「良くない」児童の割合は、6月時点で31.55%だったのが、10月には2・06%に減少したことが分かりました。


このことから、JENの衛生教育プログラムが低学年の児童たちにも大きな変化をもたらしていることが見て取れます。毎月の数値の推移では、衛生習慣が「とても良い」児童たちが月を追うごとに増え、「良くない」生徒たちが連続して減っていることがわかりました。
今後も小さな子どもにも確実に衛生習慣が身につくような工夫を重ねていきたいと思います。

ジェンアフガニスタン 経理アシスタント
サマル・ブット
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12月 11, 2014 衛生教育 | Permalink
2014年10月30日 (木)
着実に広がる衛生教育
JENは2010年より、パルワン県の人々の健康状態を改善するために、特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォームおよび支援者の皆様のご支援を受け、学校での水衛生施設と衛生教育を実施しています。
毎年、JENは衛生教育プログラムの影響を測るために、学校でモニタリング調査を行います。今年は4回予定されているうちの3回分のモニタリング調査を完了しました。
【スルヒ・パルサ地区のSoghra Shaheed女子高校
衛生教育活動についての生徒へのモニタリング】

モニタリング調査の結果は、大いに勇気づけられるものでした。
6月の時点で、「大変良く衛生的な行動ができている」と評価された生徒は45.67%で、8月にはその数値が62.10%に上昇し、更に10月には64.97%となりました。
また、6月の時点では、きちんと衛生的な行動がとれていない生徒の割合が18.79%でしたが、8月には5.70%に下がり、10月にはさらに4.29%にまで下がりました。
これはとても大きな変化だといえます。回を追うごとに改善がみられることから、次のモニタリングではさらに良い結果が期待されます。これまでで最大の成果は、高学年生徒の中にはすでに、衛生的な行動が取れていない生徒が1人もいないということです。
このようなJEN独自のモニタリング結果に加え、対象地域における下痢患者の割合が大幅に減っていることも、現地政府機関である公衆衛生局の統計データで確認されています。
同データでは、毎月・毎年の下痢患者減少率が、JENの活動対象の地域では、対象外の地域よりも顕著であることを示しています。2009年当初と比較すると、下痢患者の割合は、JENの活動対象外の地域では5.3%の減少率にとどまっているのに対し、対象地域では53.5%減少しています。
このように下痢患者の割合が継続的に減少していることから、学校やモスクでの衛生教育が地域に浸透し、今後も減少傾向が続いていくことが期待されます。活動の成果が広がり、持続されるよう、今後も工夫を重ねながら活動を継続していきます。
【教師たちに研修が行われました。教師たちはさらに、生徒たちに衛生知識を学校で生徒たちに教えました。
Khakriz 男子高校】

【2014年6月、Amam-e-Mehdi女子高校で巡回映画が上映されました】

イスラマバード事務所 シニアプログラムアシスタント
ハニフ・カーン
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10月 30, 2014 衛生教育 | Permalink
2014年10月16日 (木)
手を洗うこと
手洗いは人々の衛生にとって大変大切な習慣の一つです。感染症を防ぐ最も効果的な方法なので、手洗いは予防接種の一種と言っても過言ではないでしょう。
一般に手洗いとは手を洗う行為で、泥やほこりや細菌を取り除くために、水や石けんやアルコール性殺菌剤等を使います。
人は何気なく他の人に触れることによって細菌を移してしまう可能性があります。また汚染された物に触ったあと自分の顔や口、目や鼻や体の他の部分に触れることで、細菌に感染することもあります。
手洗いは時間もかからず、大きな努力も必要としませんが、病気の予防に大変役に立ちます。この小さな習慣を身に付けることは、私たちの健康を守るのにとても重要なのです。
日常の手洗い、特に食事前やトイレの後などある種の行動の前後に行う手洗いは、細菌を取り除いたり、病気を予防したり、細菌を他の人に移すのを防いだりするための一番良い方法です。
手洗いには通常5つのステップがあります。濡らす、石けんをつける、ゴシゴシと洗う、水で洗い流す、そして乾かす、です。手や腕にアクセサリーを付けていたら、手を洗う前に外した方がいいでしょう。
料理をする前後、食べ物を食べる前後、病人の介護をする前後、傷やケガの手当の前後、トイレを使った後や子どもの世話をするとき、鼻をかんだり、くしゃみをしたり、動物やゴミに触ったりした後は、必ず手を洗わなければなりません。
石けんや水が使えない場合は、アルコール性殺菌剤またはある種の細菌を除菌できる灰や泥を使います。灰は、アフガニスタンでは細菌を取り除く他の手段がない時によく使われます。
ジェン・アフガニスタンは、教師に対する衛生教育のトレーニング、そしてその教師を通じての生徒に対する衛生教育を行うことで、生徒からその家族やコミュニティーに対して衛生教育が波及することをねらいとしたプロジェクトを実施してきました。
その結果、生徒や教師やその家族たちの衛生に対する意識に大きな変化が見られるようになりました。つまり、健康でいるためには清潔な状態を保つことがとても重要だという意識が芽生え始めたのです。
【世界手洗いデーのセレモニーで、石けんで手を洗う子どもたち】

【ジェンのHEモニタリングの際、石けんで手を洗う子どもたち】

【フォローアップが実施された際、石けんで手を洗う子どもたち】

ジェンの20周年記念として、ジェンの各国事務所に「手を洗おう」という言葉をそれぞれの国の言語で描いたポスターが共有されました。アフガニスタン事務所スタッフも、自分たちが伝えている手洗いの大切さを忘れないよう、ポスターを事務所に掲げて活動を続けています。
【ジェン・アフガニスタンのスタッフたち】

【ジェン20周年のポスターを持つ筆者】

ジェン アフガニスタン事務所
シニア・フィールド・オフィサー
ハミードゥラ・ハミッド
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10月 16, 2014 事務所・スタッフ衛生教育 | Permalink
2014年2月 6日 (木)
学校施設整備事業が無事完了しました
2013年にジェンがパルワン県スルヒ・パルサ地区、ゴルバンド地区で実施した、JPF助成による学校衛生環境整備及び衛生教育事業は、同年12月に無事完了しました。この事業からジェン職員は多くの経験と学びを得ました。以下にその一端をご紹介します。
まず事業形成段階では、パルワン県教育局や行政関係者との会議を行い、その後、コミュニティのニーズを把握するために住民への調査を実施し、事業案を作成しました。
事業開始後、ジェンのエンジニアとフィールド・オフィサーは教育局と打ち合わせを行い、各学校の建設事業地へ視察に行き、各学校関係者・コミュニティリーダーと長時間にわたる会議を行いました。会議では、コミュニティが事業へ参加・連帯するよう促し、ジェンの方針・使命、事業内容・目的を説明し、ジェンが契約する建設会社の紹介や、建設工事工程や研修の詳細な打ち合わせを行いました。この会議をもって、学校の校長先生、教員やコミュニティリーダーは学校管理委員会のメンバーとなり、事業の覚書を結びました。
【ゴルバンド地区Kana Khil中学校の学校運営委員会・教育局職員】
【工事前の学校管理委員会メンバーとの話し合い】
事業実施中、ジェンエンジニアチームは毎日学校の建設工事現場へ監督に行き、毎週建設会社と工事進捗会議を開き、進捗、工事の質の確認、教育省基準の適合、問題解決、治安状況対策について討議し、密な調整を行いました。
事業地周辺では、反政府軍と政府軍の衝突が起こり、不安定な治安状況が続いていました。安全確保のためのコミュニティや教育局、各関係行政との強い連帯関係があったからこそ、事業を無事に進めて行くことが可能となりました。
予定していた通りに活動が進まないことも多々ありましたが、職員一人一人が責任を持ち、計画通りに進めていくよう全力で取り組みました。また、常に事業の透明性を保つよう心掛け、コミュニティや学校の関係者から、ジェンの建設工事事業の質の高さに対して一定の評価をいただきました。
ジェン・アフガニスタンプログラムは、アフガニスタン現場チーム(エンジニアチーム、衛生教育チーム、庶務・会計チーム、治安対策チーム)、イスラマバード遠隔管理チーム、東京本部チームが一つの大きなチームとなって活動しています。支援を必要としている人々が将来に希望を持てるよう、チーム全員が一体となって協力・サポートし合い活動を進めました。
治安状況が不安定な地域において、学校施設整備事業を成功裡に終えることができたのは、ここに記したように、ジェン内外において事業にかかわる機関やスタッフとの連携、協力があったからこそです。関係機関およびスタッフの協力に感謝します。
【学校建設が完了したKana Khil中学校】
JENアフガニスタン・チャリカ事務所 チーフエンジニア
シル・アリ
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2月 6, 2014 学校修復・建設衛生教育 | Permalink
2013年11月21日 (木)
モバイルシネマの反響
前回は、衛生教育事業の一環である、モバイルシネマによる生徒たちの行動変容についてご紹介しました。今回は、そのモバイルシネマに対する生徒やコミュニティからの反響をお伝えします。
特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォームの助成により実施中の同衛生教育事業では、低学年児童の衛生教育理解度の向上を目指し、6月、8月、9月にモバイルシネマ(衛生教育に関する映画上映)を、事業対象校とその周辺コミュニティに対して実施しました。その反響は大きく、上映の際には学校の児童生徒に加え、コミュニティからも子どもから大人までたくさんの方々が集まりました。


上映開始後のある学校では、次の回の上映のためにジェン現地スタッフが再び学校を訪れた際、次のような光景を目にしたそうです。
7歳の子どもが手を洗わないでリンゴを食べようとしていたところ、8歳の別の子どもが「リンゴを洗わないで食べたらだめだよ。ミナ(物語の主人公)が映画で言ったみたいに、フルーツを洗わないで食べると病気になっちゃうよ」と注意していたのです。このことから、モバイルシネマの効果が表れ始めていることがわかります。
また、ある64歳の男性は、3回の上映会に参加し、「食事をするときにいつもミナを思い出し、彼女が私に語りかけ、しっかり手を洗わなくてはならないことを思い出させてくれる」と話していました。映画による衛生教育のメッセージは、学校の子どもだけでなくコミュニティの方々にも届き、それが行動にも繋がりつつあるようです。
ジェンが活動している地域では娯楽の機会が少なく、映画を一度も観たことがない方々がほとんどです。そのような環境の中、モバイルシネマは学校の子どもたちやコミュニティの方々に映画という娯楽を通し、衛生教育のメッセージを効果的に伝えるツールとなっています。
今年のモバイルシネマ活動は終了しましたが、ジェンは来年も別の学校、コミュニティを対象にモバイルシネマの実施を計画しています。今後も引き続き、衛生教育のメッセージを生徒・コミュニティの方々へ伝え、対象地域の人々の健康の改善を促進し、サポートしていきます。
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11月 21, 2013 衛生教育 | Permalink
2013年11月 7日 (木)
行動の変化をもたらすために
殆どの人道支援プロジェクトは、コミュニティの姿勢や行動に長期的な変化をもたらすことを目標にしています。そのため、JENアフガニスタン事業のマネージャーたちは、コミュニティの普段の行動に注目しながらプロジェクトの計画を練り作ります。
アフガニスタンでは、今も多くの人々が衛生にあまり関心を持っておらず、その無関心がさまざまな病気につながっている状況です。
ジャパン・プラットフォームと皆様からのご支援によって実現している衛生教育プログラムは、教員やムッラーに衛生教育研修を行い、彼らからコミュニティに衛生知識が波及される仕組みになっています。
【先生たちの手洗い研修】

この仕組みを強化するため、JENは今年から学校での衛生教育に、モバイル・シネマというユニークな手法を導入しています。この活動では、子どもたちになじみのあるアニメや映画を使用した衛生に関するストーリーを上映します。これによって子どもたちが正しい衛生習慣に興味を持ち、毎日の生活で実践するようになることがねらいです。
【モバイル・シネマに見入る生徒たち】

学校での衛生教育は今年5月に開始しました。JENは生徒の行動の変化を確認するため、モニタリング調査を6月、8月、9月に実施しました。その結果は大きな変化を示していました。
調査では、生徒の衛生知識・習慣の習得度を「大変良い」・「良い」・「悪い」の3段階に分けて測ります。6月には約35%の生徒が「大変良い」のスコアを取得しました。9月にはこの比率は約58%に上がり、逆に「悪い」のスコアの数は6月の12%から9月は7%に減りました。
モバイル・シネマは、衛生教育の理解に特に時間がかかる低学年の生徒たちに集中的に行なったため、低学年の「大変良い」のスコアは、6月の約7%から9月には約29%に上がりました。この伸び率は、昨年の同時期の伸び率に比べると、大きく改善されています。
また低学年では、「悪い」のスコアを取得した生徒は6月の約23%から9月には約15%に減りました。これらの結果から、モバイル・シネマが全生徒、特に低学年の生徒に良い影響をもたらしていると考えられます。
私たちの願いは、このプログラムを続けることにより、子どもたちの行動・生活に持続的でポジティブな変化をもたらしていくことです。
アフガニスタン事業プログラム・アシスタント ハニフ・ハーン
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11月 7, 2013 衛生教育 | Permalink
2013年8月15日 (木)
教育環境改善におけるコミュニティの役割とは
教育の水準や質の改善には、コミュニティが深くかかわっており、中心的な役割を果たします。ジェンはその役割の重要性を理解し、アフガニスタンにおいて持続可能な教育システムを構築する過程で、コミュニティの参加を促し、携わってもらうようにしています。
教育環境整備に貢献しうるコミュニティの働きには、以下のようなものが挙げられると思います。
・学校のための資金集め
・学校施設の整備、修理と改良
・労働力、資材、土地、資金の提供
・学校関係者の士気押し上げ
・学校施設の建設場所やスケジュールについての決定
・学校運営のための学校管理委員会形成
・学校での会議に出席し、子どもたちの学習の進捗や教室での態度について理解すること
・より多くの資源を集め、問題を解決すること
・適切な住まいを用意することで、教員へ安全を提供すること
・教育上の問題につながる要因を特定すること
ジェンは支援対象となるそれぞれの学校でコミュニティのメンバーを含む学校管理委員会を形成し、そのメンバーへトレーニングを実施しています。その主な目的は、彼らを自身の問題解決や、その意思決定過程に巻き込んでいくためです。
学校管理委員会は村の年長者、教頭、コミュニティの有力者、コミュニティ開発議会のメンバーやムッラー(イスラム教聖職者)などのメンバーで構成されています。この委員会は、学校給水・衛生施設の修繕のための資金を集める役割も担います。
アフガニスタンの学校には戦争で破壊されてしまったり、老朽化によってほとんど使用ができない状態の給水・衛生施設が多くあります。これまでジェンがそのような設備を整備し、学校管理委員会の活動を推奨・サポートしてきた学校では、委員会のメンバーが、ジェンによる支援終了後も自分たちで資金を集め、施設の修繕をするようになってきています。
【Dhano女子小学校の学校管理委員会メンバーのミーティング】

【学校管理委員会設立のコミュニティミーティング】

コミュニティが参加することによって、さまざまな形で教育環境に貢献していくことができるのです。
イスラマバード事務所プログラムアシスタント ハニフ・カーン
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8月 15, 2013 学校修復・建設衛生教育 | Permalink
2013年6月20日 (木)
アフガニスタンの水質検査
アフガニスタンは世界でも降雨量の少ない国のひとつで、地表の水分はあっという間に蒸発し、それが水不足につながっています。全国的にみて、アフガニスタンの多くの家庭では安全な飲み水へのアクセスがありません。微生物や物理的、化学的に汚染された水は、アフガニスタンにおいて大きな問題となっています。水源は大腸菌などの有害なバクテリアで汚染されており、それによって多くの人々、特に子どもたちや老人が病気になったり、時には亡くなってしまうこともあります。
パルワン県においても、ほとんどの人たちには安全な飲み水へのアクセスがなく、様々な汚染物質、とくに微生物で汚染された川の水を使っていて、住民、とくに子どもたちや老人の健康に悪い影響を与えています。
一方、アフガニスタンでは薬品を使用した水質検査を行える機関がまだ非常に限られています。また、検査用の水は採取後一定時間内に検査をしなければならないこともあり、現在も薬品を使用しない従来の水質検査に頼らざるを得ない場合が多くあります。そのため、支援団体は独自に検査ができる環境を整えるよう推奨されています。
ジェンも2011年以降環境整備に取り組み、時間を要しましたが、今年から薬品を使用した検査を実施できる環境が整いました。検査道具の準備だけでなく、正しく薬品が扱えるよう、2012年11月に特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォームの助成による学校環境整備・衛生教育事業の一環として、ジェン現地職員が水質検査研修を受講しました。


ジェンは5月から6月にかけて、2011年と2012年に建設した給水施設をした学校を対象に、薬品を使用した水質検査を実施しました。

今回の検査は、WHOなど、いくつかの国際的な水質基準に基づいて行われました。 細菌試験の結果から、いくつかの学校の給水設備の水には、下痢の原因となりうる有害な微生物が含まれていることがわかりました。ジェンはこれらの学校に対し、塩素消毒を行った上で飲料水として使用するよう強く推奨しました。
これらの水質検査結果は、パルワン県の保健総局、農村復興開発局や、教育省保健局と共有する予定です。ジェンは今後も、学校や地域の当事者たち自身がこの水の問題に対応していけるよう、フォローを続けていきます。
ミルワイス・オメルゾイ
(アフガニスタン シニア・フィールドオフィサー)
【水質検査を行う筆者】

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6月 20, 2013 水衛生環境改善衛生教育 | Permalink
2013年6月 6日 (木)
ムッラーへの衛生教育研修のその後
2012年、ジェンは特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォームの助成を受け、パルワン県バグラム地区、ジャブルサラジ地区、シンワリ地区、ゴルバンド地区の348人のムッラー(イスラム教聖職者)に衛生教育研修を行いました。この研修のねらいは、ムッラーによる衛生教育を通じてコミュニティーの衛生知識を向上させることで、パルワン県の宗教局の協力もと実現しました。


宗教局によると、毎週金曜日にモスクで行われる集団礼拝のスピーチの際、ムッラーが5分間衛生教育の重要性・効果について話すことが、今では習慣化しているそうです。
宗教局担当者の話によれば、コミュニティーの人々の衛生への理解が深まり、個人や環境の衛生を保つことに対して高い関心を持つようになってきたそうです。その証拠として、下痢や水因性の伝染病、皮膚病の発生が大幅に減少しているとのことでした。
同局は進んで5~6か月のモニタリングを実施しており、プログラムの長期的な継続に前向きに協力してくれています。
宗教局はこの衛生教育プログラムの実施に深い感謝の意を示し、この活動を広げれば更に大きな効果があるとして、パルワン県の他の地区での実施を要請しています。
衛生知識の向上による人々の行動の変化で、防ぐことが可能な病気や感染症などは大幅に減らすことができるはずです。ジェンはパルワン県の他の地域においても、ムッラーを対象とした衛生教育を継続していきます。

アフガニスタン事業シニア・フィールドオフィサー ミルワイス・オメルゾイ
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6月 6, 2013 衛生教育 | Permalink
2013年4月11日 (木)
スルヒ・パルサ地区でのミーティング
先日、ジェンの現地エンジニアチームは、今年の支援対象地域の一つであるスルヒ・パルサ地区を訪問し、同地区の地区長及び教育局担当官と工事内容を共有しました。

教育局担当官たちは温かく私たちのチームを迎えてくれ、衛生教育に加えて学校施設の整備の支援を受けられることを大変喜んでいました。彼らは何か協力が必要なときは遠慮なくいつでも教えてほしい、と今回の工事に対して全面的に協力することを約束してくれました。

今回の訪問では、事業活動に関する三者協定を、教育局と活動対象校の学校管理委員会と結びました。その際、私たちはジェンのビジョンとミッション、そして目指すゴールについて説明し、長時間にわたり学校管理委員会のメンバーと事業について話し合い、情報共有を行いました。委員会のメンバーは、これまでの学校施設建設に関し多くの問題があったことや、そのような問題をJENの支援によって解決してほしいといったことを私たちに話してくれました。

また、支援対象校周辺のコミュニティは貧しく収入減も乏しいことから、学校管理委員会のメンバーは、「今回の学校工事において地域住民を労働者として雇用してほしい」と話しました。ジェンは既に工事業者との間で、コミュニティの能力強化と事業への貢献のため、地域住民を雇用することを話し合っていたので、そのことを伝えました。
ミーティング中ジェンは、コミュニティが学校施設建設用に提供した土地に関しては土地所有権に関する問題があってはならないことや、工事が終了して施設が教育局に引き渡された後の維持管理は学校管理委員会の責任になる、ということを強調しました。管理委員会のメンバーは皆ジェンによる衛生教育と、学校建設支援に関し感謝の言葉を述べ、支援活動に全面的に協力することを約束してくれました。

ジェン アフガニスタン事務所 エンジニア シル・アリ
※尚、本事業はジャパン・プラットフォームの助成をいただき実施しております。
4月 11, 2013 学校修復・建設衛生教育 | Permalink
2013年3月14日 (木)
学校教員への衛生教育研修
JENは2月に、パルワン県のスルヒ・パルサ地区とシーハリ地区の32校の小学校、中学校、高校の494名の教員対象に、3日間の衛生教育研修を実施しました。
衛生教育を受講した教員は、5月から7月の夏休みを除く10月までの5ヶ月間にかけて、毎日の授業の中で衛生教育を行っていく予定です。この継続的な指導と実践を通して、子どもたちが正しい衛生教育の知識を身につけ、正しい衛生習慣が普及することを目指しています。
教員対象の衛生教育の研修では、衛生教育の観念と重要性、水や食事の衛生、手洗い、爪切りや歯磨き、下痢症状の脱水状態の予防として用いられる経口補水液(ORS)の作り方などの理論学習と実践を行いました。
研修はグループワークや討論などの参加型のワークショップ形式で行われ、参加した教員の方々は、衛生教育に対して非常に興味を示し、多くの質問があり、活発な討論が繰り広げられました。3日間の研修を通して、教員の衛生教育に対する知識や実践力が向上し、教員の方々はこの研修で学んだことを生徒へ伝えていくことを約束し、研修が終了しました。
【衛生教育のグループワーク】

【ORSの作り方の実習】

【手洗い実習】

以下は衛生教育研修を受講した教員へのインタビューです。
教員名:サイド・アディル・シャー(先生
学校名:スルヒ・パルサ地区ハザラ・ゼナップ・ロレンジ女子高校

「私は、以前は衛生教育の観念がありませんでした。この衛生教育研修を受けることによって、私たちの生活でどれだけ重要であり、役に立つのか、またどんな恩恵を受けることが出来るのかを知ることが出来ました。
衛生教育を知っていくことはとても興味深く、今は研修で学んだトピックの全ての知識を得ることが出来ました。
ここで得た知識、実践方法を私の学校の生徒に伝えていきます。また生徒から家族全員に伝えてもらうようにします。このような素晴らしい研修の機会を与えてくれたことに感謝しています」
3月 14, 2013 衛生教育 | Permalink
2012年11月 1日 (木)
世界手洗いの日
国際衛生年であった2008年から、「正しい手洗いを広める」ことを目的に、毎年10月15日が「世界手洗いの日」と定められました。それ以降毎年アフガニスタンでも実施されています。
世界では下痢が原因で命を落としている子どもがたくさんいます。手を洗うことによって下痢を約42%も防ぐことが出来るとユニセフより報告されており、手洗いの習慣によって人々の命を救うことが出来ます。
日本では手洗いは当たり前のこととされており、どこでも安全な水を手に入れることができますが、世界では手を洗える給水施設自体がなかったり、衛生習慣が定着していなかったりするために、下痢をおこしてしまう状況があります。JENの事業地のパルワン県でも清潔かつ安全な水へのアクセスが非常に少なく、また正しい衛生習慣が定着しておらず、子どもたちの間で下痢症が最も多い病気の1つとしてあげられています。
JENは今年10月15日に「世界手洗いの日」の衛生促進キャンペーンのイベントを県教育局、学校、コミュニティと協力して、アフガニスタンのJENの事業地であるパルワン県のジャブサラージ地区の5つの学校(ザルビア高校、アボザル・ガファリ高校、ジャブル・サラジ女子高校、グル・バハル第一女子高校、ハジ・ハイカディン女子中学校で実施しました。
【ジャブル・サラジ女子高校の様子】

【ザルビア高校の様子】

イベントは午前10時から午後1時まで行われ、パルワン県の県教育局長、教育局の代表職員、コミュニティーリーダー、学校の先生、生徒が参加しました。これは学生たち参加型のイベントで、楽しみながら衛生習慣の知識、実践の大切さを学んでもうらという目的で、歌、寸劇、ロールプレイ、クイズ大会、また夏休みの宿題であった手洗いをテーマにした絵のコンテストなどが盛り込まれました。
プログラムはイスラム教のコーランを朗唱することから始まり、学校の校長先生が衛生習慣の重要性について説明した後で、事前にJENの職員と学校で作曲・作詞した衛生教育促進のメッセージが入った歌を学生が合唱しました。
【合唱チームの横で手洗いの実践】

合唱の後は、教育局長が石鹸を使用した手洗いについての重要性や「世界手洗いの日」の歴史を話しました。学生が自ら準備した衛生教育をテーマとした寸劇を披露し、ロールプレイを実施し、衛生習慣のメッセージを伝えました。衛生習慣に関する質問大会は大いに盛り上がり、学生たちは楽しみながら参加し、質問に対して正解を競い合いました。
また、夏休みの宿題であった、衛生教育に関するテーマを扱った絵のコンテストも実施され、優秀者には景品も用意されました。
【コンテストに出展された絵】

この「世界手洗いの日」のイベントでは、学生が主体的に参加し、楽しみながら衛生教育について学び、意識を高めるという目標を達成することが出来ました。
ジェンでは、今回の初イベントから得た反響や学びを生かし、来年の「世界手洗いの日」のイベントを創意工夫することで、子どもたちが衛生教育の知識を深め、実践を続け、健康状態が改善するよう、更に盛り上げていく予定です。
11月 1, 2012 衛生教育 | Permalink
2012年9月20日 (木)
ムッラーから衛生についての説教を聴いた村人
以前の支援速報でご紹介した、モスク(イスラム教礼拝堂)のムッラー(イスラム教聖職者)を対象とした衛生教育研修の実施以降、ムッラーは金曜礼拝に訪れた村人たちへの説教の時間に、衛生についての説教を行いました。
モスク周辺の説教を受けた村人は衛生に関する様々な意見を寄せてくれました。

「金曜日にムッラーが私達に、衛生教育、衛生がもたらす恩恵、衛生と健康との関わりなどについて礼拝前の10分間で説教をして下さいました。お陰で、私たちは衛生に対して関心を持ち始めました。皆、ここで学んだメッセージを地域の他の人たちへ広めていくと言っています。」
バグラム地区グジャール・ヒル村 牧羊者 サマール・グルさん

「私は、衛生の大切さについては認識していました。息子が学校で学んだ衛生についての知識を話してくれていたからです。先日は、礼拝に行った近所のモスクでムッラーが私に教えてくれました。衛生習慣を生活に取り込むことは、健康であるために重要なことだということを再認識しました。息子と二人で、家族全員に伝え習慣づけていきたいと思います。」
ジャブルサラジ地区メダン・ミナラ村 警備員 ハニフラさん

「ムッラーがイスラム教の教えに沿って、健康や衛生に関するメッセージを説教して下さり、大変嬉しく思います。」
ジャブルサラジ地区カラ・ミル村 農家 アンザール・グルさん

「先月、モスクで衛生に関する説教を受けました。ムッラーは『告げた言葉を実践し、家族にも共有することは、皆の健康にとってとても大切なことである』と教えてくれました。今では私は衛生に関する5つの事柄(水、食べ物、歯磨き、身体、環境)について知っています。」
ジャブルサラジ地区ラカール・グル・バハール村 店員 ハジ・ハリッドさん
同じ地区で衛生教育研修を受けた学校教員に加え、同研修を受講したムッラ―が、モスクでさらに衛生の重要性と知識を広めてくれることは、地域住民への波及効果を大きくしてくれます。今後も子どもたち、そして地域の村人がより衛生的で健康的な生活を送ることができるような支援を継続していきます。
9月 20, 2012 衛生教育 | Permalink
2012年8月23日 (木)
ムッラーへの衛生教育
JENは現在、学校に通う子どもたちを対象に衛生教育を実施することで、その家族や周辺コミュニティ全体への衛生知識・習慣の波及を目指しています。実際に昨年の活動では、子どもからその親へ衛生知識が伝わっている状況を確認できました。今年も同様の波及効果をねらい、学校の子どもたちを対象に活動を継続しています。
しかし一方で、JENが活動している地域には就学年齢の子どもがいない家庭や、様々な事情から就学年齢の子どもを学校に送ることができない家庭もあります。
そこでJENは今年、より多くの人に衛生知識・習慣を広めるため、新たな試みとしてムッラー(イスラム教の聖職者)も対象にして衛生教育を実施することにしました。
イスラム教では、金曜日は大切な集団礼拝の日です。アフガニスタンでは信仰が厚く、学校とかかわりが無い人でも、ほとんどの人が礼拝のためにモスクに集まってきます。同国のモスクでの礼拝は男性しか許されていません。ムッラーはこの集団礼拝の前に説教をするのですが、衛生についての説教をしてもらうことで今でも家長としての権限がある男性から女性と子どもへ、そしてコミュニティ全体へ衛生知識と習慣を広めてもらおうというのがJENのねらいです。
7月下旬~8月上旬にかけて、348名のムッラーを対象に3日間の衛生教育研修を実施しました。

清潔でいることはイスラム教の教えでもあります。そのためか、ムッラーたちは衛生教育に高い関心をもち、研修中は講師に積極的に質問するなど活発なやりとりが見られました。

研修後のムッラーの感想をいくつかご紹介します。
「これまで、ムッラーを対象に研修を行ってくれる政府機関やNGOはありませんでした。私たちは昔ながらの手洗いの仕方は知っていましたが、研修により効果的な手洗いの方法や、経口補水塩の作り方などを知ることができました。この研修を受けることで、自分たちの衛生知識を強化することができたと思います(シンワリ地区、54歳)」

「私の村の人びとは衛生知識が大変乏しく、下痢や皮膚病に頻繁に悩まされています。しかし、私たちムッラーの衛生知識も乏しい為、これまで何もできずにいました。この研修で、私たちの衛生知識は大きく改善されました。私はここで学んだことを信者へしっかり伝え、信者からその家族へ、ずっと健康で過ごせるよう伝えていってもらおうと思います。JENの現地スタッフ・国際スタッフの多大な努力に感謝します。(バグラム地区、38歳)」

8月 23, 2012 衛生教育 | Permalink
2012年8月 9日 (木)
2013年へ向けてのニーズ調査
JENは6月下旬に、2013年に実施する学校環境整備と衛生教育事業のためのニーズ調査を開始しました。
対象地域はパルワン県の最も西に位置する2地区、シーハリ地区とスルヒ・パルサ地区です。ジェンの宿舎が所在するチャリカ地区と同2地区の間は、反政府武装勢力が活動する別の2地区に隔てられているため、調査を行う前に最新の治安情勢を分析し、安全対策に配慮しています。
現在までにシーハリ地区の31校とスルヒ・パルサ地区の39校において、各学校の先生や地域住民、そして保護者を対象にした聞き取り調査を完了しました。同2地区の学校の様子をご紹介します。
「カチャ」と呼ばれるこのような土作りの建物は、アフガニスタンを始め、パキスタンやインドなどの地方で多く見られます。自然災害に非常に弱いため、子どもたちは危険にさらされます。

コンクリート製の校舎ですが、教室内が荒れ果てており、机もない状態の学校もありました。

教室の数が足りていない、もしくは教室すらない学校も多くあります。そのため子どもたちは屋外で、暑い日差しの中での勉強を強いられます。

こちらはある学校のトイレです。この対象地域では、このような衛生的ではないトイレが目立ちました。

水道や井戸、手洗い場がない学校の子どもたちは、近くの川などの水を手洗いや飲み水として使用しています。

今後は本調査結果を踏まえ、ニーズがある学校に対してエンジニアによる技術調査を実施し、学校施設の具体的な整備内容を計画していきます。
8月 9, 2012 学校修復・建設衛生教育 | Permalink
2012年7月12日 (木)
衛生教育を受けている子どもたちの親の声
ジェンは現在、バグラム地区・ジャブルサラジ地区の78校・61,352人の子どもを対象とした衛生教育事業を実施しています。
今年初めにジェンが主催した衛生教育研修を受講した教員達は、5月より生徒への衛生教育授業を開始しました。以降子どもたちは、毎回授業の冒頭に衛生の知識や実践方法を学んでいます。
昨年実施した教員や村人への聞き取り調査や、アフガニスタン・パルワン県教育局からの報告によると、同2地区の学校の子どもたちは衛生教育を受けたことがなく、頻繁に下痢やコレラなどの病気に悩まされているとのことでした。
では、学校で衛生教育授業を開始し2ヶ月が経過した今、子どもたちの衛生知識・態度・行動に変化はあるのでしょうか。
今回は、衛生教育授業を受けている子どもの保護者から頂いた感想をご紹介します。
写真 アリフさん (バグラム地区アジズ・ラーマン・シャヒド男子中学校に通学する子どもの父親)

「5年生の息子が、ある日を境に衛生教育について話すようになりました。安全な飲料水や清潔な水源、そして手洗いなどについて、その大切さを教えてくれます。息子はもちろん、私自身もこれからも沢山学んでいきたいです。
私が知らなかったことを、息子が医者のように教えてくれることは、とても嬉しいです。今では家族全員で、息子が教えてくれたことを実践しています。私の家族のように、子どもが学んだ衛生知識が家庭にまで浸透すれば、より良い効果がみられると思います。
このような衛生教育授業を実施して下さり、大変感謝しています。」
7月 12, 2012 衛生教育 | Permalink
2012年4月26日 (木)
フィールドトリップ第一回目
今回は、フィールドへの移動についてお話しします。
今年の事業が2月に開始したばかりですが、6月から2013年度事業の事前調査を開始します。
事業地はジェンのフィールド事務所がある県都チャリカから西へ約85キロ離れた2つの地区です。チャリカとこれらの地区の間には、別の2つの地区が挟まれています。
この挟まれた2地区では、政府の政策に反対する反政府武装勢力が活動しています。
(反政府勢力が燃やした車両がそのまま残っていました)
移動の際は、政府のチェックポイントでジェンの車両がスムーズに通行できるよう事前に政府から紹介を受け、また周辺地域の安全情報を得るために同地区で活動する他団体と連絡をとります。同国では詳細な地図が入手できないため、目的地へ移動する初回は特に警察や政府、他の援助団体との事前連携が大切です。
3月の初回現地訪問では、6つのチェックポイントを全て無事に通過しました。職員は県知事からの紹介状に加え、ジェンの車両に職員以外の同乗は出来ないと記されたレターを持参しています。日本ではないことですが、同国では様々な人が同乗を依頼してくることがあるため、レターの持参は職員の安全のためにも必要です。
無事に85キロ先の目的地に到着するまで3時間かかりました。職員はチェックポイントを通過した際、滞在場所の共有、現地出発や主要人物に会う前等の安否報告に携帯電話のショートメッセージを利用しました。
職員は車の走行距離計を使用して、目的地に着くまでに目印となる市場や橋、チェックポイントまでの距離を書き留め、簡潔な地図を製作し、連絡網も作成しました。来年の事業に向け、今後も訪問を繰り返しながら準備を進めて行きます。
4月 26, 2012 学校修復・建設衛生教育 | Permalink
2012年4月12日 (木)
学校施設の工事を開始しました
現在パルワン県で複数の支援事業を実施中です。
最も規模の大きな事業は「学校環境整備及び衛生教育事業」です。約一年の事業期間で、学校施設等の建設工事と、以前ご紹介した教員と生徒への衛生教育支援を、並行して実施します。
4月2日から一斉に学校での建設作業を開始しました。
今年の学校施設等の建設工事においては、同県バグラム地区とジャブルサラジ地区(上記地図を参照)の支援ニーズのある23校に対して、水・衛生施設の整備を中心に、校舎や教室などの建設・修復なども実施していきます。上記23校で77の建設・修復工事を実施予定です。
上記2地区には、普通教育を施す学校として教育省から認可されている学校が78校あります。建設工事は最も支援ニーズが高い23校のみで実施ですが、衛生教育支援は全校が対象です。
支援事業を実施する際には、教育局と村の地域住民との協力は欠かせないため、個別に協定を結びます。地域住民とは学校単位で、今年は78校で設立した学校運営委員会と協定を結びました。
更に今年は、建設工事をする23校の地域住民と教育局、ジェンとで三者間協定を締結し、建設作業のより円滑な遂行・管理を目指しています。
4月 12, 2012 学校修復・建設衛生教育 | Permalink
2012年3月15日 (木)
ジャミラ先生へのインタビュー
ジャミラさんは、アフガニスタンの学校教員になって10年になります。現在パルワン県ジャブルサラジ地区のイシュク・アバド女子高校に勤務する彼女は、先日JENの衛生教育研修に参加しました。
今回はジャミラさんから頂いた衛生教育研修の感想をご紹介します。
ジャミラ先生(36歳)
私は教員を対象にした衛生教育研修にとても感謝しています。また、正しい衛生知識を身に付けた教員自身がそれを子どもたちに伝えていくという仕組みと、女性も参加対象にしているということに感心しました。
女性参加者は、女性教員であると同時に、家庭では母でもあります。もし母親の態度や習慣が変われば、家族全体が変わります。衛生教育事業は多くの女性を通して行っていった方が、より効果的であると思います。
グループワークでは、ジャミラ先生が書記担当です。
研修を受けるまでは乏しかった私の衛生知識が、今ではとても改善されました。私の学校の教員と、女性教員を代表して感謝を伝えたいと思います。JENスタッフの態度や笑顔、そして教員を通して子どもたちへ衛生教育を伝えようとする懸命な姿勢も、とても嬉しく思っています。
衛生教育研修参加者の前で発表をしているジャミラ先生。
3月 15, 2012 衛生教育 | Permalink
2012年3月 1日 (木)
教員の衛生教育研修スタート
JENが育成した衛生教育専門家による、パルワン県のバグラム地区とジャブルサラジ地区の81校の全教員を対象とした衛生教育研修が開始しました。
教員たちは、3日間に及ぶ衛生教育研修を受講します。研修会場は、学校関係者と教育局の協力を得て、冬休みで閉校中の学校を貸し切って利用しています。
研修では、最初に参加者の衛生に関する知識・習慣などを把握する為に、研修前のKAP(Knowledge 知識、Attitude 態度、Practice 習慣)調査をを実施します。
研修前後の衛生知識習得度や実践状況を比較することで、改善点や課題点などを把握することができ、今後の活動に活かすことができます。
KAP調査(バグラム地区バグラム・エアーベース男子高校)
研修初日には参加者に衛生キットを配布します。
その後教員たちは、手洗いの方法や、下痢などによる脱水症状の際に用いるORS(経口補水液)の作り方など、衛生に関する研修項目を実践練習やグループディスカッションを交えながら学んでいきます。
衛生教育専門家による講義(ジャブルサラジ地区ザルビア高校)
手洗いの実践練習(バグラム地区ダルル・アルム・モハマド男子高校)
グループワーク(バグラム地区クワジャ・キスロウ・ワリ高校)
研修最終日には、研修後KAP調査を実施し、欠席せずに3日間通しで研修を受講した証として参加者全員に衛生教育研修修了証を手渡します。
参加者に受講証を交付(バグラム地区アブドゥル・サタル・シャヒド高校)
バグラム地区全48校とジャブルサラジ地区15校の教員に対して衛生教育研修を完了しました。
この研修は、ジャブルサラジ地区の残り18校の教員への研修を終了する3月後半まで毎週続きます。今回研修を受けた教員は、5月から子どもたちに衛生教育授業を開始していくことになります。
3月 1, 2012 衛生教育 | Permalink
2012年2月16日 (木)
衛生教育専門家と全体会議を実施しました
2012年は、昨年同様、パルワン県のバグラム地区とジャブルサラジ地区の2地区の学校を対象に、衛生教育、給水・衛生施設の整備、そして学校施設の整備を実施します。
衛生教育は、JENの事業で教育省の衛生教育専門家が新たに育成した衛生教育トレーナーから教員へ、教員から生徒へ、生徒から家庭へ、さらにはコミュニティへ、という順番で広げていく事を目的としています。
先日JENのチャリカ事務所で、衛生教育専門家・トレーナーとの本年度の衛生教育研修の打ち合わせを実施しました。
<写真>本年度の衛生教育事業の全体説明をするJENフィールド・オフィサー。
<写真>意見を提供する衛生教育専門家。
会議には、2010年、2011年にJENの衛生教育研修を担当した14名の衛生教育専門家・トレーナーが参加し、今年も強い意気込みを見せてくれました。
<写真>衛生教育研修の有り方についての事前会議に参加した、14名の衛生教育専門家・トレーナー。
現在は上記の衛生教育専門家・トレーナーより、教員へ衛生教育研修を開始しています。次回はその様子をご紹介します。
2月 16, 2012 衛生教育 | Permalink
2012年1月19日 (木)
衛生教育事業の波及効果
以前ここでご紹介したとおり、昨年実施したサラン地区・サイードヘル地区の42校を対象とした衛生教育事業によって、子どもたちが衛生の知識・習慣を身につけました。
そしてその後の調査により、子どもたちが以前よりも健康的な生活を送るようになったことが確認できました。
2011年度の衛生教育の授業様子
では、支援を受けた子どもたちの家族は、その効果を得ることができているのでしょうか?
ジェンは、事業を通して子どもたちが習得した衛生に関するメッセージがその家族に伝えられているのか、またその内容が家庭内で実践されているのかを確認するために、戸別訪問調査を実施しました。
今回はその調査の様子をご紹介します。
サラン地区のババ・ララ中学校に通う子どもを持つ、ヘシュマトゥラさん。
「私個人、そして家族の衛生に対する意識が変わりました。私の家族は家庭の生活環境を清潔に保つことを学びました」
と話してくれました。
サイードヘル地区の第2アマム・イ・アザム中学校に通う子どもを持つ、アブドゥル・カリルさん。
「石けんで手洗いをすることは重要だと思いますか?」
というジェンのフィールドオフィサーからの問いに対し、
「はい、手を綺麗にすることで健康になります」と答えてくれました。
家庭には石けんを常備し、手洗いが習慣となっているようです。
サラン地区には山が多く、この時期は日中でも氷点下。
アクセスするのも一苦労でした。
サラン地区のハジ・アブドゥル・ハキム中学校に通う子どもを持つ、アラー・ダッドさん。
「私たち家族の中でも、特に子どもたちが頻繁に手洗いをするようになりました。歯みがきも欠かしません。この様な衛生教育事業はとても有効ですね。私たちの家族だけではなく、地域にとっても同じだと思います」
と話してくれました。
上記のような戸別訪問を、42校3世帯ずつ、計126世帯を対象に実施したことで、衛生教育の家庭への波及効果を確認することができました。
「衛生に関する情報を誰が提供しましたか?」という問いに関しては、96%が「子ども」と回答しました。
また、「昨日手洗いの際に何を使用しましたか?」という問いに対し、88%が石けんを使用したと回答しています。
更に、「この2週間で、あなた自身・あなたの子どもは下痢をしましたか?」という問いに対しては、全員がしていないと回答しました。
下痢に対する意識や、生活環境を清潔に保つ意識にも向上が見られました。
これらの人々が衛生教育事業から得たメッセージを今後も継続的に実践し、地域の他の人たちにも伝わり、より多くの人が安心して生活していけるようになることを願うばかりです。
1月 19, 2012 衛生教育 | Permalink
2011年12月 1日 (木)
衛生教育授業の結果が出ました
ジェンでは衛生教育事業の一環として今年パルワン県サイード・ヘル地区とサラン地区の学校42校で生徒に6カ月間にわたる衛生教育授業を実施してきました。
授業を開始する前に、支援対象の全学校に実施した衛生に関するKAP(知識・態度・実践)調査しました。対象校は、これまで教育局や他の援助機関からも衛生教育を一度も受けたことがない学校です。
ニーズの聞き取り調査をして村を回った際に、その学校の教員や生徒が通う村の首長や親から、「子どもたちに衛生教育を実施してほしい」と強い要請がありました。
調査の結果で、約75%の子どもは衛生知識・習慣がないと判明しました。ほとんどの子どもたちが、正しい手洗いや爪きり、歯みがきなどの知識がなく、また日常的に実践する習慣がありませんでした。村の子どもの深刻な健康問題であった下痢やコレラはそのような不衛生な生活に一部の要因がありました。そのような子供たちの衛生状況を改善するために、ジェンは支援を実施しました。
本事業の支援対象は、学校の子どもたちだけではありません。学校の教員とパルワン県職員も支援の対象です。今年の3月までの間、教育局の衛生教育専門家が県職員14名を衛生教育専門家として育成し、その専門家が、同期間中に学校42校の全教員約720名に3日間の衛生教育研修を実施したのです。
正しい衛生知識を得た教員は、5月中旬より冬の試験期間が始まる11月半ばまで、ジェンのカリキュラムに沿って生徒に衛生教育を実施していきました。
5月から6月にかけては、石けんや歯ブラシなどの衛生キットを全学校の約22,000人の生徒に提供しました。配布した衛生キットは、衛生的な生活をおくるための最低限必要な用品で、子どもたちはそれらを学校と家庭で実用しながら、衛生教育授業を受けました。
6月から10月の各月末、パルワン県教育局の職員と、ジェンが設立した学校運営委員会、そしてジェンのスタッフで、子どもたちの衛生知識習得・実践状況をモニターして確認、その結果を学校側と話し合ってきました。継続的に衛生状況の確認と指導改善を行ってきた結果、徐々に子どもたちは正しい衛生習慣を習得していきました。
そして今月(11月)中旬、支援対象学校の全42校の子どもたちに対して、再びKAP調査を実施しました。授業実施後の現在は、衛生習慣・知識のない子どもは0%となり、約85%の子どもたちが十分な知識を確実に習得・実践、残りの約15%の子どもたちも基礎的な知識を習得・実践するようになったという結果になりました。
12月はこの結果を踏まえ、今後も学校側がこの状況を継続し、より良い方向へ発展させていくように学校運営委員会と教育局の職員と話し合いをもちます。
===== ご報告 =============
平成23年度 外務大臣表彰受賞しました。
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支援者の皆様に、深く感謝申し上げます。
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12月 1, 2011 衛生教育 | Permalink
2011年9月 8日 (木)
衛生教育事業のその後:子どもたちの声
ジェンは、5月、6月に42校の生徒たちを対象に衛生キットを配布してから、毎月各校を訪問し、生徒たちに正しい衛生知識が身についているかを確認しています。道具を渡すだけでなく、きちんと自分でその必要性を理解して、利用できるようになるまでを見届けるのがジェンの仕事です。
ジェンのモニタリングチームからは、行く先々で子どもたちが衛生知識をきちんと身に付けている様子が報告されています。ジェンのスタッフにとって、こどもたちが衛生教育を正しく理解し、実践できている様子が見られるのは、とても嬉しいことです。
今日は、衛生教育を受けた子どもたちからのコメントをいくつかご紹介します。
アブドゥル・カディル・シャヒド男子中学校:ナジブラ君(12歳)
「衛生に関する話を聞いて、僕は、健康的な習慣を身に付けるために今回覚えたことを実践するように心がけ、楽しい生活を送り、他の生徒達のお手本になろうと決めました」
サイード・ヒル・女子学校:セタラさん(10歳)
「先生の衛生に関するお話をしっかり聞いて、毎日実践しています。(生徒一人一人に)衛生キットが配られましたが、私はこのキットの中身全部が健康であるために必要なものだということが分かりました」
サイフラーマン・シャヒード高校:ダニッシュ君(16歳)
「衛生知識を教わるまでは、僕はしょっちゅう自分の具合が悪いと感じていたけれど、衛生知識は自分を病気から守るためのものだと知りました。今は教わった衛生知識の実践を楽しんでいます。衛生キットと、衛生教育・トレーニングの機会をくれたジェンに感謝しています」
チェナキ男子高校:シャケル君(14歳)
「衛生教育トレーニングを受けるまで、僕は正しい爪の衛生について知らなかったけど、今は良く分かるようになりました。爪の衛生管理は、定期的に爪を切ることや、爪の中に入った汚れを落とすことも含まれます。長い爪には細菌が隠れていることもあるし、長い汚い爪で皮膚を引っかくと感染症の原因にもなります。ジェンが先生たちを通して僕たちに衛生教育とトレーニングの機会をくれたことを嬉しく思います。今は正しい爪の手入れの仕方がわかるようになりました」
ジェンのモニタリングは年末まで続きます。
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9月 8, 2011 衛生教育 | Permalink
2011年7月28日 (木)
2012年の事業のための調査開始
先日、来年実施する事業のためのニーズ調査を開始しました。今回JENのフィールド・オフィサーたちは、パルワン県のジャワルサワジ地区の33校とバグラム地区の44校のすべてを訪れました。そこで、学校の水衛生環境や施設の現状を把握するとともに、学校の先生や村人、保護者を対象に聞き取り調査を実施しました。
教室の天井部がむき出しになっている学校がありました。物が落ちてきてもおかしくないとても危険な環境で子供たちは勉強に励んでいます。
同じ学校では、生徒数に教室の数が足りないため、外でも授業をしています。
教室の一面がない学校もあります。
同校では、トイレの環境も良くありません。ドアがなく、近くに手洗い場も見当たりません。水道はあるのですが、水が出ず、ゴミなどが詰まっており、手が洗えない環境です。
また、この様な、衛生状態の良くないわき水や小川が唯一の水源になっている学校も複数あります。
2012年、今後も引き続き実施する調査結果をもとに、パルワン県内の、JENがまだ支援をしていない地区の子どもたちを対象に、水衛生環境整備や衛生教育などの支援をする計画をしていきます。
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7月 28, 2011 水衛生環境改善衛生教育 | Permalink
2011年7月14日 (木)
アミヌ・ラーマン女子学校で生徒たちが学んだ衛生知識
アミヌ・ラーマン女子学校では、ジェンの衛生教育研修に事前に参加した先生が、生徒へ実践的な衛生教育を行い、効果を上げています。
ジェンが衛生教育事業のモニタリングで同校を訪れた際、生徒たちが教わった衛生基礎知識を実際に見せてくれました。
これは、生徒たちが手洗いの実践をしているところです。
手を正しく洗うことは、様々な感染症から身を守る最も効果的な手段です。
手を洗うことで、自分が病気になるのを防げるだけでなく、他の人を感染させるリスクも下げることができます。手洗いをしないまま他の人に接触すると、手についた細菌でその人を感染させてしまうこともありますし、手洗いをせずにドアノブやキーボードなど、オフィスや家で他の人と共有するものを使用すると、付着した細菌によって他の人が病気になってしまうこともあるのです。
こちらは、生徒の一人、ヤスミンが爪切りの実践をしているところです。彼女は、「ジェンが私たちの先生に衛生教育の研修をしてくれてよかったです。私たちは先生にその内容を教えてもらっています。」と言っていました。
こちらは歯磨きの実践をしているところです。参加した生徒の一人サミア・ジャンは「ピカピカ・清潔で健康な歯と歯茎は、心も体も一番良い状態に保ってくれます。友達に逃げられたり、人に話す時に後ずさりされたくなかったら、1日3回の歯磨きは‘マスト’ですね。歯磨きは息もきれいにしてくれるから」と言っていました。
7月 14, 2011 衛生教育 | Permalink
2011年6月 2日 (木)
学校で衛生キットを配布しています!
現在JENでは、サラン地区・サイード地区の学校を対象に、衛生キットの配布を行っています。
キットの内容は、石けん、爪切り、ハンドタオル、トイレットペーパー、歯ブラシ、歯磨き粉、石けん置き。その他に、各学校に1つの救急箱、各教室に1つのゴミ箱を配布しています。
本日お届けするのは、5月15日サイードヘル地区、グル・アク・シャヒード学校での配布の様子です。
小さな子どもたちも、並んで順番に受け取ります。
ちょっと大きな男の子たち。
年長の生徒たちにも配られました。
キットを手にした女の子たち。カメラの前でちょっと緊張気味です。
こちらもキットを手に、並んでポーズ。
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1人1人にキットを手渡ししていきます。

こうして、792人の生徒たちに、無事に配り終えることができました。
6月 2, 2011 衛生教育 | Permalink
2011年3月 3日 (木)
衛生教育の人材を育てる
昨年の12月にパルワン県のサイドヘル地区とサラン地区を対象に開始した学校環境整備と衛生教育の支援事業についてご報告します。
冬が終わる3月頃までは、衛生教育支援を中心に進めていますが、その様子の写真が現場のスタッフから届けられました。
衛生教育支援に限らず、専門知識を持った人材が不足するアフガニスタンでは、人材育成から始める必要があります。
JENはまず、県の保健局と調整して選抜した衛生教育専門家2名と一緒に、衛生教育トレーナー14名の育成研修を行いました。この研修後、元々のトレーナー(専門家)2名と新トレーナー14名がチームを組み、42校の教員710名に衛生教育授業の方法を指導するワークショップを進めています。
ワークショップでは、アフガニスタンではまだ一般的とは言えない「基礎的な衛生知識と習慣」を学校の子どもたちに身につけてもらえるように、衛生知識や石鹸を使った手洗い方法の教え方を先生たちに学んでもらいました。
また、アフガニスタンでは医者にかかる必要のない軽い下痢への対処方法もあまり知られていないため、ORS(下痢による脱水症状を防ぐために摂取する、食塩・砂糖を溶かした水溶液。経口補液とも呼ばれる)の作成方法も指導しました。
アフガニスタンでは3月下旬に新年が始まりますが、3月までこのワークショップを続けた後、新学期が始まると、いよいよ先生たちが子どもたちに衛生教育授業を進めていくことになります。
先生たちがワークショップで学んだことを活かして授業をする様子が現地から届けられたら、またご報告したいと思います。
3月 3, 2011 衛生教育 | Permalink
2010年11月25日 (木)
2011年へ向けて
2010年も残すところあと1ヶ月ほどになりました。
これまで、パルワン県サラン地区24校でゆめぽっけの配布を終了しました。また同県チャリカ地区では、孤児院の厨房の修復が完成しました。
昨年12月に開始した、チャリカ地区7校での給水施設の設置・衛生施設の改善・衛生教育事業も、予定通り進んでいます。
8月で、全ての給水施設と衛生施設の設置と修復工事は終了しています。そして、現在は、対象校の一つである女子校で外周壁(学校の周囲を囲む壁)の修復工事をしていますが、それも今週中には完成予定です。

衛生教育授業は、5月から各学校で実施してきました。そのモニタリングもあと半月で終了します。これで、本年度の事業は全て終了します。
昨年よりも更に治安が悪化しているアフガニスタンでの事業運営でしたが、大きな問題に阻まれることなく、無事に終了しようとしています。
2011年からは支援事業の規模が大幅に拡大し、国際スタッフと現地スタッフも増員され、パワーアップします。学校に安全な飲み水が飲める給水施設と清潔なトイレを設置し、子どもたちに衛生教育を実施します。また極寒の冬のテントの中や夏の炎天下の屋外で勉強をしなくてすむように教室の増築をするなど、学校の環境全般を整備・改善する支援を継続して行きます。
みなさま、引き続きご支援いただけますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
11月 25, 2010 学校修復・建設教育支援衛生教育 | Permalink
2010年8月19日 (木)
手をきれいに保つ練習
JENではパルワン県チャリカ地区にある学校で、衛生教育プログラムに取り組んでいます。冬休みに教育省から派遣された専門家による3日間の研修を受けた先生が、春の新学期から子どもたちに衛生教育を行っています。
6月には4週間の手洗い週間、7月には2週間の爪切り週間がありました。毎月末には学校運営委員会のスタッフとJENスタッフが各学校を訪問し、衛生教育プログラムがうまくいっているかを確認します。まず、研修を受けた先生が習った知識を再度説明し、次に子どもたちが前に出て手洗いをして見せます。石鹸を使って指の間や爪の先までしっかりと洗います。4週間の手洗い週間を経て、みな手洗いがとても上手になりました。
一方、爪を切るのは、小さな子どもにはなかなか大変なようです。上部レバーをうまく扱うことができません。まずは年長の子が年少の子の爪を切ってあげます。
そして、JENスタッフが再度持ち方を手ほどきします。
最後には年少の子も、とうとう一人で自分の爪を切れるようになりました!
8月 19, 2010 衛生教育 | Permalink
2009年9月10日 (木)
継続性のある支援のために
アフガニスタンで支援活動を行うなかで、大切にしたいことがあります。それは、中央政府や地方政府の担当者と話合いを重ね、現在のキャパシティの最大を知り、今後の可能性を探って、現在ある能力をどう生かせるかを、支援を受けとる人びとと考えていくことです。
住民へ聞き取り調査を進める中で、同国では学校の水・衛生事業を進める際、プロジェクトで配布された石鹸は、事業終了後は補充されないことが多いと聞きました。そうした場合には、正しい衛生教育の知識を学んでも、半年後に子どもたちは手洗いを忘れてしまう可能性があります。
プロジェクトの後もその効果を発揮するためには、事業終了後に政府が石鹸を配布するのか、その予算枠があるか、もしくはコミュニティで配布するのか、その場合の料金はどうするのかなどを地元住民代表も含めて政府と話合いをしていくことが必要です。ジェンとユニセフはこの継続性について、アフガニスタンの教育省と話し合いを進めています。
水質の検査も同様で、井戸を掘削し清潔な水を提供した後の水質管理も重要です。どの役所が水質検査用のラボを備えている、あるいは機能しているのか、また、公共サービスがあるのかなどを政府と地元住民とで話し合って、事業後のフォロー体制の構築までを考えることが大切だと考えています。
9月 10, 2009 衛生教育 | Permalink