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2015年7月30日 (木)

ラマダンを経験して

 アフガニスタンはイスラム教徒の多い国なので、毎年ラマダン(断食月)があります。
 イード休暇(断食月の終わりの祝日)が先週で終わり、パキスタンおよびアフガニスタン事務所は通常の業務時間に戻りました。

 今年は私もわずかな期間ですが、断食にチャレンジしてみました。
 日の出から日の入りまで、飲食は一切行わないのがラマダンです。自分の唾液すら飲み込んではいけないと聞きます。7月のイスラマバードのだいたいの日の出時刻は5:00、日の入り時刻は19:20であり、この間約14時間半、飲食を一切行わないことになります。
 
 ラマダンの時期はイスラム暦(太陰暦)によって決められるため毎年少しずつずれますが、今年はその中でももっとも日照時間の長い、そしてもっとも暑い季節に重なるラマダンとなりました。
 
 最初は水も飲まない完全断食をするつもりでしたが、さすがにそれでは仕事にならず、結局食事だけの断食を1週間少し行いました。

 食事だけでも断食をしてみると、これを1か月も、飲み物も一切取らずに行うということがどんなに大変かがわかり、改めてムスリムの人々に尊敬の念を抱くようになりました。
 それと同時に、ラマダンの期間中、国中の業務効率が落ちる理由もよくわかりました。空腹に耐えながら仕事をするだけでも難しいのに、さらにいつもの生産性を保つことが難しいのは当然です。

 しかし、イスラム教徒の人々はそれでも断食をします。イスラム圏外にいたときはその意味がわかりませんでしたが、やはり空腹に耐える苦しみを知ること、そのような状況に置かれている人たちの気持ちになること、普段あまり空腹にならずに食事ができることに感謝すること、そういう部分にラマダンの意味があるんだろうな、と思いました。今回わずかではあるものの、経験を通してわかったことです。

 JENの事務所があるパキスタンの南部・シンド州では毎年干ばつで死者が出ています。50度近くになる気温の中、水が飲めないというのはどんなに厳しい状況か、今回改めて想像しました。
 アフガニスタンも同様で、ラマダンを経験する国だからこそ、干ばつへの対策が取られることを願いますし、支援も広げていかなくてはならないと改めて思いました。

【イスラマバード事務所にて、スタッフとのイフタール(日没後の食事)】
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 JENパキスタン事務所
 総務経理担当
 堀 真希子



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7月 30, 2015 事務所・スタッフ文化、生活、習慣 |

2015年7月16日 (木)

現場の仕事と事務所での仕事

 NGOの一員として働いている人には、誰かを助けたい、自由な環境に身を置きたいなど、いろいろな人がいます。しかし、この業界に入ってみると、現場と事務所という2つの異なった仕事がある事実を知ることになります。

 現場で人々を直接支援するためだけに人道支援業界で働いている人もたくさんいます。特に緊急事態や自然災害の場では、多くの人がそのような気持ちで働いています。私も同じ気持ちで人道支援業界に関心をもった一人です。私が初めて仕事に応募したのは、ハンディキャップ・インターナショナルという団体でしたが、それは、そこでは障がいを持った人々への支援ができると考えたからでした。

 しかし実際は想像とは違っており、私の仕事は事務所での仕事でした。事務所での仕事もあるということ。今となっては笑い話ですが、私はNGOの仕組みを理解していなかったのです。それ以来、誰のために働いているのかという思いが心の中にあります。
 現場スタッフが支援しているのは、どのような人たちなのだろうか。私はその人たちのところへ行って会うことができないだろうか。
 今も事務所で仕事をしていますが、助けを必要としている人たちがNGOを通して支援を受けた時の表情を見てみたいです。

 私はいつも、現場スタッフは事務所のスタッフよりももっと仕事をしているという気がしています。現場スタッフは、治安、天候、困難な状況におかれた人たちや、現場の文化的・社会的な背景に関する問題、さらに自分自身も自宅や家族から遠く離れていることから来る問題など、様々な問題に直面しているからです。
 でも、現場で働けるのはラッキーなことですし、誰かを直接支援することに、大きなやりがいと満足感を感じているだろうと思います。私はかれらを尊敬しています。

 私はNGOの一員として、助けが必要な人たちのために働けていることにやりがいを感じていますが、やはり、いつかは現場で働きたいと願っています。

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 フメイラ・ワハブ
 総務&人事アシスタント


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7月 16, 2015 事務所・スタッフ |

2015年7月 2日 (木)

バグラーン県事業の成果

 2014年5月、バグラーン県のプリ・フムリ地区では、大雨により大規模な洪水が発生しました。家や農地が洪水で破壊され、多くの被害がもたらされました。過去何世紀もその地区に住んでいた被災者に対して、政府からの支援は残念ながら十分ではなく、インフラは壊滅状態にありました。

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 そこでJENは、同地区にて支援者の皆さまおよびジャパン・プラットフォームの協力による緊急支援を行いました。被災した881世帯のために、洪水防壁や放水路の建設工事を行い、2014年の9月に事業を終了しました。

 このプロジェクトで、大洪水で被害を受けた2つの地区に計456.5mの洪水防壁と19mの強化コンクリート製放水路が建設されました。

 それにより、バグラーン県の中心部に近い地区で行政の仕事をしたり店を経営したりしている人々は、今の場所で安心して暮らせるようになりました。
また県の中心から離れた地区に住んでいる人々も、洪水防壁ができた後は、壊れた家を安心して建て直すことができるようになり、道路も安全に通行できるようになりました。

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 JENアフガニスタン事務所の技術チームは、これらの建設を通して大規模な洪水被害に対応する技術を身につけました。この技術は今年の4月6日にプリ・フムリ地区で再度発生した洪水の際、とても役に立ちました。この時は犠牲者が1人も出ませんでした。

 コミュニティー・リーダーの1人が嬉しそうに私にこう言いました。
「JENが作ってくれた洪水防壁は素晴らしい。これのおかげで私たち家族は無事だったし、これからもここから避難しなくてすむだろう」
 そして、「プリ・フムリ地区の住民全員がJENの緊急支援プロジェクトにとても感謝している」「農地や家やモスク、店、道路、水衛生設備が全部無事だったので、地区全体としても経済的に大いに助かった」と付け加えました。

 地区の人々は、JENの支援のおかげで子どもたちを学校へ行かせたり、スポーツをしたり、毎日快適に活動することができていると、とても喜んでいます。
 前述のコミュニティー・リーダーは「これからもバグラーン県で支援活動を継続して彼らを支えてほしい」と言っていました。
 JENは確かに、プリ・フムリ地区の洪水被災者緊急支援において貢献することができたのです。
   
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 JENチャリカールオフィス チーフエンジニア 
  シル・アリ


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7月 2, 2015 緊急支援 |