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2014年11月27日 (木)

スルヒ・パルサの秋

 秋は私が最も好きな季節です。あらゆるものがとっておきの美しさであふれんばかりで、まるで自然がグランドフィナーレのために1年をかけて力を蓄えてきたかのようです。
 
 でもそれは、私の国であるアフガニスタンでの美しさでしょうか?それとも、私が働いている、治安や経済的な問題を抱えているスルヒ・パルサという小さな地域の美しさでしょうか?

 スルヒ・パルサは、貧しく、冬が早く訪れる標高の高い地域です。
この地域では、秋は美しさにあふれていますが、食糧や燃料の不足や、建物の弱い骨組みを壊してしまう雪への不安は、秋の美しさを愛でて楽しむことを人々に許さないのです。

 秋と冬について思いつく最も前向きなことは、子どもたちが雪で遊んだり、収穫した後に最後に残った芋をオーブンで調理して食べたりすることです。子どもたちは、それほど楽しくはなさそうですが、冬の間は学校として使われるモスクに通って学びます。

 秋の写真を2枚紹介します。私が仕事中、休憩を取りながら紅葉の広がりを眺めている時のものです。この時期の木々は人生の終わりを迎えようとしている人のように見えます。落ちていく木々の1枚1枚の葉を、たくさんの経験を重ねた長老のように、私は尊敬する気持ちで見つめます。でも、考え事をしているうちに、短い日は暮れて夜がやってきます。

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 私にとっては紅葉を眺めるのは楽しいことですが、木を植えたこの地域の人にとってはどうなのでしょう?

 この地域の人は、葉が落ちるのを待っていて、落ち葉を集めて家を暖める燃料として使います。また、かれらにとっては、冬の訪れとともに1世帯で5~10本しか持っていない果物の木に実がならなくなってしまうことは、非常につらいことです。子どもたちのための果物は、これらの木々からしか手に入れることができないのです。

 この地域の人にとって、日が短くなるにつれ畑仕事が減り、食べ物を家族に与えることができなくなるこの時期は、本当につらい季節の始まりです。
 それは同時に、家の中で仕事をする女性が、機織りや子どもたち用のセーターを作るための毛糸を紡ぐ作業を止めなければならないということを意味します。明かりがないので、夜の暗闇の中では仕事ができないからです。

 生活の困難さが、自然を楽しむことができないようにしてしまうのです。富める者から貧しい者まで、誰もがそれぞれの問題を抱えているのだと、ここで働いていると感じます。

総務・ITオフィサー
ワヒード・アフマド



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