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2013年11月21日 (木)

モバイルシネマの反響

 前回は、衛生教育事業の一環である、モバイルシネマによる生徒たちの行動変容についてご紹介しました。今回は、そのモバイルシネマに対する生徒やコミュニティからの反響をお伝えします。
 

 特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォームの助成により実施中の同衛生教育事業では、低学年児童の衛生教育理解度の向上を目指し、6月、8月、9月にモバイルシネマ(衛生教育に関する映画上映)を、事業対象校とその周辺コミュニティに対して実施しました。その反響は大きく、上映の際には学校の児童生徒に加え、コミュニティからも子どもから大人までたくさんの方々が集まりました。

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 上映開始後のある学校では、次の回の上映のためにジェン現地スタッフが再び学校を訪れた際、次のような光景を目にしたそうです。

 7歳の子どもが手を洗わないでリンゴを食べようとしていたところ、8歳の別の子どもが「リンゴを洗わないで食べたらだめだよ。ミナ(物語の主人公)が映画で言ったみたいに、フルーツを洗わないで食べると病気になっちゃうよ」と注意していたのです。このことから、モバイルシネマの効果が表れ始めていることがわかります。

 また、ある64歳の男性は、3回の上映会に参加し、「食事をするときにいつもミナを思い出し、彼女が私に語りかけ、しっかり手を洗わなくてはならないことを思い出させてくれる」と話していました。映画による衛生教育のメッセージは、学校の子どもだけでなくコミュニティの方々にも届き、それが行動にも繋がりつつあるようです。

 ジェンが活動している地域では娯楽の機会が少なく、映画を一度も観たことがない方々がほとんどです。そのような環境の中、モバイルシネマは学校の子どもたちやコミュニティの方々に映画という娯楽を通し、衛生教育のメッセージを効果的に伝えるツールとなっています。

 今年のモバイルシネマ活動は終了しましたが、ジェンは来年も別の学校、コミュニティを対象にモバイルシネマの実施を計画しています。今後も引き続き、衛生教育のメッセージを生徒・コミュニティの方々へ伝え、対象地域の人々の健康の改善を促進し、サポートしていきます。



【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
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11月 21, 2013 衛生教育 |

2013年11月 7日 (木)

行動の変化をもたらすために

 殆どの人道支援プロジェクトは、コミュニティの姿勢や行動に長期的な変化をもたらすことを目標にしています。そのため、JENアフガニスタン事業のマネージャーたちは、コミュニティの普段の行動に注目しながらプロジェクトの計画を練り作ります。

アフガニスタンでは、今も多くの人々が衛生にあまり関心を持っておらず、その無関心がさまざまな病気につながっている状況です。

 ジャパン・プラットフォームと皆様からのご支援によって実現している衛生教育プログラムは、教員やムッラーに衛生教育研修を行い、彼らからコミュニティに衛生知識が波及される仕組みになっています。

【先生たちの手洗い研修】
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 この仕組みを強化するため、JENは今年から学校での衛生教育に、モバイル・シネマというユニークな手法を導入しています。この活動では、子どもたちになじみのあるアニメや映画を使用した衛生に関するストーリーを上映します。これによって子どもたちが正しい衛生習慣に興味を持ち、毎日の生活で実践するようになることがねらいです。

【モバイル・シネマに見入る生徒たち】
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 学校での衛生教育は今年5月に開始しました。JENは生徒の行動の変化を確認するため、モニタリング調査を6月、8月、9月に実施しました。その結果は大きな変化を示していました。

 調査では、生徒の衛生知識・習慣の習得度を「大変良い」・「良い」・「悪い」の3段階に分けて測ります。6月には約35%の生徒が「大変良い」のスコアを取得しました。9月にはこの比率は約58%に上がり、逆に「悪い」のスコアの数は6月の12%から9月は7%に減りました。

 モバイル・シネマは、衛生教育の理解に特に時間がかかる低学年の生徒たちに集中的に行なったため、低学年の「大変良い」のスコアは、6月の約7%から9月には約29%に上がりました。この伸び率は、昨年の同時期の伸び率に比べると、大きく改善されています。

 また低学年では、「悪い」のスコアを取得した生徒は6月の約23%から9月には約15%に減りました。これらの結果から、モバイル・シネマが全生徒、特に低学年の生徒に良い影響をもたらしていると考えられます。

 私たちの願いは、このプログラムを続けることにより、子どもたちの行動・生活に持続的でポジティブな変化をもたらしていくことです。
 
 アフガニスタン事業プログラム・アシスタント ハニフ・ハーン



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11月 7, 2013 衛生教育 |