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2012年8月23日 (木)

ムッラーへの衛生教育

 JENは現在、学校に通う子どもたちを対象に衛生教育を実施することで、その家族や周辺コミュニティ全体への衛生知識・習慣の波及を目指しています。実際に昨年の活動では、子どもからその親へ衛生知識が伝わっている状況を確認できました。今年も同様の波及効果をねらい、学校の子どもたちを対象に活動を継続しています。

 しかし一方で、JENが活動している地域には就学年齢の子どもがいない家庭や、様々な事情から就学年齢の子どもを学校に送ることができない家庭もあります。

 そこでJENは今年、より多くの人に衛生知識・習慣を広めるため、新たな試みとしてムッラー(イスラム教の聖職者)も対象にして衛生教育を実施することにしました。

 イスラム教では、金曜日は大切な集団礼拝の日です。アフガニスタンでは信仰が厚く、学校とかかわりが無い人でも、ほとんどの人が礼拝のためにモスクに集まってきます。同国のモスクでの礼拝は男性しか許されていません。ムッラーはこの集団礼拝の前に説教をするのですが、衛生についての説教をしてもらうことで今でも家長としての権限がある男性から女性と子どもへ、そしてコミュニティ全体へ衛生知識と習慣を広めてもらおうというのがJENのねらいです。

 7月下旬~8月上旬にかけて、348名のムッラーを対象に3日間の衛生教育研修を実施しました。

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 清潔でいることはイスラム教の教えでもあります。そのためか、ムッラーたちは衛生教育に高い関心をもち、研修中は講師に積極的に質問するなど活発なやりとりが見られました。

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 研修後のムッラーの感想をいくつかご紹介します。

「これまで、ムッラーを対象に研修を行ってくれる政府機関やNGOはありませんでした。私たちは昔ながらの手洗いの仕方は知っていましたが、研修により効果的な手洗いの方法や、経口補水塩の作り方などを知ることができました。この研修を受けることで、自分たちの衛生知識を強化することができたと思います(シンワリ地区、54歳)」

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「私の村の人びとは衛生知識が大変乏しく、下痢や皮膚病に頻繁に悩まされています。しかし、私たちムッラーの衛生知識も乏しい為、これまで何もできずにいました。この研修で、私たちの衛生知識は大きく改善されました。私はここで学んだことを信者へしっかり伝え、信者からその家族へ、ずっと健康で過ごせるよう伝えていってもらおうと思います。JENの現地スタッフ・国際スタッフの多大な努力に感謝します。(バグラム地区、38歳)」

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8月 23, 2012 衛生教育 |

2012年8月 9日 (木)

2013年へ向けてのニーズ調査

 JENは6月下旬に、2013年に実施する学校環境整備と衛生教育事業のためのニーズ調査を開始しました。

 対象地域はパルワン県の最も西に位置する2地区、シーハリ地区とスルヒ・パルサ地区です。ジェンの宿舎が所在するチャリカ地区と同2地区の間は、反政府武装勢力が活動する別の2地区に隔てられているため、調査を行う前に最新の治安情勢を分析し、安全対策に配慮しています。

 現在までにシーハリ地区の31校とスルヒ・パルサ地区の39校において、各学校の先生や地域住民、そして保護者を対象にした聞き取り調査を完了しました。同2地区の学校の様子をご紹介します。

「カチャ」と呼ばれるこのような土作りの建物は、アフガニスタンを始め、パキスタンやインドなどの地方で多く見られます。自然災害に非常に弱いため、子どもたちは危険にさらされます。
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 コンクリート製の校舎ですが、教室内が荒れ果てており、机もない状態の学校もありました。
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 教室の数が足りていない、もしくは教室すらない学校も多くあります。そのため子どもたちは屋外で、暑い日差しの中での勉強を強いられます。
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 こちらはある学校のトイレです。この対象地域では、このような衛生的ではないトイレが目立ちました。
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水道や井戸、手洗い場がない学校の子どもたちは、近くの川などの水を手洗いや飲み水として使用しています。
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 今後は本調査結果を踏まえ、ニーズがある学校に対してエンジニアによる技術調査を実施し、学校施設の具体的な整備内容を計画していきます。

8月 9, 2012 学校修復・建設衛生教育 |