衛生教育事業の波及効果
以前ここでご紹介したとおり、昨年実施したサラン地区・サイードヘル地区の42校を対象とした衛生教育事業によって、子どもたちが衛生の知識・習慣を身につけました。
そしてその後の調査により、子どもたちが以前よりも健康的な生活を送るようになったことが確認できました。
2011年度の衛生教育の授業様子
では、支援を受けた子どもたちの家族は、その効果を得ることができているのでしょうか?
ジェンは、事業を通して子どもたちが習得した衛生に関するメッセージがその家族に伝えられているのか、またその内容が家庭内で実践されているのかを確認するために、戸別訪問調査を実施しました。
今回はその調査の様子をご紹介します。
サラン地区のババ・ララ中学校に通う子どもを持つ、ヘシュマトゥラさん。
「私個人、そして家族の衛生に対する意識が変わりました。私の家族は家庭の生活環境を清潔に保つことを学びました」
と話してくれました。
サイードヘル地区の第2アマム・イ・アザム中学校に通う子どもを持つ、アブドゥル・カリルさん。
「石けんで手洗いをすることは重要だと思いますか?」
というジェンのフィールドオフィサーからの問いに対し、
「はい、手を綺麗にすることで健康になります」と答えてくれました。
家庭には石けんを常備し、手洗いが習慣となっているようです。
サラン地区には山が多く、この時期は日中でも氷点下。
アクセスするのも一苦労でした。
サラン地区のハジ・アブドゥル・ハキム中学校に通う子どもを持つ、アラー・ダッドさん。
「私たち家族の中でも、特に子どもたちが頻繁に手洗いをするようになりました。歯みがきも欠かしません。この様な衛生教育事業はとても有効ですね。私たちの家族だけではなく、地域にとっても同じだと思います」
と話してくれました。
上記のような戸別訪問を、42校3世帯ずつ、計126世帯を対象に実施したことで、衛生教育の家庭への波及効果を確認することができました。
「衛生に関する情報を誰が提供しましたか?」という問いに関しては、96%が「子ども」と回答しました。
また、「昨日手洗いの際に何を使用しましたか?」という問いに対し、88%が石けんを使用したと回答しています。
更に、「この2週間で、あなた自身・あなたの子どもは下痢をしましたか?」という問いに対しては、全員がしていないと回答しました。
下痢に対する意識や、生活環境を清潔に保つ意識にも向上が見られました。
これらの人々が衛生教育事業から得たメッセージを今後も継続的に実践し、地域の他の人たちにも伝わり、より多くの人が安心して生活していけるようになることを願うばかりです。