パキスタンの仲間達と大自然 その2
チームはまず、バルトロ氷河遠征の起点となる町、スカルドゥーへと向かいました。スカルドゥーへは、イスラマバードからカラコムハイウェイを通って、インダス川沿いをひたすら北上し、カラコラム山脈沿いを東へ向かって進みます。(写真左:インダスの渓谷でトラックが故障し立ち往生)
カラコルムハイウェイは古代シルクロードになぞり、ギルギット~フンザ~中国ウイグル地区のカシュガルまでつながっています。古代からウイグルのシルクロードとガンダーラを繋ぐ主要な道で、文化、経済などに大きな影響を与えてきました。今日もカラコルムハイウェイは、経済・軍事上また、パキスタンの生命線とも呼ばれています。中国にとっても、中東へのアクセスとして重要な存在です。
スカルドゥーはバルチスタンの首都で、もともとチベット系の民族が占める都市です。現在JENが緊急支援を行っているパキスタン南部のバルーチスターンと名前が似ていて混乱しやすいですが、こちらのバルチスタンはカラコラム山脈沿いに位置し、深いインダスの谷が開けた場所に古代から栄えていました。北に中国領のチベット高原、東に同じラダック系チベット人が住むインド側のラダック地方、南にジェンが2005年より支援しているカシミール州があります。(写真左:スカルドゥ、ホテルからの眺め)
16世紀以降、イスラム色が強くなり、19世紀にはカシミールに統合され、人口のほとんどがイスラム教徒に改宗しました。1947年のインドとパキスタンの対立以来、貿易の中心で豊かな都市だったバルチスタンは衰退し、現在では、多くの人が最低水準以下の貧困の中で暮らしています。
途中、トラックの故障で数時間動けなかったりしましたが、丸2日間のバスの旅を終え、やっとのことでスカルドゥーに到着しました。バルトロ氷河をはじめ、世界第二の高さを誇るK2に挑む登山家が拠点とするスカルドゥーで登山道具や食料を備え、バルトロ氷河遠征の準備を完了させました。(写真右:旅の仲間たち。左後ろから右へ、アッシュ、太郎、アズマット、シェザード)