レシートにみるお国事情
外国で支援活動を行うとき、直接支援を受け取る人以外にも、幅広く多くの人が様々なかたちでプロジェクトにかかわります。それはたとえば、現地政府の省庁の人であったり、プロジェクトに必要な様々なものを仕入れる先の人です。そして、その国の個性が見える瞬間が、まさにこうした人びととの日々の小さなやりとりだったりします。
アフガニスタンも例外なく、強烈な個性を放っています。
たとえば、現地スタッフが持ってくるレシート1枚をとってみても(アフガニスタンは治安の問題があるので、自分で買い物に行きません)、かなり個性的で、奥深いものがあります。まず、ほぼ100パーセントが手書きで、現地の多くの人の母語であるダリ語で書かれています。そして、アフガニスタンには、西洋のカレンダーとは違う「アフガニスタン歴」があり、日付はその日付が書かれていることが多いため、いつのことなのかよくわかりません。そして、数字はアラビア語の数字によく似た数字で、私がなんとか自力で解読できるのはこの数字のみ。つまり、レシートの解読さえも、現地スタッフの翻訳に頼らざるをえません。つまり、1回の支出を処理することも、手間隙のかかる作業です。
さらに、よくよくチェックしてみると、日付が入っていない、計算が間違っているなどの「大らかな」レシートにも頻繁に遭遇します。それも個性だよなーと思いつつ、きちんとしたレシートを取り直してきてもらわなければいけません。活動を支えてくださる方々へ適切な報告をするために、“ある程度の水準”のものを出してもらわなければ、報告の際に問題視されるからです。
現地の習慣を尊重しながら、自分たちの筋を通す-そんな絶妙なバランス感覚を意識して身につけることが、支援する側にもっと必要だな、と思った今日この頃です。