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2004年4月28日 (水)

カーペットセンターでバザール開催!

2  2003年8月よりJENは現地NGOと協力し、社会的に弱い立場に置かれている女性を対象とした女性のための自立支援事業をカブールのカーペットセンターで実施してきましたが、受益者女性たちの成果の集大成として、4月24~30日までの一週間、この事業で制作された絨毯のバザールをこのカーペットセンターで開催しています。

 バザールでは事業のデモンストレーションとして、識字クラスや絨毯ができるまでの過程(糸つむぎ、色染めからシェイビングマシーンとシェイキングマシーンの使用)を披露し、絨毯のデザイン用紙や今まで織られた110枚のカーペットの展示会と販売を行っています。このバザールは当事業でマネージメントやビジネス・スキルを学んだ15名の女性リーダーが企画・準備をしたものです。

 初日には日本大使館から駒野大使と宮原公使がご来場くださり、事業の成果を視察され、ご満足いただけたご様子でした。また、バザールにご来場くださったアフガニスタン商業省副大臣の方がセンターの代表と共に、英国BBC放送から取材を受け、JENスタッフもNHKや雑誌「フォーチュン」の取材を受けるなど、メディアからの注目も集めており、バザールは大盛況です。

 JEN事業としての絨毯織りはこれで終了となりますが、この事業で得た技術と経験を活かしてアフガニスタンの女性たちが前向きに自立して行く姿が目に見えるようです。皆さん、これからも彼女たちを応援してください。

4月 28, 2004 女性自立支援 | | コメント (0)

2004年4月26日 (月)

雪かきと支援の関係(駐在員椎名カブール日記)

1  先日、カブールに30cmほど雪が積もり、一面の雪景色になった。カブールから見える山々もすっぽり雪に覆われ、神々しく輝いている。
 綺麗なものだなあと眺めているのもつかの間、現地スタッフから「雪かき」の話が持ち上がった。スタッフが駐在している建物の屋根はアフガンでは伝統的な、泥でカバーしているタイプで、雪かきをしないと後で雨漏りすると言う。そこでスタッフが一言。「シイナ、雪かき用のスコップを買わないと。」私は内心またかと思う。さて、議論開始。 
「スコップが事務所にあるじゃないか。」「今あるスコップじゃあ、屋根に傷がついてしまう。先端が木で出来た、雪かき用が必要だ。」「今あるものじゃあ、何とかならないの?」スタッフは困った顔をして首を振る。買っても5ドルするかしないかであろうか。でも、今日以外使う機会は殆どないだろう。お金がもったいない。何とかならないか?私は台所をうろうろする。ほら、見つけた。
私がスタッフに高々と見せたのは、プラスチック製のお盆。これなら屋根に傷がつかないし、軽い。しかも一度にたくさん雪かきが出来る。スタッフはあきれたようなそぶりを見せ、大げさに腰を曲げ、首を振る。「それじゃあ、腰が痛くて大変だ。スコップを買ってくれよ。」やれやれ。私はスタッフが制止するのを無視して屋根に上がる。スタッフもいやいや屋根に上がった。私がお盆を使って雪かきを始めると、スタッフものろのろとお盆を使い始めた。
背中を丸めて雪かきをしながら、私の頭に東京本部事務局でアフガン担当デスクをしていた時の事がよみがえる。支援者の方々にご理解を頂き、500円のご寄付を頂くのがいかに大変か。昨今世間の関心が薄くなったアフガン支援のため、東京本部事務局の同僚が深夜まで働き、どんなに大変な思いをして活動資金を集めてくれているか。お金を使うのは簡単だ。たかが500円という人もいるだろう。でも、それは間違いだ。NGO活動での資金の重みを、私は東京で学ばせていただいた。出来れば事業に1円でも多く使いたい。でないと私は支援者の方々や同僚に顔向けが出来ない。
 30分ほど作業をすると、雪かきも終わりが見えてきた。雪かきが楽しくなりはじめ、私は下にいたスタッフにカメラを持ってくるように頼む。記念写真を撮る頃には嫌がっていたスタッフの顔にも笑顔が浮かんでいる。私はこの雪かきが支援活動と似ていると気がつく。
 国際NGOが村にくると、村人達の多くは生活がとても苦しい事を切々と訴える。支援内容を説明すると「それでは全然足りない」という村人もいる。話の端々に国際NGOはお金を持っているものだという彼らの意識が見え隠れすることがある。それは事務所で働く現地スタッフも同じ。「お金がない」と言って隣人の住宅再建への協力を渋る村人に、お金のかからない方法を提案するだけでなく、ジェンがやって見せて初めて村人は動いてくれることがある。言うだけでは駄目。自分でやって見せないと。先ずはジェン事務所内部から。
 残りの雪かきをスタッフに任せ、デスクに戻ってくると自分の手が細かく震えている。腰が重い。お茶を飲んで一息入れイスに座ったとき、私はふと、スタッフが最後に笑っていたのは雪かきや写真が楽しかったのではなくて、私に雪かきをまんまと手伝わせることが出来たからではないかと思い当たった。道理でスタッフがニコニコしていた筈だ。
 現地の人々は、いつも私の考えの一つ上をいっているのかも。私はまだ甘い。

4月 26, 2004 事務所・スタッフ |

2004年4月21日 (水)

スプーンで建設作業?!

015  4月から世界食糧計画(WFP)と協力して、ジェンはカブール市から約90km北にあるアシャバと地域で、合計17キロもの道路建設事業を開始しました。

 アシャバは山間部にありアクセスも困難な隔離された地域で、大きなトラックや機械を運ぶこともできないため、今回の建設事業は全て手作業です。これから720人ものアシャバの住民が、3ヶ月をかけて26の村落を結ぶ道を作っていくのです。

 アシャバは岩の多い斜面にあるため、それらの岩を砕いて取り除くだけでも大変な作業です。場合によってはダイナマイトで岩を壊す必要もあります。しかし普段、村人が作業に使っている道具はごくシンプルな鉄パイプやシャベルで、それも多くが工夫して作られた手作りのものです。スプーンを木の枝につけて、穴を掘っている人も見かけます。041

 ある場所では、道を作るのにスペースが足りなかったため、小屋を取り壊す必要がありました。小屋の持ち主は村に道ができることをとても喜んでおり、取り壊し作業を手伝っていました。それは道ができることによってアシャバ全体のアクセスが改善され、自分たちも助かることがわかっているからです。今まで教育を受ける機会のなかった女子も、安全な通学路ができることによって学校へ通えるようになります。

033  この道路建設事業の後に、アシャバでは橋と女子用の教室建設が始まります。早くそちらの作業にも取り掛かれるよう、今は橋と学校までの道造りに一生懸命です。特に学校に向かう道の工事には、アシャバ全村落から代表が選ばれて参加しています。そのアシャバ唯一の学校には全26の村落の子どもたちが通うことになるため、学校は皆のものであり、皆で協力するべきだという認識があるからです。JENもアシャバの人々が1日も早く道、橋、学校を完成できるよう、全力を尽くします。

4月 21, 2004 | | コメント (0)