学校は好きですか?(駐在員椎名カブール日記)
カブール市内を車で回っていると、まだ幼い女の子が青っぽい布のかばんを肩にかけ学校に通っている光景を目にし、何かほほえましい気分になる。ジェン(JEN)も参加しているUNICEFのバック・トゥ・スクールキャンペーンによって支援されている生徒である。その布のかばんも、文房具も、日本政府の資金援助よって実現し、JENのスタッフ3人も現場で活動しているこのキャンペーンによって支給されたものだ。私はキャンペーンに出向している渡邊、玉利、浮橋の「顔のある」活躍を誇らしく思う。あの少女には、日本はどんな国に映っているのだろう。
私が訪れた学校は、カブール市内にある、これから修復事業が行われるラビア・ハイスクールだった。まず目に付いたのは校庭で強い日差しと砂埃にあおられているUNICEFのテントと、その中で熱心に勉強している生徒達だ。ビニールシートの上に座り、顔をしっかり上げて先生の話に聞き入っている。「教室」の中にあるものといったら、簡単な黒板と….それだけ。イスも机もないけれど、生徒達の大きな目や前に乗り出した小さな肩を見ていると「ここに居たい」「何かつかみたい」といった気持ちがそこにはあるように感じられた。私が小学校に入学した時の事を思い返してみると、ぴかぴか光ったランドセルや、大きな筆箱に入った削りたての鉛筆の匂いが浮かぶ。彼らにはそんな物質的な喜びはないかもしれないけれど、学校に行くことが出来る喜びは、行くことが当たり前だった私の想像以上なのだろう。
校庭を囲む塀の影ではビニールシートや布のようなもので日よけを張り、日差しから身を隠すようにして生徒が勉強していた。戦禍を免れた教室も、紛争中に国内避難民が住み着いていたため、修理が必要である。この学校では、教室数が絶対的に足りないのだ。男女は別々に授業を受けるので、この状態で3シフト制の授業を行っていると聞いた。UNDPなどからの資金援助を受け、JENが担当することになったこの学校の修復が、生徒達やこの国の将来に少しでも寄与できればすばらしい。
私は教育支援の現場を訪れるとき、JENの支援物資の1受益者だったという少女の言葉を思い出す。
「将来は誰かに支援されるのではなく、誰かを支援できるようになりたい。」
そんな日が一日も早く訪れるように、JENはこれからもアフガンの将来を担う彼らの支援をさせていただきたい。
8月 20, 2002 事務所・スタッフ | Permalink
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