カブールに赴任して(駐在員椎名カブール日記)
私がアフガニスタン、カブールに赴任してはや1週間が経とうとしている。私はこの機会を利用して、この国で私が見聞きした事柄の中から特に今のアフガニスタンを伝えていると思う物を皆さんにお伝えしたいと考えている。
カブール市内でまず私の目にとまったのが車の多さと道の両脇に広がる市場の賑わいだった。カブールの路上は日本の中古車が席巻しており、「株式会社XXX」や「信頼のOO」などが市内を黒い煙とともに走り抜けている。白と黄色に塗り直された車体に、わざと信頼性の高い日本製である証として消さずに残してあるのだという。私が見た車の中には、見よう見まねで後から日本語をペイントし直したか、新たに付け加えたらしい物も見かけたけれど。他にはメルセデス・ベンツが人気で、トラックやバスの車体に大きくペイントされているのをよく見かける。交差点ではそれらの車が歩行者、自転車、ロバ、そして援助関係者の車などで出来た混沌の中でうなり、うごめいている。
道に沿って広がる市場では、スイカやメロン、桃などの果物やナスなどの野菜を手押し車に載せて売る人々やインドのナンに似たアフガンのパン、マトンなどを店先にぶら下げて売っている人々であふれている。タバコは韓国産のものが良く吸われているらしい。価格にこだわらなければ、カブールには物資が豊富にあるようだ。
先日私の車の前を走っていた車からアフガンのパンが何枚か道路に滑り落ちた。その車が気が付かずにそのまま走り去ろうとしたその時、一人の少年が市場から走りより、パンをかき集めて交通渋滞の中をその車を追いかけた。その少年は落とし主からの感謝の言葉も期待していない風で、何事もなかったかのように市場に戻ってきた。戻ってきた彼の涼しげな顔と小さな背中が印象に残った。
これからもカブールのことは書いていきたいと思う。次回はジェンが修復している学校の様子について書きたいと思う。
8月 10, 2002 事務所・スタッフ | Permalink
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