木材調達はひと騒ぎ(駐在員椎名カブール日記)
私は担当しているシェルター事業に必要な木材を調達する為、木材マーケットによく足を運ぶ。木材に詳しい現地のNGOと一緒に買い付けに行くのだが、これが一筋縄ではいかない。
私たちが購入する木材は、後に提携している現地NGOによってドアや窓枠に加工され、受益者に配られる物で、まだ加工がされておらず、切り出して皮をはがされた状態の木材である。マーケットではそれが品質や値段ごとに「山」になって積んであって、私はその小山の間をすり抜けながら、匂いをかいだり、乾燥具合を確かめながら電卓片手に歩き回る。木材はアフガン産のほかに、パキスタン産、ロシア産などがある。最近の物価の上昇で木材も計画段階の2倍以上に価格が膨れ上がるケースもあり、頭が痛い。
オーナーをなだめたり、強く言ってみたり、またお願いしたりして昨日買出しが決まった木材の山の大きさを確認しにマーケットに行ってみると、オーナーがいない。周りの人に聞くと彼の妹が亡くなったらしく、故郷の村に帰っているという。やれやれ。明日帰ってくるというので翌日来てみても、彼の姿はない。オーナーのパートナー(?)という人物に許可をもらい、木材を一本一本調べていくと、山の中から質の悪い木材が出てきた。これは買えないと伝えるとまた一から交渉のやり直し。
やっと交渉がまとまり、木材を運び出す時になって、このマーケットを取り仕切る男がやってきて何か木材のオーナーに話しかけた。すると突然男達の間で激しい議論が巻き起こった。聞くと私が交渉していた木材のオーナーは4人(!?)いるオーナーの内の2人で、もう2人の同意を得てから売るべきかどうかもめているという。一人の男はつばを飛ばして演説し、別の男は負けじと腕をふって反論する。やれやれ。このマーケットをあきらめて別で購入するか...でもここが一番安いし....また一から交渉か....。ローカルスタッフの一人がつぶやく。「この国は何でもかんでもロヤ・ジルガが必要みたいだ。」
こうして砂埃と木材のくずの風に吹かれながら、木材調達の日々は続く。
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