2024年9月11日 (水)

「帰還」した場所での安心を届けています

 

ジェンは、「帰還民支援を開始します」でご紹介した通り、アフガニスタン・ナンガルハル県を中心に帰還民支援を開始しております。そのうち今回は、食糧支援の様子についてお伝えします。

 

昨年9月から今年の6月の間に、パキスタンからアフガニスタンに帰還した人びとの数は、実に63万人以上に上ります。やむを得ず帰還した人びとの多くが、ジェンが活動するナンガルハル県に滞在しています。その内、親戚を頼って住む場所を見つけられる人は2割にも満たず、貸家を見つけなければいけない人びとは4割弱、3割程度の人びとはいつまで滞在できるかわからないながらも、キャンプで生活しているそうです。

 

ジェンはナンガルハル県の中でも、帰還した人びとが特に多く居住する4地区で、合計1,500世帯以上の人びとに食糧支援をしています。

 

写真は、慢性疾患を患っておられる方のご家族、また女性が世帯主のご家族に食糧パッケージをお渡しした際の様子です。

 

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アフガニスタンに「帰還」したとは言っても、中にはパキスタンで生まれ育ち、初めてアフガニスタンで生活する方々もいらっしゃいます。取るものもとりあえず「帰還」し、新しい土地での生活を一から始めなければならない人びとの不安は、想像に難くありません。

 

ジェンがお渡しした食糧パッケージが、そのような方々に大きな安心をお届けできているであろうことが、写真からも伝わってきます。

 

アフガニスタンで厳しい状況にある方々が、一日でも早く自立できるように、ジェンは継続して活動していきます。みなさまのあたたかいご支援を、お願いいたします。

9月 11, 2024 支援物資配布 |

2024年7月 3日 (水)

未来へ向けた「2度目のチャンス」:食糧を受け取ったマディさん一家

 先日ご紹介した、現在ナンガルハル県で実施しているフード・フォー・ワーク事業にて、対象の人びとへ2か月間の食糧配布を行いました。

「フード・フォー・ワーク(FFW)」事業は、作業の対価として食糧を配布する支援の方法です。しかし、もちろん中には女性や子ども、障がいのある人びとが世帯主の場合もあります。その場合、今回の用水路整備のような作業は難しくFFWの対象とはできません。そのため、現地暫定政権のルールで、FFWを行う場合、半数を「FFW」対象世帯、半数を「単純食糧配布」対象世帯とするよう求められています。

 

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今回の事業のイメージ図。

   


食糧配布に加え、水や食べ物を媒介する病気などにかからないよう衛生教育を行っています。
本事業では、それとは別に井戸と数か所の給水所を設置予定です。

35歳の未亡人、マディさんは、3人の息子と3人の娘を一人で育てています。女性が外で働くことができないため、一家は、10歳の長男が物売りの仕事をして稼ぐ、150-60アフガニ(175円ほど)を頼りに生活していました。

安価で不安定な稼ぎでは当然最低限の食事さえ手に入らず、みんないつもお腹を空かせています。どうしても食事が手に入らないときは隣人や親戚に助けを求めましたが、毎回頼るわけにもいかず、生きるためにいくつもの家財道具を売り払うこともありました。
家で使う水を汲みに行くのは女の子の仕事ですが、それさえできなくなるほどの空腹に襲われることもありました。

そのような状況で、マディさん一家は、この事業の「単純配布」対象世帯となりました。

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食糧パッケージを受け取った10歳の長男(前)とマディさん(右)。(左後ろは他の支援対象の方)
ジェンが配布する食糧パッケージには、主食となる小麦粉や玄米、豆類の他、文化に合わせて緑茶も含んでいます。

食糧を受け取ったマディさんは、「暗闇だった毎日でしたが、2度目のチャンスをいただいた気がします」と言います。

配布後数週間後にご家族を訪問すると、ジェンが配布した食糧を使った食事の風景を見せてくれました。「食糧パッケージは、私たち家族のお腹を満たすだけではなく、より良い未来への希望を与えてくれました」マディさんはそう語ります。
実際に、毎日働いていた長男は、食事を得られたために働く時間を減らすことができ、その時間を使って神学校に通い始めたそうです。

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食糧配布後のマディさん(左)と子どもたち。長男は外出中でした。(右はジェンスタッフ)


この支援が、マディさんご家族にとって、小さいけれど大きな自立の一歩になることを願ってやみません。

 

いつも応援をありがとうございます。
ジェンは厳しい環境にいる人びとに寄り添い、
「自立した生活を取り戻すこと」と「心のケア」を中心に支援活動を行っています。
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7月 3, 2024 生計回復事業 |

2024年5月23日 (木)

生計支援で帰還民の人々に笑顔を!

ジェンは、「帰還民支援を開始します」でご紹介した通り、アフガニスタン・ナンガルハル県を中心に帰還民支援を開始しております。
今回はその1つである「生計支援事業」についてお届けします。

厳しい経済状況のアフガニスタンに戻ることを余儀なくされた帰還民は、パキスタンから家財や現金をほとんど持ち込めない状態で新たな生活を始めなくてはいけません。

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手持ちの道具でストリートフードを販売している様子(事業実施前)。


そこで本事業では、特に生活の厳しい帰還民が新たな地で生計を立てていくことができるように①道具類の提供と②ビジネス研修を行いました。

現在アフガニスタンでは、女性の就労機会が非常に制限されており*、母子家庭の生活はより一層困難なものとなっています。
*女性が自宅で就労することは認められています。

ジェンは、女性が世帯主の家庭に対して、自宅で仕立屋として働くことができるように、ミシンやアイロン、布などを提供しました。

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引き渡し式の様子。現地の電気事情を鑑み、ガス式のアイロンを支給しました。

男性が世帯主の家庭に対しては、ストリートフードや野菜などの販売ができる手押し車や調理道具などを販売するものにあわせて提供しました。

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引き渡し式の様子① 右から4番目の男性は、「帰還民支援を開始します」内に掲載しているお写真の方です

 

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引き渡し式の様子②

 

事業実施前は、先行きが見えず表情の暗い方が多かったですが、引き渡し式では笑顔が戻りました!

さらに、今後も安定した収入を得ることができるように、事業準備や販売計画、コミュニケーション、会計管理などについてのビジネス研修を実施しました。

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ビジネス研修の様子①


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ビジネス研修の様子② 研修は男女別々の会場で実施されました。

  

支援を受けた方からは、「ラマダンの時期に商売ができて良かった」との声が上がっています。 

ラマダンとは、イスラム教徒の五行のひとつである「断食」を行う月のことです。断食と言っても1日中飲食が禁じられているわけではなく、日の入から日の出までの間は食事ができます。その間、人々は普段よりも豪華な食事をたくさん食べるため、食料消費量は通常よりも多くなる傾向があります。また、ラマダン明けはお祝いとしてごちそうを食べたりと、経済が最も活性化する時期です。服を新調する人も多いようです。

 

ジェンは引き続き、支援の対象者が、提供した道具を使用して順調に商売を営んでいくことができているかモニタリング、サポートをしていきます。

これからもアフガニスタンの方々に笑顔が戻るよう、活動を続けてまいります!

 

いつも応援をありがとうございます。
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5月 23, 2024 生計回復事業 |

2024年5月 9日 (木)

フード・フォー・ワークによって食糧危機の緩和を目指します!

ジェンは、アフガニスタンで食糧配布事業を実施しており、その一環として、カレーズ*や水路の整備作業に参加頂いた方に食糧を配布する「フード・フォー・ワーク」を行っています。

*地下水脈を利用した水路で、灌漑にも活用される。洪水、地震等のため土砂で埋まり機能しなくなったところが多い。

現地の人々が知識や技術を習得し、灌漑用水路を整備することによって、必要な水が畑に行き渡るようになり、将来的に作物の収穫量が増えることが期待できます。さらに、自らの力で整備を行ったこともあり、事業終了後も継続的に水路を整備できるようにもなります。

20231月には、アフガニスタンのナンガルハル県ダラエヌール地区で同事業を実施し、合計35の灌漑用水路が整備されました。さらに、整備に携わった大半の方から、今後、自分たちで灌漑用水路を整備していけるとの声があがりました。

◆以前のブログは以下よりご覧ください。
「アフガニスタン フード・フォー・ワーク事業で嬉しい報告がありました!」  
             

新たに場所を移し、20238月から同県チャパルハル地区で、486世帯の方々へ食糧配布を開始し、うち243世帯に対しては、フード・フォー・ワークを実施しました。

整備前の水路は、洪水や地震によって土砂で埋まっていましたが、参加者によって整備された水路には水が流れるようになりました。

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灌漑用水路の整備前
    

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灌漑用水路の整備後

水門が整備されたことによって、村人たち自身で畑に必要な水の量を調整できるようになり、洪水のリスクにも備えられるようになりました。今後、同地区では、作物の生産量が増加し、食糧危機の状態の改善が期待されます。

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水門の整備前   

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水門の整備後

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水門の完成式典

 

現在、再び場所を移し、同県コギャニ地区においても同様の事業を実施しております。

ジェンは、引き続き人びとが自らの力で生計を立てられるよう支援をしていきますので、応援のほどよろしくお願いします!

 

いつも応援をありがとうございます。
ジェンは厳しい環境にいる人びとに寄り添い、
「自立した生活を取り戻すこと」と「心のケア」を中心に支援活動を行っています。
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5月 9, 2024 生計回復事業 |

2024年3月14日 (木)

アフガニスタンのランディ!?って

ランディは、寒さや乾燥の厳しいアフガニスタンの冬を越すために人気があり、古くから親しまれてきました。

ランディとは、アフガニスタンでよく食べられている干し肉(現地語でLandi:ランディ)のことです。

今回は、アフガニスタンの食文化をお伝えいたします。

ランディには牛肉、羊肉、七面鳥の肉を使用しますが、食べやすい子羊肉が最も好まれます。(特に牛の肉は固いことが多く食べにくく感じるため、あまり好まれません。)

家庭でランディを作る場合は、子羊の肉を細かく切って串に刺し、ランディポールと呼ばれる家の中央のポールに吊るし、20 30 日程乾燥させます。

一方、業務用は、肉を4等分し虫などの侵入を防ぐためのネットへ入れ、ポールに吊るし、30 40 日程乾燥させます。

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カブールのマーケットで売られていたラム肉のランディ

 

完成後は、湿気やほこりからから保護するため、真空状態で保存します。
適切に保存することで数週間、場合によっては数か月保存できます。

完成したランディはそのままおやつとして楽しむことも、スープ、シチューや写真のような料理に加えても楽しむことができます。

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ランディを使用した料理(現地スタッフが年末年始に楽しんだそうです)

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干し肉入り玄米料理(現地語でKechri:ケチリまたはShola:ショラと呼ばれています)

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干し肉とKabuli Palaw:カブール風プラオ

美味しそうなアフガニスタン料理の写真を見ているだけでも、お腹が空いてきてしまいますね。

 

 

 

 

3月 14, 2024 文化、生活、習慣 |

2024年2月 8日 (木)

帰還民支援を開始します

 2023年の10月、パキスタン政府は国内滞在に必要な公的書類を持たない人びとに、10月中の国外退去を求めると発表し、11月になると退去していない人たちの取り締まりを行いました。このため、20241月までにアフガニスタンに戻った「帰還民」は40万人を超えました。この中にはパキスタンで生まれ、アフガニスタンで暮らしたことのない方も珍しくなく、40万人の内半数以上が子どもであることもわかっています。

 急に迫られた「帰還」で行き場がない方もあり、多くはアフガニスタンで暮らす親戚を頼り、何とか新しい生活を始めようとしています。この内の約3割の人々は国境を越えた先の「ナンガルハル県」に定住しようとしています。ジェンは長年「ナンガルハル県」で活動してきたので、活動の対象に帰還民の方々にも入っていただく予定です。

 まずは、帰還民の子どもたちへの就学キット・衛生キット等の配布、特に厳しい状況にある帰還民世帯への2か月分の食糧配布、生計を再建するための就業支援等から始めます。アフガニスタンに帰還した人びとが、またこの地で新たに明るく暮らしていけるよう、微力を尽くします。

 日本では報道の機会も少なく、残念ながらアフガニスタンの状況やパキスタンからの帰還民の情報を知る機会も限られていますが、これからも情報発信を続けますので、興味をもって追いかけていただけると幸いです。



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手持ちの道具でストリートフードを販売する帰還民の人びと。
このような人びとが充分な収入を得られるように支援を計画しています。

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配布食糧には、主食となる小麦粉や米の他、豆類や、現地の文化に合わせ緑茶も含む予定です。
この写真は、過去に実施した別の食糧配布事業の様子となります。

 

いつも応援をありがとうございます。
ジェンは厳しい環境にいる人びとに寄り添い、
「自立した生活を取り戻すこと」と「心のケア」を中心に支援活動を行っています。
ジェンとともに「生きる力」を支えてください。

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2月 8, 2024 生計回復事業 |

2023年12月14日 (木)

たくさんの女の子に学ぶ機会を ~vol.3:環境を整え学ぶ喜びを届ける~

 3回に分けてご紹介するジェンの女子教育環境改善事業。最終回は、③学校施設整備+教育キット配布 です。 

 ジェンのページ中ほどでもご紹介のとおり、アフガニスタンでは、女性が男性の目にさらされないよう守る「パルダ」という風習/制度があります。

 国内の約半数の学校には建物がなく、62%には外壁が、33%には衛生施設がありません。今回対象の三校でもトイレや手洗い場がなく、一校は校舎自体がありませんでした。
 つまり、子どもたちは授業中、外からの視線にさらされ、トイレのない場所で一日を過ごさなければなりません。

 これがパルダの考えを重視する保護者や思春期の女の子たちにとって、学校を遠ざけてしまう理由でもありました。
 

 ジェンは各学校の外壁や衛生設備等を建設するとともに、これらを継続的に維持管理するための仕組みも整えます。

 この主体となるのが、もともと各校10名の地域代表者で組織されていた「学校管理委員会」のメンバーです。どのように資金管理を行い、効率的に維持管理すべきか、ジェンのスタッフが間に入りながら、考えて頂く機会を設けました。

 ジェンが以前実施した同様の事業で、6年経過後も、設備が適切に維持・管理されているという実績があります。今回も、設備を長く大切に守っていただけるよう、期待が膨らみます。
 

 Vol.1でご紹介の通り、今回の事業では、予想以上に多くの子どもたちが学校に通い始めてくれました。

 彼女たちには、ノートなどが入った「教育キット」を配布しました。キットを受け取った子どもたちが見せてくれる素敵な笑顔は、私たちを自然と笑顔にしてくれます。

 それは私たちだけでなく、保護者の方々も同じ。子どもが楽しく学校に通う姿が家族にとっての喜びであり、勉強自体や文房具を購入することの必要性・重要性理解につながることもあるのです。
 

 ジェンでは、教育環境を整備するだけでなく、地元の方々がその環境を維持できるよう事業を設計・実施します。
 事業実施後の状態を維持し、そして改善を続けることができると、地域内で就学機会を得ることが「あたりまえ」になり、就業機会も広がり、やりたいことを実現できる可能性も大きくなります。
 ジェンはそのように、「自らの力で未来を選べる」方を増やします。
 

 アフガニスタンの、女性や女の子を取り巻く環境はまだまだ厳しいですが、様々な地域・分野で諦めず支援を続け、少しでも多くの笑顔を届けたいと思います。引き続きあたたかいご支援を、どうぞよろしくお願いいたします! 

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ハード面の整備として、学校の建物・外壁・トイレの整備と、教育キットの配布を行いました 

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新設した手洗い場には、手洗い手順もわかりやすくペイント vol.2で掲載している写真の手洗い場も、この事業でジェンが新設したものです


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ートや色鉛筆などが入った教育キットを受け取った子どもたち  


3回にわたる長編、最後までお読みいただきありがとうございました! 


ジェンは、アフガニスタンで厳しい状況にある方々を支えるため、冬募金2023を実施しています。
皆さまの温かいご支援をお願いいたします。

https://jen.my.salesforce-sites.com/goencrm__projectinfo?pcd=afwinter23&_gl=1


12月 14, 2023 教育支援 |

2023年11月16日 (木)

たくさんの女の子に学ぶ機会を ~vol.2:継続的な通学を目指して~

 3回に分けてご紹介するジェンの女子教育支援事業。今回は女の子の継続的な就学につながる、子どもたち・先生への各種研修の実施 についてご紹介します。

 まずは先生への研修です。アフガニスタンでは教師の58%が必要最低限の資格を持っていません。これには、教育分野での予算不足をはじめ複数の要因があります。政府が教員養成研修を実施する一方、交通費を賄えず、受講できない方も多いそうです。実際に、教育の質を心配する保護者も少なくありません。

 そこで学校の夏休み期間中、対象学校の先生へ、授業の計画から評価方法までを含む「基礎教育法」、子どものモチベーション維持や心的ストレスへの対応方法を含む「心理カウンセリング研修」を実施、能力強化を行います。いずれもVol.1でご紹介した研修と同様、参加者自身に考えていただくことを重視しています。

 夏休み明けには、子どもたちへ「爆発物回避研修」「衛生研修」を実施します。好奇心旺盛な子どもたちが、地雷・爆発物の被害に遭わないよう、不審物に手を触れない、見つけたらすぐに大人に知らせる等、適切な知識・対応を身につけてもらいます。

 また多発する水因性の下痢を減らすため、個人・公共衛生についても学びます。あわせて石鹸や爪切り、タオルなどが入った衛生キットを配布し、研修で実践したことを日常にも浸透させてもらえるよう工夫しています。

 実は、学校主体でこの二つの研修を継続実施できるよう、先生にも指導者向け研修を行っています。加えて、学校の様子が見えない家族とのコミュニケーションの一環として、学んだことを家庭でも伝え一緒に実践するよう子どもたちに呼びかけています。

 これらにより、地域内で「学校では適切な教育が提供され、身を守る術も教えてくれる」「学校・学びは子どもにとって有益だ」という認識ができ、継続的な通学に繋げることができるのです。

 いよいよ最後は 学校施設整備+教育キット配布 についてご紹介します。イスラム文化ならではの取り組みもありますので、最終回Vol.3もぜひご覧ください!

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 体調不良の多発、通学の危険性、教育の質への不安を取り除くため、各種研修を行います。

 

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 世界手洗いの日(10/15)の記念イベントを行い、研修で学んだ石鹸での手洗いを実践してみせてくれている子どもたち


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 先生への爆発物回避教育の様子。爆発物への対処法だけでなく、万が一に備えた応急措置の方法も含めて学びます。


11月 16, 2023 衛生教育 |

2023年10月26日 (木)

たくさんの女の子に学ぶ機会を ~vol.1:地域全体で教育への理解を深める~

  アフガニスタンでは今も学校に通えない女の子たちが250万人いると言われています。ジェンは、国内でも2番目に不就学児童の多い、ナンガルハル県の3地域で女子教育の支援事業を行っています。

 特に女の子の就学率が低く、彼女たちが質の高い小学校教育を安心して受けられるよう、女子教育の啓発活動各種研修の実施 学校施設整備+教育キット配布 という一連の事業を実施中です。今回はについてご紹介します。

 女の子が学校に通えない理由は様々ですが、その一つが、女子教育の重要性が地域の人びとに理解されない文化的要因です。そのため、まずは地域全体に影響力のある宗教指導者や長老の他、保護者等を対象に、教育の重要性に関する研修を行いました。

 実は、アフガニスタンの人びとになじみの深いイスラム教の聖典には、教育の重要性を説く節があります。決して「理解してください」と押し付けるのではなく、ジェンスタッフから該当する説を交えながら「皆さんはどう考えますか?」と問いかけ、参加者自ら考えてもらう時間としました。

 そこで考えて頂いたことをもとに、宗教指導者には、モスクでの地域住民の礼拝後に女子教育の重要性を説き、理解の輪を広げるという重要な役割を担って頂きました。また長老等にも、地域住民のコミュニティ集会で教育に関する意見交換の機会を積極的に設け、地域内での理解を根付かせる活動を行って頂きました。

 地道ではありますが、地域住民自らそして地域全体で考えるという経験が、ジェンが離れた後も子どもへの教育が守られ続ける土壌となります。

 アフガニスタンの夏休み明けの先日、3地域の学校に新たに通い始めた子どもたちは、なんと私たちの予測よりも200名も多かった、と現場からとても嬉しい報告がありました。

 地道な活動が確実に結果に繋がった手ごたえを感じながら、次回は、先生のスキルアップ、子どもや家族の健康・安全を守る②各種研修の実施 についてご紹介します。女子教育の普及とどのように繋がるのでしょうか?vol2をお楽しみに!

UNESCOLet girls and women in Afghanistan learn!
https://www.unesco.org/en/articles/let-girls-and-women-afghanistan-learn

 

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 今回は「家族やコミュニティの女子教育に対する理解の醸成」のアプローチをご紹介します。


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 研修中、宗教指導者や長老、保護者等の参加者がいくつかのグループに分かれ、女子教育について話し合いました。


 
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 礼拝後のモスク。研修を受けた指導者がたくさんの地域住民に女子教育の重要性を説いています。

 

10月 26, 2023 教育支援 |

2023年9月 7日 (木)

自らビジネスを立ち上げ、貧困を脱するサポートを

 人口の97%もの人びとが貧困ライン以下で生活しているともいわれるアフガニスタン。教育や職業訓練機会へのアクセスがないために安定的に働くことも難しく、貧困から抜け出すのがより困難な状況です。

 ジェンは様々な活動を行っているナンガルハル県で、生計支援事業も行っています。求職・職業研修参加希望者を対象に、事業実施地域で需要の高い、造花や造花用花瓶の製造技術を習得できる研修を実施しました。また、すでに別分野の製造技術を習得済みの方々にも参加いただき、事業立ち上げの知識を習得できるビジネス研修も行いました。

 全研修終了後には、習得した技術を活用した事業の開始に必要な道具をお渡ししました。それらの道具の選定には、専門家だけではなく研修参加者にも加わってもらいました。それにより、実用性はもちろん、参加者のニーズに沿ったものを選ぶことができ、参加者からも喜びの声を聞くことができました。

 現在はすべての研修が終了し、ほとんどの受講者が、習得した技術を用いて自らビジネスを立ち上げ始めました。その順調なすべり出しを、ジェンの専門スタッフが引き続きサポートしています。様々な理由で自らビジネスを立ち上げないことを決めた方々も、研修先の工場での就職が決まりました。

 技術や知識を身に付け、安定した収入を得ることは、貧困から脱するための大きな一歩です。生活を良くしたいと考える人びとに寄り添い、その方々が実際に前に進むサポートができることは、私たちにとっても喜ばしいことです。今を生きるアフガニスタンの人びと、またその次の世代のためにも、引き続き活動していきます。

  

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 3か月間の製造技術研修。造花は来客のために部屋のインテリアとして、セレモニーでは車などへの盛大な飾りつけや、花嫁さんの飾りとしても使われます。(想像を超える盛大さです。ぜひ調べてみてください!)


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 技術研修を終え、ビジネス研修に参加する様子。女性も別の回に参加しました。

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 取得技術ごとに、それぞれ必要な道具を受講者と一緒に決定し、お渡ししました。

 

 

 

9月 7, 2023 生計回復事業 |