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2013年4月 4日 (木)

悲しいお話

 3年間警備員として働いていた、Gさんという男性がいました。

 Gさんは人里離れた南部半島の出身で、そこは教育を受けたり仕事を得ることが難しい地方でした。彼は仕事を求めて首都であるポルトープランスにやってきて、何とか生活していました。

 働いている間、彼はよく調子を崩していましたが、決して検査には行こうとしませんでした。しかし実は、彼は休日になけなしのお金を払って私立の病院へ通っていたのです。

 彼が衰弱し始めた頃、事務所の同僚たちが、彼が何かしらの病気に感染しているのではないか、と私に教えてくれました。

 不幸なことに彼はエイズと診断されていました。ハイチでは未だにエイズは恥ずべき病気だとされています。

 一度は衰弱状態から脱したものの、Gさんは病気であることを否定し続け、ブードゥーの呪いと考えるようになりました。その時からブードゥー教の神官や儀式にお金をつぎ込むようになりました。

 住んでいた部屋は、大家にエイズであることが分かったために追い出されてしまい、最終的にシャーロム教会(プロテスタントのキリスト教会)に流れ着きました。

 2週間、街を探して回ってようやくGさんと出会うことができました。彼はとても弱った状態で、多くの同様な境遇の人たちとともに、汚れたコンクリートの上に横たわっていました。傍らでは、彼と同じようにポルトープランスに出てきた兄が、3歳に満たない彼の子の世話をしていました。

 私たちは兄に、子どもも罹っている可能性があることを話しました。兄は彼を、すぐに子どもを検査に連れて行き、ハイチにある無料のエイズケアセンターに登録するよう説得してくれました。
実はGさんは、もしエイズに感染していなかったとしても無料の治療を受けることができたのです。

 ハイチではどれだけこの様なケースがあるでしょうか。多くの人たちが無知や汚名と差別の恐怖の中で苦しんで亡くなっているのがハイチの実情なのです。

 ロマン・ブリ―

4月 4, 2013 ハイチ |