ハイチに戻って
【ハイチならでは?グラン・ゴアーブにある標識:「要注意:海辺で「排便」をしないでください」】
私はこれまで地球上の他の場所で、ハイチ以上に、地獄のような大変な思いをしたことが多々あります。しかし、ハイチは特別であり、そのユニークさはなぜかブレないものがあります。
私の経験上、一日のうちにこんなにも多くの、変わった面白い出来事に遭遇する国は他にないのではないかと思います。私がハイチに戻った理由はここにあるのかもしれません。
数ヶ月も経てば、今日面白く思えることもストレスの要因となり、他の人たちと同様にハイチに変化をもたらすのは無理だと悲観的になってしまうことが目に見えていても。
ハイチの可能性は、現実を見て落胆する前の、まだモチベーションが非常に高い人々を、新たに引き寄せる力にあるのかもしれません。
ハイチでは、次々と色々な出来事が起きます。
例えば、新居のオーナーが飼っているうホロホロ鳥を私の犬が捕まえてしまいました。私が焦っていたところ、そのオーナーはこの話を聞いて幸運にも笑って済ませてくれました。
インターネット接続が不安定だからとプロバイダーのヘルプデスクに問い合わせても、「モデムに接続する」以外何も解決策を提案されませんでした。
冷蔵庫は半日停電状態の台所のコンセントに差し込みっぱなし。「電気なんて一日中は必要ない。テレビさえ見られれば十分」と考えているからのようです。
更には、家の鍵でと間違えて金庫の鍵を大家さんに渡してしまった、なんておかしな話も聞きました。
このように、ハイチの現状を面白おかしく受け取ることもできますが、その一方で、未だに深刻な課題は多く残っています。
ハイチの厳しい現実を反映して、今年開催されたロンドン・オリンピックに出場したハイチ人選手はたったの5人でした。そのうち4人はアメリカで生まれ、育ち、トレーニングを受けてきたそうです。
ハイチ事務所長 セドリック・ターラン