2011年、ハイチの学校事情
2010年1月12日の地震により甚大な被害を受けたレオガン地区では、市庁舎や教会、学校を含む全体の約80%の建物が倒壊しました。
ハイチの学校は全体の90%以上が私立校で、土地の所有権が国の最も大きな問題の一つとなっています(国の土地の90%が、全人口の10%によって保有されている状況)。そこで、多くの大型国際NGOが、ハイチの子供たちが少しでも早く学校に戻り予定通りに卒業できるよう、倒壊した学校の跡地ですぐに仮設校舎の建設を行いました。
仮設校舎の中は、天井に届かない高さの木製の壁でたくさんの教室に仕切られています。ハイチの学校では電気が無いのは当たり前で、更に教室はいつも定員オーバーです(30㎡に満たないほどの教室に、なんと最大200人もの児童が入ることも!) 耐え難い暑さの上、あちこちの教室から響いてくる声や道路の騒音で、先生の話は2~3メートル離れた場所に座っている児童にはほとんど理解できません。
残念なことにこのような状況はあまり変わっていませんが、教材や設備、トイレや食堂が不足している中、先生も児童も毎日できる限りのことを精一杯やっています。
正式な学校を作るとなると、公共の土地や公衆衛生の諸機関を利用するために沢山の省庁に動いてもらわなくてはならず、課題は山積みです。同時に、しっかりとした教員の養成が必須で、教育プログラムの熟考もしなくてはなりません。ハイチでは人口の60%以上が公用語のフランス語の読み書きも話すこともできないため、児童は家族に勉強を手伝ってもらえない状況です。教材は聖書と1960年代の古いフランスの教科書に限られていて、ハイチの子供たちの興味を引く科目が欠落してしまっています。
最後に、ハイチでは教師が最低所得層であることから、人材に関する特別な取り組みが必要です。この先取り組まなければならない問題の多さを考えると、今のハイチの子供たちはこの先何年も教育を受けることが必要になります。
JENはレオガン中心部の13校で、八千代エンジニアリングと共同で学校の公共の水飲み場を作り、教員向けの衛生教育を行っています。より明るい未来への道は開け始めています。