情けは人のためならず
2011年3月11日、大地震が東日本を襲った時、私はハイチのポルトープランスにいました。地震のニュースを見て動揺し、家族の無事を確認するまでに感じた不安は、今もはっきりと覚えています。
震災翌日以降、友人たちが次々に電話やメールで励ましの連絡をくれました。そんな中、一番印象に残ったのはハイチの人たちの温かさです。
ハイチでは経済的な理由や教育レベルが低いこともあり、新聞を読む人はとても限られています。そんな中、ラジオで日本の地震のニュースを聞いて、スーパーのレジで一緒になった人、事務所があるコミュニティーの住人達、支払い待ちの行列の中で前後になった人など、面識のないたくさんの人たちが私に声を掛けてくれます。日本人かと聞かれてそうだと答えると、「今回の地震のニュースを聞いて、胸を痛めています。」と言ってくれます。
その中でもとても印象に残った言葉があります。「自分たちも同じ経験をしたから、今のあなたのつらい気持ちがよくわかります。自分の国が大変な今、ハイチに残りハイチの復興のために働いてくれて感謝します。ハイチは日本に助けてもらった分、私たちも日本のために何かしたいと思います。」
JENの活動は、被災者の自立支援です。活動の副産物として、優しい気持ちの伝播がそこにありました。ハイチの人々の多くは、未だ被災者として不自由な生活を強いられています。そんな中でも、見ず知らずの日本人である私を思いやる気持ちがあって、さらに日本のために何かしたいと思ってくれている。そんな助け合いの気持ちが芽生えていることが、私たちへの何よりのご褒美です。