タップタップ
外国の公共交通機関はとてもおもしろいものです。古い車両に描かれた絵は、現地の文化や風習を表しています。同時に、外国の人にとっては公共交通機関の名称もまたおもしろいのではないでしょうか。例えば、乗り合いバスのことを、インドネシアのある地域ではアンコット(Angkot)、ウガンダではマタツ(Matatu)、パキスタンではフライングコーチ(Flying Corch)、そしてここハイチでは“タップタップ”(Tap Tap)と呼ばれています。
ハイチの人々は信仰深く、サッカーと音楽がとても好きなので、乗り合いバスの車体には主にキリストか、カカやマラドーナといったお気に入りのサッカー選手、またはボブ・マーリーやシャキーラ、テュパックやスヌープドッグといった人気歌手が描かれています。
タップタップの面白いところは他にもあり、もしバスの上に座るか外の取手にぶら下がれば、大きな荷物がない限り、ほとんどの場合お金を払わなくてもいいのです。とても危険でリスクが高いですが、人々はそんなことは気にしません。
時速80~90キロで走るバスに片手で掴まりながら、もう片方の手では何かを食べたり、バックをもったりしているといった光景をよく見かけます。
中には、バスの上の端ギリギリに座りながら寝ている人なんかもいるのです!
飲み物やパンの売り子は、車に掴まりながらタップタップの乗客に商品を売ります。そのような売り子は、一区間が無料で乗れるようになっています。
首都のポルトープランスから地方都市のミラグワン、 ジャクメル、レオガンを繋ぐ国道2号線はいつもタップタップで混雑しています。運転手は交通ルールなんて気にもしないし、乗り物はいつも大きな音楽が流れています。地震によって道路が崩壊し、激しい雨と洪水によって道路はさらなるダメージを受けています。このことが、多くの死者や負傷者が出る交通事故が毎月のように起こる原因となっているのです。
ジェンはレオガンで活動しており、何人かのスタッフはポルトープランスに住んでいるので、タップタップで通勤しなければなりません。タップタップは安いですが、ポルトープランスからレオガンまではとても時間がかかります。スタッフは朝4時に家を出るのですが、事務所に到着する頃には既に8時です。私たちはジェンのスタッフを含むすべての人々が事故なく安全であること、そして政府が道路と交通システムをいち早く修繕してくれることを願っています。