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2010年12月16日 (木)

衛生プロモーターの戦い

 JENの活動地レオガンでは、川で人間も家畜も体を洗い、日々の洗濯をし、人々はまた同じ川の水を飲んでいます。川の近くに住む人の多くが、透き通っているからという理由で、「川の近くに穴を掘り、一度その水を捨てて、再び湧いてくる水は、きれいで安全だ」と考えています。

 地震で大きな被害を受けたレオガンにもコレラが蔓延し、多くの方が二重の被害を受けています。JENは、支援者の皆様そしてジャパン・プラットフォームの協力により、レオガンとグラン・ゴアーブのコレラが発生している地域で衛生教育事業を実施しています。

 これまでに459人の衛生プロモーターたちがJENの訓練を受けました。無給ボランティアとして参加した衛生プロモーターたちは、みな、強い信念を持っています。それは、5万人以上におよぶ地元住民の非衛生的な習慣を変えたいという思いです。地元住民の家庭へ訪問している時にも、JENの衛生スタッフたちは、ボランティアの衛生プロモーターによる地道な取り組みを目のあたりにしました。

 衛生に関するメッセージは大部分の方に受け入れられていますが、最初は、プロモーターたちの存在に懐疑的な住民もいらっしゃいました。信念に向かって活動しているのではなく、経済的報酬を受け取るために活動していると誤解されていたのです。多くの方が仕事に就けない国では、ボランティアの概念はなかなか理解されにくいことですが、時間をかけて説明し、JENと共に無償で働いてくれる方を見つけました。

 今日では、コレラ蔓延の実質的被害によって、衛生対策の大切さが広く理解されるようになりました。それに伴い、地元住民の間で、衛生プロモーターたちの評価も上がってきています。多くの人々がコレラの情報と予防法を教えてもらうためにJENの衛生プロモーターを訪ねています。今では地域の「賢者」として見られているようです。

101216village_assemblies_2  衛生プロモーターとJENの衛生スタッフが行っている村の集会では、衛生に関する重要なメッセージを必ず伝えています。そして、今までそれぞれの地域で衛生プロモーターたちが繰り返し伝えてきたメッセージを詩や劇、パンフレットなど様々な方法で再発信しています。

12月 16, 2010 ハイチ |

2010年12月 2日 (木)

JENに家族が加わりました!

101129lorka_with_owner  JENのポルトープランス事務所に新しい家族がやってきました!
ハイチ生まれのロトワイヤー犬、まだ11カ月のメス犬です。大地震がハイチを襲ったとき、彼女はたったの1か月でした。飼い主の家は潰れてしまいましたが、彼女もお母さん犬も無事生き残り、テントで育ちました。

101129lorka_with_azmat  実は、ハイチで番犬を探すのは至難の業です。まず、番犬として適当な犬を売っている場所が少ないこと。そして、その場所自体が地震で崩壊してしまい、多くの犬も死んでしまったことが主な理由です。もちろん、近隣諸国から番犬を輸入するという選択肢もありました。しかし、私たちは、大地震のなか生き残ったハイチ生まれの犬を選びました。なぜなら、ハイチ生まれの犬は、“復興”というゴールに向かって私たちとともに活動する、JENスタッフの一員になれると思ったからです。

 幸運なことに、私たちは、JENの運転手を通して、このメス犬に出会いました。私たちと一緒に暮らし始めたのは11月22日。28日の総選挙を目前に控え、また、選挙後に治安が悪化することも懸念される中、警備強化が必要な時でした。

 さて、多くのハイチ人は犬が好きではありません。犬が近寄ろうとすると、犬に石を投げつける人々をよく見かけるほどです。どうして犬が好きではないのか、と尋ねると、彼らは犬に食われたことなんて一度もないのに「犬は卑劣だからだよ」と答えます。

 私がハイチ文化の勉強会に参加したとき、ハイチ人が犬嫌いである訳が、植民地時代の歴史に深く根ざしていることが分かりました。世界で最も豊かな植民地の一つであり、その統治は、残酷卑劣だと言われたハイチ・・・。当時、犬は、奴隷を脅すだけではありませんでした。奴隷が逃げ出したりすれば、彼らは海岸に追い詰められ、「海でおぼれ死ぬ」か「猛犬に食べられる」、二つに一つの選択を突きつけられたのです。また、植民地主義者たちは、犬を見世物としても利用したようです。この抑圧と恐怖の記憶をハイチの人々は引き継いできました。そして、独立から200年経った今も、消し去ることができないでいるのです。

101129johnpeter_with_lorka  JENの新しい家族、ロルカは、子犬ではありますが、もう大きな犬です。彼女が来たばかりの頃、JEN警備スタッフであるジョン・ピーターは、犬を怖がっているように見えました。事務所に住んでいたのでロルカの世話を頼むと、表情はこわばり、笑顔がなくなってまったジョン・ピーター。しかし、数日経つと、ロルカに笑いかけ、可愛がり始めたのです。まさに、恐れは無知からおきるものです。彼は、ロルカの世話を始め、彼女が理由なく彼を攻撃したりはしないことを知り、お互い理解しあえるようになったのですから。

101129after_being_scolded_2  ロルカはあくまでも番犬で、オフィスを守ることが彼女の仕事です。しかし、ロルカの存在が、ハイチ人スタッフたちの中にある“犬嫌い感”をなくし、彼らが、犬への恐怖を克服してくれると願っています。そして、このロルカの仕事が、ハイチの人々の自立と生活再建を支援する、というJENの目標につながると信じています。

12月 2, 2010 ハイチ |