「無数の川を渡って」パート1
こんな標題を選ぶと、多くの方がカリブ海で70年代後半に流行ったジャマイカ映画「The harder they come」でジミー・クリフが歌うヒットソング「Many rivers to cross」を思い出されるかもしれません。ハイチの農村部を歩きまわっていると、毎日実際に無数の川を渡ることになります。舗装された道路が少ないので、道は乾期にはでこぼこでほこりっぽく、雨期になり大量の雨が降ると、無数の川と化してしまうためです。
現在ハイチは雨期の真っただ中で、事業地の村へ向かうのも一苦労です。
ちょっと、ハイチプログラムオフィサーのある1日の業務をのご紹介します。
朝6時に事務所を出発、40分かけてやっと20キロ進むと、最初の壁にぶち当たりました。前日の夜に降った激しい雨のせいでがけ崩れが起こっており、前に進むためにはフィールドチームは自分たちで道端を掘らなければなりません。
30分後、ジェンのスタッフはやっと事業地であるレオガン郊外にあるCabaret地区に着きました。今日の作業は井戸の修復。しかし、現場到着2時間後、突然大雨が降り出し、塗ったばかりのセメントが流れそうになりました。
間もなく、「近くの川がものすごい勢いで増水している」と村人が教えてくれ、スタッフはすぐに撤退するように言われました。まだ午前9時30分。。。作業のための道具や資材を運び入れたばかりで、帰るには早すぎる時間です。ですが、修復を手伝う住民ボランティアも、早く帰るようにスタッフをせかします。早く帰らないと帰り道が無くなるからです。
しかし、気がついたときには時すでに遅し…いつもの「道」はもうありません。山間部では雨は止むことなく時間とともに川は深くなるばかりです。早く帰らねば!