悲しみを克服し防災意識が芽生える
現在ジェンは、大きな被害を受けたにもかかわらず、アクセスが悪いために支援が届いていなかったボーガレ地区のチョンダーヤ村で支援を行うための調査を進めています。
ここでは毎日の食事も支援物資に頼らざるを得ない状況が、今も続いています。人びとの心に深くあるのは、どうやって食事を得るか、毎日の生計を立てていくかという問題と同時に、「もう一度サイクロンが来たらどうすればいいのか」という不安です。家族を目の前で失った人も多いため、なかなかサイクロンのことを忘れることはできません。
多くの人びとが、サイクロンの時に逃げる場所や方法について知りたがっています。大きな自然災害を今までほとんど経験したことがないミャンマーでは、防災という概念がありませんでした。しかし今、防災訓練などについて話をすると、多くの人が大変興味を持ちます。
防災を考えるということは、サイクロンのことを思い出すことにつながるため、どうしても悲しいできごとを思い出さなければなりません。それでも彼らは、防災訓練を学びたいと言います。その裏にあるのは、家族を守れなかった無念さと、「次は家族全員が生き残れるように」という思いがあるような気がしてなりません。
今後も調査を通じて、様々なニーズを確認・分析し、人びとに本当に必要とされる支援を続けていきたいと思います。