2019年4月18日 (木)

農業で持続可能な未来へ

 JENは熊本の一般社団法人フミダスとパートナーシップを組んで、熊本地震から立ち上がるなか、未来を見据えて持続的な地域をつくるイノベーターたちを支援しています。最新のプロジェクトが、若手農家による、若手農家のための事業承継研修「マイファーム・マネジメント」です。

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ファームマネージメント勉強会(写真_フミダス)
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参加者同士で現状を共有(写真_フミダス)


 20代30代の農家で構成される熊本青年農業者クラブ(4Hクラブ)のメンバーは地震後、農業設備が壊れ、しばらく農作物の流通も止まった経験から農家の経営力強化の必要性を痛感したといいます。経営力を強くすれば自然災害はもちろん様々なリスクに対応していけます。これから先、大規模農業法人の進出や安い海外農産品の輸入等、いくつも試練が待ち受けています。それらを踏まえ、プロジェクトでは4Hクラブの役員自身がファシリテーターとなって、若手農家に対して「年後の自分と家族はどうありたいか」「どうやったら親を説得できるのか」「そのためにはしっかりとした事業計画をのためにはしっかりとした事業計画を立てなければ」と具体的な事業承継計画をワークショップで進めていく研修プログラムを完成させました。この研修プログラムを機に親と話し合いが進み新しいビジネスプランのもと、事業承継を始めたり、既に経営者の立場に立っていた若手農家がさらに経営力を磨くなど、目に見える成果がありました。熊本初の農家の事業承継支援。これは、高齢化と廃業に頭を悩ます熊本の農業界全体にとっても重要な取り組みです。

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事業継承カフェ

 2016年4月日に発生した熊本地震から3年間、JENは緊急から復興まで支援を続けて参りましたが2019年2月末をもって熊本事業は完了しました。皆様の暖かいご支援に心から感謝申し上げます。

4月 18, 2019 熊本地震 |

2019年1月 8日 (火)

熊本からのイノベーション: 若手農家の事業継承

2016年の熊本地震直後からJENは緊急支援を行い、その後復興支援として、社会課題を解決をめざす人材育成「明日の熊本塾」を一般社団法人フミダス(熊本市)とともに実施し、そこからコミュニティカフェ、伝統野菜の農産加工品の販売促進など、被災地を元気にする事業が育ってきました。JENは「明日の熊本塾」の第二弾として、フミダス、そして、20~30代の若手の就農者で組織される4Hクラブ(農業青年クラブ)熊本県とともに若手農業者の事業継承を支援してきました。

 

 

 

 

就農者の66.5%が65歳以上と、日本の農業では世界的にも突出して高齢化が進んでいます。熊本でも同様に農業が次の世代に承継されず、先祖代々耕してきた土地が耕作放棄地となってしまうケースが後を絶ちません。

 

 

 

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最初の明日の熊本塾の卒業生でもあり、地震後農産加工品の売り上げが減少したなかでも農業と加工品販売をがんばってきた佐藤智香さんが会長を勤める4Hクラブの中心メンバーは、若い世代に農業のやりがいを伝えたい、事業を親が元気なうちから承継してほしいとの思いから、JENの支援とフミダスの伴走のもと、4Hクラブのリーダーが自らファシリテーターとなって若手農家を集めて自分の経営状態の把握や自分の事業計画をつくるワークショップを開催してきました。若手農家同志、和気あいあいとした雰囲気の中でも、農業と経営に真剣に向き合う参加者の方々様子に熊本の未来が垣間見えました。

 

 

 

参加者からは「農業技術の研修は受けてきたけど、経営の研修ははじめて」「ビジョンなど、自分がこの先どうありたいか、家族やスタッフの幸せはどう実現できるかをはじめて向き合って考えた」「若手農家の仲間と農業経営の話をする貴重な場」との声が聞かれています。

 

 

 

ワークショップで力を得て参加者の多くが実際に事業承継に向けた具体的なステップを踏んでいます。

 

 

 

来年はじめまで事業を継続し、この全国的にも珍しい若手農家による若手農家のための事業承継支援の事業モデルと成果をJENの評価支援により抽出していきます。

 

 

 

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写真: 事業承継計画を自分の定めた期限までに完了する宣言文をもつ若手農家の方々

1月 8, 2019 熊本地震 |

2018年7月 4日 (水)

熊本の明日(2)

JENの事業パートナー、フミダスは、震災前から地域の社会課題の解決に取り組んでいました。震災直後には支援物資の配布などで地域をくまなく回り、コミュニティに寄り添う活動も行っていました。震災前の熊本は、他府県同様、少子高齢化と若者の流出によって、社会をけん引する担い手の減少が大きな課題でした。
 
地元の若者が活躍できる社会を作らなければ熊本の未来はない、というフミダスのビジョンに賛同したわたしたちは、ASUKUMAの開校にこぎつけました。ほぼ口コミで集まった第1期生20名は、2017年3月に研修を終え、今は、それぞれが地元での小規模ビジネスの事業化に向けて走り出しています。
 
佐藤さんは、ASUKUMA参加者の一人です。
出会った当時、既に阿蘇タカナードタカナードの商品化に挑戦していた佐藤さんは、作っても、売っても、なかなか生計をたてるところまで到達できない、というジレンマにおちいっていました。佐藤さんは、ASUKUMAへの参加を通して、ビジネスとして軌道にのせるためのビジョンを明確にし、タイムラインを引き、商品を世に送り出すしくみづくりに本格的に着手しました。
 
昨年、阿蘇タカナードは評価され、優良ふるさと食品中央コンクールで農林水産大臣賞を受賞するまでに成長しました。勢いは止まらず、日本各地から講演や情報交換の場などに呼ばれる機会が増えたそうで、地元の協力者のみならず同じような志を持つ若者との出会いや専門家との出会い、そこから発展する販路の拡大など、毎日大忙しの日々を送っています。気になる生産体制は、パートタイムの方を数人雇用しているそうですが、それでも、基本は一人だとか。作業場ってどんなかんじ?
 
 
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阿蘇タカナード原材料

 
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商品出荷前の作業

 
 
すみずみにまで目が届く、素敵な笑顔に秘めたストイックさがかっこいい、いかにも佐藤さんの人と成りが凝縮されたステキな作業場です。
 
 
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作業場にて

 
ところで、今回の視察メンバーは全員が女子。「こんな女子は…難しいですね~」、とは、なんともなしに広がった話題の末のメンバー共通の恋バナ。乙女の悩みも抱きつつ、ブレないビジョンで猪突猛進中の佐藤さんを応援したい、と心から思いました。
 
ASUKUMA第2期も、だんだん形になってきています。今回は、若手農家を対象にした家業継承プロジェクト(若手農家が、これから進路選択する農家世帯のこどもたちに対して、農業の魅力を継続的に伝えることで、魅力あるキャリア選択のひとつとして農業の継承を選ぶ若者が増える」ことを目指すプロジェクト)、地震の風評被害に遭っている南小国町の地域再活性化を一部サポートさせていただきます。ASUKUMA2でどんなロードマップが完成するか、こちらもぜひ、応援してください。
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南小国町の風景

 

7月 4, 2018 熊本地震 |

2018年6月 7日 (木)

熊本の明日(1)

新緑の阿蘇は、空が大きくてとにかく美しい。広報担当者は日頃はほとんどフィールドを訪問できないのですが、今回、海外の支援者を伴って阿蘇市を訪問する機会をいただきました。まるで、大きな手のひらにのったアリの気分。4万年前の噴火で地面が陥没し、そこにできたカルデラは月日を経て復活、海抜800Mを超える高原になりました。そこには、太古より大自然に生かされている、阿蘇の人びとの営みがありました。

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南小国町の風景

阿蘇タカナード を作る佐藤智香さんもその一人。

佐藤さんは、ASUKUMA(※)第1期の参加者です。阿蘇に生まれ阿蘇で育ち、就職を機に大阪へ。佐藤さんもまた、地方に暮らす多くの若者のように、一旦は故郷を離れたひとりでした。やっぱり阿蘇で暮らしたい。その強い想いが彼女を故郷へといざないました。阿蘇の耕作放棄地を減らしたい、阿蘇でしか育たない大好きな阿蘇高菜を失いたくない。

ASUKUMAとは…熊本が誇る人・もの・文化を元手に、熊本を元気にするプロジェクトを生み出す、ワークショップ・プログラム。

一念奮起した彼女は阿蘇のおばあちゃんの元にUターンしました。そこからは、阿蘇高菜と向き合う毎日で、試行錯誤の連続でした。阿蘇高菜への愛はやむどころか益々高まり、ぜったいに世に送り出す、いつしか強い信念に変わっていました。 ・・・その2に続く。

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佐藤さん 作業場にて

6月 7, 2018 熊本地震 |

2017年11月16日 (木)

熊本地震から1年半・熊本の農業・観光業の挑戦

 熊本地震から1年半余り。熊本市内中心部を歩くと、地震の爪痕は見当たらないようにみえますが、市外ではいまだに地震の影響が地域の産業に大きな影響を残しています。

 地震前は修学旅行生を中心に、多くの観光客を惹きつけていた阿蘇市は、地震後、大口の旅行客のキャンセルが相次ぎました。地震により、熊本市と阿蘇を結ぶ列車と、幹線道路が寸断された現在、唯一残った山道を通って阿蘇まで来る旅行者は限られており、観光業も、阿蘇の食と観光資源である田園風景を創り上げている農業も、地震前のレベルに戻す目途がたっていない状況が続いています。

 熊本地震後、JENは熊本で長年若者の人材育成を行う一般社団法人フミダスとパートナーシップを結び、「明日の熊本塾(あすくま)」、地震後の社会の再生に携わる若手人材の社会的起業を支援してきました。参加者のなかからは、コミュニティカフェの運営、農作物加工品の販売等、様々な取り組みがうまれました。

 あすくまがいったん2017年3月に終了してから半年余り。今度は、地震の影響が未だ続いている観光地で奮闘する方々を支えるためのあすくまⅡが始まる予定です。前回のあすくまでは熊本各所からいらした個人の参加者を対象としていましたが、今回は事業地を阿蘇市と南小国町の2か所にしぼり、地域の方々のチームによる課題解決に伴走します。

 計画づくりとパイロット事業など、熊本の明日をつくるプロジェクトにご期待ください。

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【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】

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11月 16, 2017 熊本地震 |

2017年7月31日 (月)

ひとり親家庭の声をきくこと



今年JENは熊本地震の被災地支援の一環として、ミューズプランニングをパートナー団体として、被災したひとり親の支援を行いました。

3月・4月にそれぞれ益城町と熊本市東区で「ひとり親応援おしゃべり&ランチ会」を実施し、ひとり親がお互いの常用を話し合うおしゃべりタイムとキャリアカウンセラーによる就労に関するアドバイス・ワークショップを開催したところ、

参加者からは、

「同じ立場の方だったので、安心して悩みや不安を話せた」
「いろんな方の話が聞けて良かった」
「同じような悩みを持っている人と出会えて心が軽くなった」

といった意見が聞かれました。
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【ワークショップのチラシ】

前から、熊本のシングルマザーの年収は熊本平均の半額以下の180万円。シングルファーザーも、7割ほどの291万円(熊本県ひとり親家庭等実態調査)。決して余裕のある生活でないところに地震が襲いました。

熊本県では、震災から4カ月たった8月にひとり親家庭の調査を行いました(ひとり親家庭における熊本地震後の現況確認調査結果はこちらから。

収入の変化に関しては、上昇した人が2%に留まったことに対し、減少した人は16.4%被災の程度がひどかった上益城地域では25.3%にも上りました。

JENの支援を得てミューズプランニングが実施したひとり親家庭の調査でも、「収入が減っただけでなく、ライフラインのストップで洗濯・風呂・外食で貯金を使い果たし、生活が厳しくなった」「地震の片付けや避難時の出費がかさみ、生活が困窮した」など、支出が増えていた実態が明らかになりました。

また、不安がる子どもを置いて仕事にいけなかった、などの悩みも共有されました。

世界各地の被災地や東北での支援経験から、JENは平時からの厳しい状況は災害後も続くどころか、悪化する傾向があることを学んできました。

これからも、JENは取り残されがちな方々のことを一番に考えて世界各地の支援を続けて参りたいと思います。

7月 31, 2017 熊本地震 |

2017年6月 1日 (木)

JEN熊本支援のこれまで


たくさんの被害をもたらした熊本の震災から1年と1ヶ月が経過しました。熊本県庁の発表によると、225名の方々が尊い命を亡くし、200,000棟近い家屋が被害に遭っています。現在でも、地元の方々や行政、支援団体等、たくさんの人びとが復興に尽力しています。

JENは前震の翌日である4月15日に熊本へ到着しました。当初はライフラインも復旧しておらず、主に避難所にいる人びとへの支援を行いました。例えば、商店が復旧していないこともあり、弁当や下着の配布、入浴が困難な方への入浴サービスを行いました。

また、避難所が集約・閉鎖されていくのに伴い、瓦礫の撤去を促進するために地元のコミュニティや支援団体にトラックや資材を供与しました。

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【避難所での弁当配布】 

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【JENのトラックが瓦礫撤去で活躍】

緊急期の終わりが見えた頃、熊本の地域課題を根本から解決できる支援の方法はないかと考えました。たくさんの方々と会う中、震災の前から熊本で同様の活動をしている団体をパートナーとして「明日のくまもと塾(あすくま)」というワークショップ事業を立ち上げました。

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【地域での問題に対峙する方々へのワークショップ“あすくま”の開催】

このワークショップは2017年3月に1期を終えました。たくさんの参加者は現在も様々な分野で地域の課題解決に挑んでおり、JENは引き続き熊本の方々と歩んでいきます。

6月 1, 2017 熊本地震 |

2017年3月 2日 (木)

あすくま(明日のくまもと塾)の継続

昨年の9月より、地域の社会問題の解決に挑戦するリーダー育成のためのワークショップである (明日のくまもと塾)にたくさんの方々が参加されています。

当初の予定プログラムを終了後、現在は新しいメンバーを加えてフォローアップ研修を継続しております。

熊本で地域の問題解決に挑戦しようとしている、あるいはすでに挑戦している方々がたくさんいらっしゃいます。

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【個別メンタリングの様子】

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【ワークショップの様子】

「誰のどんな問題を解決するのか」このテーマをワークショップ形式で深く考え突き詰めていく作業と、必要な人びとを引き合わせるお手伝いをJENは継続しています。

「明日のくまもと塾」の詳細レポートはこちらからどうぞ

3月 2, 2017 熊本地震 |

2017年1月19日 (木)

仮設住宅でのクリスマス


熊本の震災から8か月が経過しました。

JENが支援を行っている阿蘇市では2000件超の家屋が全壊・半壊の判定を受けており、現在5つの仮設住宅に116世帯の方々が入居しています。

先月12月23日に、これら5か所の仮設住宅でクリスマスプレゼントの配布が行われました。

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【プレゼント配布の準備】

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【21世紀現在の近代的なトナカイことトラックにて輸送】

全国から寄せられた支援物資を、地元と県外のボランティアや大学生がサンタクロースとトナカイに扮して配布しました。

JENでは準備・仕分け・運搬のサポートをさせていただきました。

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【物資の仕分けと運搬の様子】

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【プレゼントの配布が終わり、住民の方々とお茶を飲むサンタさんとトナカイ】


1月 19, 2017 熊本地震 |

2016年12月22日 (木)

益城町長からの熊本支援お礼状

益城町長から、熊本地震支援のお礼状を頂きました。

皆様からの温かいご支援に改めて感謝しますと共に、
ここにご報告させていただきます。
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12月 22, 2016 熊本地震 |