2014年10月16日 (木)

「手を洗おう」ポスター@ハイチ

 ここハイチ事務所でも、ジェン20周年記念「手を洗おう」ポスターを掲示しています。この機会に、「手洗い」について、深く掘り下げて紹介したいと思います。

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「手洗い」は、多くの人にとって、無意識的な行為です。しかし、水・衛生分野の専門家の私から言わせれば、単なる「手洗い」で片づけるわけにはいきません!

 私は仕事柄、必要な場面で現地の人々がより多くの時間を手洗いに割くよう、その重要性を伝えています。また、手洗いがコレラなどの感染症の発生を大きく食い止める場面を見てきました。このブログを読んでいる皆さんは、「手洗い」が途上国のみに必要なものであると考えるかもしれません。しかし、実はそうでもないのです。

 第二次世界大戦の後、抗生物質の使用が一般的になり、「手洗い」の重要性がないがしろにされるようになりました。抗生物質を飲めばバイ菌が殺せるからいいじゃないか、と人々は思ってしまったのです。ウイルス性の感染症にかかると抗生物質を飲むよう処方されることも、人々がそう思う一因となりました。

 私の母国フランスで、最近大規模な「手洗い」キャンペーンが行われたのは新型インフルエンザ(H1N1)が流行した時です。しかし、フランスでは結局、予防注射のほうが石鹸よりも多く売れたのです。予防注射よりも手洗いのほうが、新型インフルエンザへの予防策としては有効にもかかわらず。

 ここハイチでは、手洗いは何より重要です。それにはいくつか理由があります。
 

【手洗いを学ぶ子供たち】
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 まず、手洗いによって予防できる感染症であれば、手洗いに全力を尽くして予防すべきなのは言うまでもありません。そして、ハイチの人々の多くは、病気にかかっても薬を買うことが経済的に困難なので、予防は非常に大切です。また、ハイチの医療に大規模な感染症の発生に十分に対応する能力がないことも、残念ながら事実です。

 もちろん手を洗うだけでは病気の伝染を防ぐことはできません。「適切な方法で」洗う必要があります。

 手洗いの効果を出すためには約30秒間必要なのをご存知ですか?私たちの生活においても、正しく手洗いをしている人はまれで、そうしている人は少々「手洗いオタク」に見えるかもしれません。みなさんは30秒間手を洗っていますか?洗っている方は逆に少ないのではないでしょうか。

 ハイチで私が初めてフィールド調査をしたとき、地元の人々に手洗いをやってみせてもらうよう1日中お願いして回りました。驚いたことに、外科医よりもきれいに、と言っても過言でないほど、住民の方々はきちんと手を洗えるのです。ではハイチではいったい何が問題なのでしょうか?

 私たちが苦労しているのは、人々に「どうやって手を洗うのか」を教えることではありません。なぜならば、人々は既に知っているからです。むしろ、「手洗いをすることは効果があることだ」ということを伝え、そのための継続的な努力を促すことなのです。

 最後に、水と衛生の専門家として、「手を洗おう」キャンペーンに一言、付け加えさせてください。
「手を洗おう、石鹸で!!」と。

 ハイチ事務所長
 ルドビック・ブランコ



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10月 16, 2014 ハイチ, 衛生教育, JENスタッフ |

2014年10月 2日 (木)

衛生トレーニング修了証

JENがハイチで行っている主な活動の一つに、現地コミュニティでの衛生促進ボランティア育成があります。現地でボランティアになることを希望する人々にJENスタッフが衛生についてのトレーニングを行い、今度はこのボランティアの人々が各コミュニティの住民にその知識を伝えます。

昨年12月から始まった一連のトレーニングが終了し、今月、ボランティアの方々にジェンから修了証が手渡されました。

【修了証授与】
141002_4衛生に関するトレーニング、と聞いても、日本ではなかなかなじみがない活動かもしれません。どのような内容のトレーニングなのでしょうか?

【トレーニングの様子】
141002_5JENのトレーニングの内容には、手の洗い方、トイレの使い方、安全な水を使用する大切さ、ハイチで感染が見られるコレラ、マラリア、デング熱、チクングニア熱の予防の仕方、などがあります。例えばコレラを防ぐための知識として、路上や小川などの汚い水を飲まず、飲み水はキオスク型給水施設のものを使うこと、きちんとトイレを使用すること、ご飯を食べる前には手を洗うこと、といった内容を伝えています。また、コレラによる脱水症状を防ぐために飲む生理食塩水(人間の体液とほぼ同じ濃さの食塩水)の作り方もトレーニングで学びます。

【修了書を受け取るボランティア】

141002_6コレラ、マラリア、デング熱、チクングニア熱などは、適切な予防知識を持つことで防げる病気です。各コミュニティの人々が感染症に悩まされず健康に過ごせること、衛生的な状況で生活できること、これはJENハイチの活動目的でもあり、各コミュニティの人々の願いでもあります。
この目的に向けて、今度はこのボランティアの人々自身が自分たちのコミュニティで衛生に関する知識を人々に伝えていきます。

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10月 2, 2014 ハイチ, 衛生教育 |

2014年9月18日 (木)

チクングニア熱とデング熱の啓発ポスター

 JENハイチ事務所が活動を行っている地域では、現在もチクングニア熱の感染が多く見られます。ハイチでのチクングニア熱流行については、ハイチ支援速報の過去の記事で何度か取り上げたので既にご存知の方も多いかもしれません。チクングニア熱に感染すると、一般的に高熱・関節の痛みなどの症状が出ます。

 チクングニア熱、およびハイチで広く感染が見られるデング熱は、蚊を媒介として感染するため、この病気を予防するには蚊を避けることが何よりも重要です。チクングニア熱やデング熱を予防するための正しい知識を地元の人々に伝えるため、日本の外務省の資金及び皆様のご支援により、JENは啓発ポスター及びカードを作成しました。

【チクングニア熱の啓発ポスター】
140918_4 このポスターとカードには、チクングニア熱やデング熱の症状の特徴、予防の仕方などが、現地の人々が分かりやすい表現で書かれています。このポスターとカードを使って、私たちは、活動地であるレオガン、グレシエ、グランゴアーブ地区の村々を回り、地元の人々に蚊の増殖を防ぐ方法について伝えています。現地の人々がチクングニア熱・デング熱に関する正しい知識を持ち自ら予防のための行動をすることで、蚊の増殖及び感染の拡大を防ぐことができます。

 
【ジェンのスタッフが啓発活動に使っているカード】
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9月 18, 2014 ハイチ |

2014年9月 4日 (木)

ハイチの料理

 カリブ海に浮かぶ国、ハイチの料理について紹介したいと思います。ハイチの主食はお米です。しかし、日本の白米と違って、お米を炊く際には水に加えて塩と油も入れるのが一般的です。ハイチ料理は、全般的に油を多用します。

 また、以下の写真に見られるように、多くの場合ご飯には豆が入っています。ご飯が赤く見えるのは、豆が赤いためです。見た目は日本の赤飯のようにも見えますが、豆の香りと味は赤飯とは全く異なります。この赤いご飯は典型的なハイチ料理と言えます。また、この豆を煮てソースを作り、ご飯にかけて食べることもあります。レモンなどの柑橘類で仕込みをした肉類を、トマトと一緒に煮込むことも多いです(写真の肉が赤く見えるのはそのためです)。
 

【ハイチの豆ごはん 】
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  【赤い豆のソース 】
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【鶏肉のトマト煮込み】
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 お米に加えて、主食としてはバナナを揚げたものや、野菜をゆでて丸め揚げたドーナツのような食べ物もあります。ドーナツの味は、サツマイモを少し薄味にした感じです。

【ドーナツ】
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 熱帯気候のハイチでは、バナナ、マンゴー、黄色いザクロなどのフルーツも豊富です。特に、ハイチでは一年中マンゴーが食べられます。ジェン・ハイチ事務所の周りにも、たくさんマンゴーの木があり、もうしばらくすると食べごろです。




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9月 4, 2014 ハイチ, 生活、習慣、風土 |

2014年8月21日 (木)

貯水槽建設中!

 JENハイチ事務所では、現在ハイチ西県パルム地域において、日本の外務省からの資金と皆さまのご支援により、水衛生に関するプロジェクトを実施しています。このプロジェクトでは、ハイチの人々が安全な水にアクセスできるよう、キオスク型給水施設や貯水槽の建設、そして衛生についての知識を普及する活動を行っています。

【ハイチ西県パルム地域の地図】
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 キオスク型の給水施設では、バケツごとに、水の利用量に基づく支払いのシステムが導入されています。なぜ有料で水を提供するのでしょうか?それは、JENがプロジェクトを終了した後も、パルム地域の人々が自分たちでキオスクを運営・管理できるようにするためです。キオスクの維持には、修理費や管理費等が必要であるため、支払われたお金はそれに充てられます。
 

【キオスクの様子】
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 昨年12月に開始されたこのプロジェクトは今終盤を迎えており、建設については残るは貯水槽のみとなりました。建設中の貯水槽(写真)は、現在コンクリートで貯水槽の壁を設置する作業が行われています。
  

【貯水庫建設の様子】
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 【JENの建設チーム】
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【コンクリートを型に流し込む作業を行うためのトラック】
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 この写真では、どのような貯水庫が出来上がるのか想像しがたいかもしれません。完成は数週間後の予定ですので、また支援速報でご報告します。

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8月 21, 2014 ハイチ, 水管理委員会 |

2014年8月 7日 (木)

離任のご挨拶

経理総務担当としてJENハイチ事務所に赴任したのは、ちょうど去年の今頃のことでした。初出勤日、事務所には約20人のスタッフが働いていたので、スタッフ全員の顔と名前をすぐに憶えられるか不安だったのを覚えています。ほとんどのスタッフはクレオール語とフランス語を話しますが、着任当初私はどちらの言語もできなかったので、コミュニケーションが取れるかどうかも心配でした。

そして一年が過ぎ、拙いながらも現地語であるクレオール語で、現地スタッフとやり取りをすることを楽しんでいます。そして、ハイチ流の生活の仕方も学びました。ハイチ事務所に出勤して毎朝まず行うことは、現地スタッフ全員と握手をすることです。これはハイチ流の朝の挨拶ですが、初対面で無い人に毎朝握手をするこの習慣に慣れるには時間がかかりました。

仕事については、ご支援いただいている皆様から頂いた資金を適切に使用し、プロジェクトがスムーズに実施されるようサポートすることが、総務・経理担当としての私の役割でした。関係機関に提出する申請書の準備や、プロジェクトの実施について調整するのもやりがいのある仕事でした。


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衛生イベントの様子 (トラックの荷台で衛生キットを配る筆者)

また、私は首都ポルトー・プランスに住んでいたので、毎日首都からレオガンに通勤していました。着任当初は、時間がかかる通勤が大変でしたが、この通勤時間を、毎日ハイチ出身の運転手とのクレオール語の練習に充てることができ、運転手との会話が言語習得のモチベーションになりました。私にとって、世界で最も貧しい国の一つとされている国に住むこと、そして水・衛生分野で仕事をするのは初めての経験であったため、毎日が新しいことの連続でした。ハイチの人々が抱えている水・衛生についての問題を知り、ハイチ政府がどのように現状を改善しようとしているのかも実際に現場で目にしました。キオスク型給水施設や貯水槽の建設、そしてハイチの人々の衛生環境を改善するための衛生促進活動にも携わることができました。

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現場視察の様子

残念ですが、ハイチに別れを告げる時がやってきました。10月からは新しい国に引っ越す予定ですが、ハイチの人々の笑顔と笑い声を私はずっと忘れません。ハイチの人々の生活環境は厳しいですが、人々はとても優しく、フレンドリーです。ハイチが次世代の人々にとって、より発展した国になりますように。

ハイチ滞在中、支えてくださった皆さん、ありがとうございました。

Orevwa Ayiti! (クレオール語で、「さよならハイチ」)。

Photo_8 ジェン・ハイチオフィスのスタッフ

総務・経理担当

和田志保

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8月 7, 2014 ハイチ |

2014年7月24日 (木)

ハイチ事務所の1日

 JENのハイチ事務所は、ハイチの首都ポルトープランスから片道約1時間離れたレオガンという街にあります。
レオガンは、緑あふれるのどかな街で、首都からの国道の道沿いにはサトウキビ畑が広がっています。レオガンは2010年のハイチ大地震の震源地で、最も被害を受けた場所でもあります。ほかの多くのNGOは首都にオフィスを構えていますが、JENは支援が必要な人々に近い場所として、事業地レオガンを拠点にしています。
 
【緑に囲まれたオフィス】                
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【事務所から見える景色】
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 現在JENハイチ事務所には、約15人のスタッフが勤務しています。これまで何度かこのブログを執筆しているフランス人事務所長のルドビックをはじめ、建設を担当するチーム、衛生促進を担当するチーム、そして総務・経理担当者がいます。そして、忘れてはならないのがオフィスの安全に貢献している番犬のロカ(Lorka)です。
              
【事務所の様子】
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【ロカ】
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 ハイチ事務所の朝は、事務所近辺で飼われている鶏や牛の鳴き声で始まります。毎朝8時にスタッフが出勤してきた後、建設担当チーム・衛生促進チームはトラックで事業地に行って、それぞれ水供給施設の建設や、衛生促進活動を行います。事務所長は、建設の現場に行ったり、首都で他機関とのミーティングや調整を行ったり、事務所で作業をしたりしています。
  

【現場で作業をする建設チーム】     
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【衛生促進チーム(啓発活動を行っている様子)】
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 総務・経理チームは、文字通り裏方として出入金管理や総務全般を担っているわけですが、ハイチの総務担当にはひとつ、重要な任務があります。それは、電源管理!です。
 ハイチは、公共の電気の供給が不規則なので、電気が通っているときに事務所で蓄電したり、蓄電が無くなったら発電機を稼働したりしなければなりません。日本に居ると想像しがたいかもしれませんが、これはかなり重要な任務です。なぜなら、(当たり前ですが)電気が無いと、インターネットも、携帯の充電器も、扇風機も使えないからです(事務所の気温は35度を超えています)!

 仕事をする環境は決して快適とは言えませんが、スタッフ一同、支援事業の目的を明確に、日々たくましく過ごしています。

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7月 24, 2014 ハイチ |

2014年7月10日 (木)

ワールド・カップ

 サッカーはハイチの国民的スポーツです。ハイチのサッカーチームが初めて国際試合を行ったのは1925年3月22日のことです。ワールド・カップに初出場したのは1974年で、この年はハイチのサッカー界においては歴史的な年となり、多くの人々がラジオやテレビでサッカーを観戦しました。それ以来、テレビでサッカーを観戦するのがハイチの人々にとって一般的なこととなりました。

 ハイチのサッカーリーグは12チームにより構成されています。一番有名なのは「レイシング・クラブ・ハイチ」、「ヴィオレット」そして「エーグル・ノワールAC」です。ハイチの人々はテレビでサッカーを見るのが本当に大好きですが、一方でスタジアムに足を運ぶことはあまりありません。週末には多くの人が、スペイン、イングランド、イタリア、フランスなどのサッカーリーグの試合をテレビで見て楽しみます。

 2014年のFIFAワールド・カップもハイチの人々の生活に大きな影響を及ぼしています。ハイチのチーム(通称グルナディエー;精鋭の兵士、という意味)は残念ながらワールド・カップには出場できませんでしたが、多くの人がブラジルやアルゼンチンを応援しています。それらの国々を応援している人々は、自分たちの車や家、住んでいる通りに国旗を飾ったり、応援しているチームのブレスレットやキーホルダーを付けたりしています。

140710_2【Le Nouvelliste紙より引用(2014年6月18日)】

 ワールド・カップ開催中、人々はどこでもテレビでサッカーの試合を見ています。テレビが見られない人は、ラジオで試合を応援しています。テレビを乗せた移動式パブも出現し、人々はその移動式パブの周りに集まってサッカーを見ます。政府までも、薄型TVを都市および田舎に配布し、宝くじ屋、オフィス、庭などあらゆる場所でサッカーを観戦する人々が見られました。サッカーに熱中するあまり、多くの人々が仕事にならず、町の交通量が少なくなったほどです。

 応援しているチームがゴールを決めると大きな歓声が上がり、勝つと大騒ぎになります。通りではバンドが音楽を演奏し、特にブラジルが勝ったときは盛り上がります。負けた時はみんなで悔しがり、試合が終わった後は、ワールド・カップの話で持ち切りです。2014年のワールド・カップをハイチの人々は大いに楽しんでいます。



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7月 10, 2014 ハイチ |

2014年6月19日 (木)

ハイチで広まるチクングニヤ熱

「チクングニヤ熱」と呼ばれる感染症がハイチで発生して2ヶ月経った今、ハイチは混乱状態にあります。ハイチ政府がこの感染症に関して発した情報の中でも混乱があり、危機に対応しきれていない状況です。

 しかし、こうした状況になっているのは彼らのせいだけではありません。「チクングニヤ熱」は数カ国に広まり流行していますが、この感染病についての研究はあまり行われておらず、治療法はまだ開発されていません。今のところ、関節の痛み、頭痛と発疹などの症状を痛み止め薬で治療するのが精一杯です。治ってから数年後にまた痛みを感じる人々たちもいますが、幸いに、命に関わるものではありません。

 チクングニヤ熱の媒介生物は一般的にはヤブカと呼ばれる、熱帯シマ蚊です。デング熱などの感染症を媒介する蚊でもあります。デング熱は数年前、ハイチで蔓延しましたが、この存在を否定する医者などもいたため、混乱は増すばかりでした。また、以前いくつかのNGOはマラリアへの対応を行っていましたが、チクングニヤ熱とデング熱が流行してからは、マラリアはあまり注目されなくなりました。

 チクングニヤ熱とデング熱の主な症状は同じですが、デング熱は正しく治療されないと命に関わることもあります。しかし、ハイチでは、お金を節約するために、病院に行かず自己治療で済ませようとするケースも多くあります。
このような状況下では、国全体で計画を策定して対応することが一番効果的ですが、残念ながらハイチではまだその能力を持ち合わせてはいないのが現状です。個々人では、蚊が集まる場所を避けるなど警戒することが最も重要ですが、もちろんそれだけでは問題は解決されません。

 いくつかのNGOは人家の周りにある蚊の巣(水たまり)を破壊する、症状が発生したら病院にかかる等、自分たちで身を守る手段を伝えています。また、蚊の巣を煙であぶって追い出す方法などもあります。これらは有効な手段ですが、資金や人員とともに時間も必要なのが事実です。

 ハイチでは、地域住民が水へ容易にアクセスできるように、多くの井戸が建設されています。ただ、残念ながら、こうした水回りは蚊が好む場所でもあります。ジェンのハイチ事務所の職員も、ほぼ全員が既にチクングンヤ熱に感染した経験があります。

 ハイチの全国民がこうした現実を認識するには数年必要かもしれません。現在ジェンのハイチ事務所では、この対応策について話し合っているところです。



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6月 19, 2014 ハイチ |

2014年5月22日 (木)

チクングニヤがハイチに。。

 蚊を媒介する感染症は、ハイチを含め、世界のある地域ではよく見られます。その中で、マラリアやデング熱は、日本でも名前は聞いたことがあるという人は多いかもしれませんが、チクングニヤ熱を知っている人はそう多くはないのではないでしょうか?

 チクングニヤ熱は、ウイルスを保有している蚊から人へ感染し、その症状は一般的には高熱、発疹、関節痛などです。もし、感染後すぐに治療を施せば大きな問題とはなりませんが、関節痛は年齢や元々の健康状態次第では、数ヵ月から数年続くこともあります。
 これはカリブ海諸国で急速に広まっており、夏の旅行シーズンが間近に迫っていることから、北・南米でも広まってしまうのでは、という懸念があります。

 ハイチ隣国のドミニカ共和国でこの感染が広まったというニュースを聞いてすぐ、JENのコミュニティモビライザーチームは、それぞれ担当のコミュニティを訪問し、この感染症について伝えるとともに、予防法について説明しました。

 過去、ハイチでコレラが蔓延した時に経験した通り、適切に対処可能な病院の数が不足し衛生環境があまり良くない国では、感染症は早く蔓延してしまいます。加えて、現在ハイチは雨季に入り増水していることと、下水システムが整っていないため、汚染された水は街に流れ出てしまいます。
 いくつかのNGOやヘルスケアを行なっている団体が、この感染症に対応しています。コレラで経験したような新たな伝染病の蔓延にならないことを願っています。

 私は約1年間ハイチに住んでいますが、病気にかかったことはありません。蚊に刺されてチクングニヤに感染しないよう、今後数ヵ月は虫よけや蚊取り線香が手放せなくなりそうです。

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5月 22, 2014 ハイチ |